子どものために貯めた200万円、いつ渡す?親が知っておきたいお金の残し方

  • 「子どものために貯めているお金は、どう管理しておけばいいですか?」
  • 「普通預金のままでいいですか?運用した方がいいですか?」
  • 「子どもが何歳になったら渡したらいいでしょうか?」

といったご相談をいただくことがあります。

子どものためのお金について考えるとき、大きく分けるとポイントは2つです。

① そのお金を、どう管理しておくのか

② そのお金を、いつ子どもに渡すのか

ただ、その前に整理しておきたいことがあります。

それは、

「子ども自身がもらったお金」と、「親が将来子どもを助けるために準備しているお金」は、まったく別のもの

ということです。

まずはここを分けて考えてみましょう。

お金の種類 誰のお金?
お年玉 基本的に子ども
入学祝い・誕生日祝いなど 基本的に子ども
親が将来のために積み立てるお金 親

お年玉は「貯めるためのお金」ではなく、お金を学ぶためのお金

まず、お年玉です。

よくあるのが、

「子どもが無駄遣いしないように、お年玉は全部親が預かっています」

というケースです。

そして、10年、15年と貯め続け、

「今までのお年玉を全部貯めておいたよ。20万円あるよ」

と、大きくなってからまとめて渡す。

一見すると、とても堅実です。

ただ私は、少しもったいないと感じます。

理由は大きく2つあります。

① 現金の価値はずっと同じではない

物価が上がれば、同じ10万円でも将来買えるものは少なくなります。

例えば、仮に毎年2%ずつ物価が上昇した場合、

  • 10年後の10万円の価値 → 現在の約8万2,000円相当
  • 20年後の10万円の価値 → 現在の約6万7,000円相当

になります。

② もっと大きいのは「お金を使う経験」を失うこと

私は、こちらの方が重要だと思っています。

子どもがお金を使う機会をすべて親が管理すると、

  • 欲しいものを選ぶ
  • 予算の中で考える
  • 我慢する
  • 貯める
  • 使いすぎて後悔する
  • 「これは使って良かった」と感じる

といった経験ができません。

子どもの頃の1万円の失敗なら、大きな勉強になります。

大人になって初めて100万円、200万円を管理して失敗するより、

小さい金額のうちに何度も練習した方がいい

と私は思っています。

私は、お年玉については、ある程度の年齢になったら子ども自身に使わせていいと思っています。

例えば3万円のお年玉をもらったとします。

その3万円について、

  • 何に使うのか
  • いくら使うのか
  • いくら残しておくのか
  • 欲しいもののために貯めるのか

を自分で考える。

これ自体が、とても大切なお金の勉強です。

もちろん、小学校低学年の子どもに、いきなり何万円も全部渡す必要はありません。

年齢に応じて、

「今年はこの中から1万円を自分で管理してみよう」

という形でもいいと思います。

すでに10年分のお年玉を貯めている場合は?

