住宅ローンは、
「早く返したほうがいい」
「35年が普通」
「定年までに完済すべき」
など、さまざまな意見があります。
あなたはどう考えますか?
僕自身は、
一定の条件を満たすなら、
「できるだけ長く借りる」
という考え方をしています。
今回は、
住宅ローンの返済期間について、
私自身の考え方も含めて整理していきます。
目次
実際に比較してみる
たとえば、
・35歳
・住宅ローン2,300万円
・固定金利1.88%
で比較してみます。
| 比較項目 | 65歳までに完済(30年返済) | 80歳までで借りる(45年返済) |
|---|---|---|
| 毎月返済 | 約8.3万円 | 約6万円 |
| 利息総額 | 約690万円 | 約930万円 |
つまり、45年返済にすると
毎月2.3万円安くなる代わりに、
利息は240万円増える
ということです。
どちらが正解?
これは、
「何を優先するか」
によって変わります。
【短く借りる考え方】
• 利息を減らしたい
• 早く完済したい
• 老後に借金を残したくない
人には合いやすいです。
【長く借りる考え方】
• 毎月返済を抑えたい
• 教育費にも備えたい
• 家計に余裕を持ちたい
人には合いやすいです。
| 短く借りる | 長く借りる | |
|---|---|---|
| 毎月返済 | 多い | 少ない |
| 利息総額 | 少ない | 多い |
| 老後の返済 | 残りにくい | 残る可能性 |
| 家計余力 | 少なくなりやすい | 持ちやすい |
私は「できるだけ長く借りる」考え方です。
個人的には、
「働く年齢までなら無理なく返済できる金額」
を前提に、
「できるだけ長く借りる」
考え方をしています。
たとえば、
「65歳まで働く予定」
なら、
まずは、
「65歳までなら無理なく返済できる金額か?」
を考えます。
そのうえで、
あえて80歳までで組む
という考え方です。
ただし、
「80歳までで組めば毎月払える」
だけで、
無理な金額を借りるのは危険です。
毎月返済だけを見て借りすぎると、
• 教育費
• 転職
• 病気
• 収入減
など、
何かあったときに対応できなくなる可能性があります。
住宅ローンは、
数十年続く支払いです。
そのため、
「今払えるか」
だけではなく、
「将来変化があっても続けられるか」
が大切です。
そのため、
「働く年齢までなら返済できるか?」
を基準に考えたうえで、
「その返済可能額を長く借りる」
という考え方をしています。
なぜ長く借りるの?
理由は、
大きく5つあります。
① 繰上返済で後から調整できる
もし途中でお金に困っても、
「返済期間を延ばす」
ことは難しいケースが多いです。
一方で、
「返済期間を短くする」
ことは、
繰上返済をすればいつでもできます。
そのため、
「まずは長く借りて、
必要に応じて調整する」
考え方をしています。
② 住宅ローン控除のメリットがある
住宅ローン控除は、
「住宅ローン残高」
に対して受けられます。
そのため、
急いで返済すると、
控除額が減る
ケースがあります。
③ インフレで借金の負担は軽くなる
日本人の平均年収は、
• 1970年:約100万円
• 2020年:約400万円
と、
大きく変化しています。
1970年の年収100万円時代の1,000万円と、
2020年の年収400万円時代の1,000万円では、
「返済の大変さ」
が違います。
もし、
• 物価
• 給料
が今後も上がっていくなら、
今の借金の負担は、
将来相対的に軽くなる
と考えています。
④ 手元資金があることも大切
「借金がない=安心」
とは限りません。
たとえば、
子どもの教育費が、
想定以上にかかった場合。
【Aさん】
住宅ローン完済・預金少ない
↓
教育費が足りず、
教育ローンやカードローンを利用
【Bさん】
住宅ローンは残っているが預金がある
↓
預金から対応できる
この場合、
教育ローンやカードローンのほうが、
住宅ローンより金利は高い
ケースが多いです。
そのため、
「住宅ローンだけを急いで返す」
より、「手元資金とのバランス」
を重視しています。
⑤ 資産運用の考え方によっても変わる
資産運用の考え方によっては、
「急いで返済しない」
という選択肢もあります。
たとえば、
住宅ローン金利2%、
資産運用5%で運用できれば、
理論上は、
返済を急がないほうが、
資産は増えやすくなります。
長期返済が向いていない人もいる
もちろん、
「長く借りるのが正解」
というわけではありません。
たとえば、
• 借金がある状態が心理的につらい人
• 手元にお金があると使ってしまう人
には、長期返済が合わないこともあります。
住宅ローンは、
「理論上お得か」
だけではなく、
「安心して生活できるか」
も大切です。
まとめ
住宅ローンの返済期間に、
「これが正解」
はありません。
短く借りれば、
利息は減ります。
一方で、
毎月返済は大きくなります。
逆に、
長く借りれば、
毎月の負担は下がりますが、
利息は増えます。
私自身は、
「働く年齢までなら無理なく返済できる金額」
を前提に、
「できるだけ長く借りる」
考え方をしています。
理由は、
• 繰上返済で後から調整できる
• 住宅ローン控除のメリットがある
• 手元資金を残しやすい
• 教育費など将来の変化に対応しやすい
からです。
ただし、
「毎月返済が低いから」
だけで、
無理な金額を借りるのは危険です。
大切なのは、
「長期間、無理なく返済できるか」
です。
住宅ローンの考え方は、
• 性格
• 価値観
• 家計状況
によって変わります。
「自分たちに合った返済期間」
を考えていきましょう。
次回は「ペアローン・収入合算はどう選ぶ?」について解説します。

1級FP 磯山裕樹