「もう10年以上、全部貯めてしまっています」

というご家庭もあると思います。

例えば10万円、20万円と貯まっている。

その場合でも、今からで遅くありません。

全額を一度に渡す必要はなく、

「これは今まであなたがもらったお年玉だから、今年はこの中から3万円を自分で考えて使ってみよう」

と、少しずつ管理を本人へ移していけばいいと思います。

例えば、

  • 好きなスポーツの試合を観に行く
  • 友達と出かける
  • 趣味に使う
  • 欲しかったものを買う
  • 一部はそのまま貯める

などです。

そして使った後に、

「これは使って良かった」

「これはちょっともったいなかった」

と振り返る。

その経験そのものに価値があります。

私の子どもも、お年玉を「経験」に使っています

私自身も、子どものお年玉は基本的に本人に管理させています。

例えば、卓球をしている長男は、自分のお年玉から約1万5,000円を使って、世界レベルの選手が出場する卓球大会を観戦するチケットを購入したことがあります。

憧れているトップ選手のプレーを目の前で見る。

会場の雰囲気を感じる。

「自分ももっと頑張りたい」と思う。

私は、こうした使い方なら、

「1万5,000円がなくなった」のではなく、「1万5,000円を経験に変えた」

と考えています。

お金は、残高を増やすためだけのものではありません。

自分の人生を豊かにするために使うものでもある。

その感覚を、子どもの頃から身につけていくことも大切だと思います。

入学祝いなども、全部貯めなくていい

入学祝いや誕生日祝いなど、少しまとまったお金をいただくこともあります。

例えば、おばあちゃんから小学校の入学祝いとして5万円をもらったとします。

その5万円をそのまま通帳に入れるだけでなく、節目に必要なものへ使うのもいいと思います。

例えば、

  • ランドセル
  • 通学用の自転車
  • 学校で使うバッグ
  • 部活動で使う道具
  • パソコン

などです。

「この自転車は、おばあちゃんにもらったお祝いで買ったんだよ」

と子どもに伝えれば、

誰から、どんな気持ちでいただいたお金なのか

も伝わります。

お祝いをくれた方にも、

「いただいたお祝いで買いました。ありがとう」

と写真を送ることができます。

私は、

人からいただいたお金に感謝して、大切なものに使うことも金融教育

だと思っています。

では、親が将来のために積み立てるお金はどうする?

ここからは、お年玉やお祝い金とはまったく別の話です。

例えば、

「毎月1万円ずつ、将来子どもに渡すために貯めています」

というケースです。

月1万円を18年間積み立てれば、

1万円 × 12か月 × 18年 = 216万円

になります。

ただ私は、

「将来、子どもに200万円渡すため」などと、あらかじめ子ども専用のお金を作っておく必要は、必ずしもない

と考えています。

私がそう考える理由は、大きく3つあります。

① 子ども名義の口座に貯めても、必ず「子どもの財産」になるとは限らない

よくあるのが、

「子どものためのお金だから」

と、子ども名義の口座を作り、毎月1万円ずつ積み立てる方法です。

ただ、口座名義を子どもにしただけで、自動的に子どもの財産になるわけではありません。

例えば、

  • お金を出しているのは親
  • 子どもは口座の存在を知らない
  • 通帳や印鑑、キャッシュカードは親が管理している
  • 子どもは自由に使えない

という状態であれば、実質的には親の財産と判断される可能性があります。

もちろん、未成年であっても、贈与の意思を明確にし、法定代理人が子どもに代わって受諾するなど、きちんと贈与が成立していれば子どもの財産になります。

ただ、

「子ども名義の口座に入れておけば、それだけで毎年贈与したことになる」

というわけではありません。

そして、実際には親の財産だった200万円を、大きくなった子どもに、

「これはあなたのために貯めていたお金だから、全部あげるね」

と渡せば、その時点で200万円の贈与となり、贈与税がかかる可能性があります。

そのため私は、

まだ子どもに贈与するつもりがないのであれば、無理に子ども名義にせず、最初から親名義で管理しておいた方が分かりやすい

と思っています。

② まとまったお金を渡すことが、本当に子どものためとは限らない

もう一つ考えておきたいのが、

「200万円貯めたから、いつか200万円を渡す」という発想そのものです。

例えば若いうちに、

「あなたのために貯めてきたから、200万円全部あげるよ」

と渡す。

もちろん、きちんと管理できる人もいます。

ただ、自分で働いて得たわけではないまとまったお金を一度に持つことが、本当にその子のためになるのかは考えてもいいと思います。

経済学には、大きな相続などによって人の働き方が変化する「カーネギー効果」と呼ばれる研究があります。

米国の研究では、

15万ドルを超える大きな相続を受けた独身者は、2万5,000ドル未満の相続だった人に比べて、労働市場から退出する可能性がおよそ4倍

という結果が報告されています。

また、ノルウェーのデータでも、大きな相続を受けた人では、その後の労働供給が7~10%程度減少する傾向が確認されています。

もちろん、

「子どもに200万円渡したら、働かなくなる」

という意味ではありません。

金額も状況も違います。

ただ、

自分で働いて得たわけではないまとまった財産が、その後の働き方や行動に影響する可能性がある

ということは、知っておいてもいいと思います。

③ 子どもに渡すことより、まず親自身に余裕があることが大切

そして私は、これが一番大切だと思っています。

子どものためにお金を残してあげたいという気持ちはよく分かります。

ただ、

「子どものために200万円貯めなければ」

と頑張った結果、

  • 親自身の老後資金が不足する
  • 毎月の生活に余裕がなくなる
  • やりたいことを我慢する
  • 将来、逆に子どもから援助してもらう

となってしまえば、本末転倒です。

ですから私は、

あらかじめ「子どもに○○万円渡す」と決めるより、親自身の生活や老後をまずしっかり準備し、そのうえで余裕があれば必要な時に支援する

くらいでいいと思っています。

「いくら渡すか」より「何のために使うか」

「子どものために200万円貯めたから、200万円渡そう」

と考えるより、

「このお金を何のために使うのか」

を考える方が大切だと思います。

例えば、

子どもの状況 支援する目的の例
結婚する 結婚式や新生活の費用
住宅を購入する 頭金や諸費用
海外留学する 学費・渡航費・生活費
起業する 本気で事業に挑戦するための資金
スポーツ・芸術に挑戦する 海外大会など、今しかできない経験

例えば、何の目的もなく、

「200万円貯めていたから、全部あげる」

のと、

「世界大会に挑戦できるチャンスがある。でも遠征費が50万円かかる。今しかできない挑戦だから、親として30万円出してあげよう」

では、お金の意味がまったく違います。

同じ100万円でも、

若いうちに、

「好きに使っていいよ」

ともらう100万円と、

自分で働き、生活費を払い、お金を貯める大変さを知った後に、

「結婚式をしたいけれど、少しお金が足りない」

というタイミングで親から支援してもらう100万円では、受け取る側の感じ方も違うと思います。

だから私は、

「子どもにいくら渡すか」を先に決めるのではなく、「何のために使うのか」を見て、その時に親が出せる範囲で支援する

という考え方でいいのではないかと思っています。

それでも子どものために貯めておきたい場合は?

もちろん、

「それでも、ある程度は子どものために分けて準備しておきたい」

という方もいると思います。

その場合でも、無理に子ども名義にせず、

親名義の資産として分けて管理しておけばいい

と思います。

そして、どこで管理するかは、いつ使う可能性があるかで考えます。

使うまでの期間 選択肢の例 考え方
数年以内 普通預金・定期預金 値下がりさせたくない
数年~10年程度 定期預金・個人向け国債など 安全性を重視
10年以上先 投資信託なども選択肢 値動きを受け入れながら長期運用

「子どものためのお金」だから特別な運用方法があるわけではありません。

いつ使うのか、どの程度の値動きを許容できるのか。

基本的には、親自身の資産運用と同じ考え方でいいと思います。

私自身はどうしているのか

最後に、私自身の場合です。

お金 私自身の対応
お年玉 基本的に本人が管理
入学祝いなど 必要なものや経験に使う
将来子どもへ渡すための積立 特にしていない
将来大きなお金が必要になった場合 その時の状況を見て支援を考える

私は、

「将来子どもに渡すための200万円」

といった専用の口座を作って積み立てることはしていません。

将来、本当に必要な場面が来たときに考えればいいと思っているからです。

例えば子どもが、

「海外の大会に挑戦したい」

「世界大会に出られるチャンスがある」

「どうしても今、この経験をしたい」

という時が来るかもしれません。

その時に私自身に経済的な余裕があり、

「これは応援してあげたい」

と思えば、お金を出してあげたいと思っています。

結婚や住宅購入、起業などでも同じです。

逆に、その時に親自身の生活や老後資金に余裕がなければ、無理をしてまで出す必要はないと思っています。

あらかじめ、

「あなたに200万円渡す」

と決めてしまうのではなく、

その時の子どもの状況、何に挑戦したいのか、そして親自身の経済状況を見ながら決める。

私は、今のところそんな考え方をしています。

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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