【2026年最新】個人向け国債とは?定期預金との違いや金利・元本保証の仕組みをFPが解説

「普通預金に置いておくより、少しでも金利の高いところに置いておきたい」

「でも、株式や投資信託のように大きく値下がりする商品には置きたくない」

そんなお金の置き場所として、最近注目されているのが個人向け国債です。

近年の金利上昇を背景に、2026年9月募集分では年2%前後の金利が付くようになっています。

ただ、

  • 3年・5年・10年は何が違うの?
  • 元本保証って本当?
  • 途中でお金が必要になったらどうなる?
  • 定期預金と比べて何が違うの?

と疑問に思う方も多いと思います。

そこで今回は、個人向け国債の仕組みや特徴、定期預金との違いを、できるだけ分かりやすく解説します。

個人向け国債とは?

個人向け国債とは、日本国が個人向けに発行している国債です。

簡単にいうと、

私たちが国にお金を貸す

↓

半年ごとに利息を受け取る

↓

満期になると元本が戻ってくる

という仕組みです。

個人向け国債には、次の3種類があります。

変動10年 固定5年 固定3年
満期 10年 5年 3年
金利 変動 固定 固定
金利の見直し 半年ごと なし なし
金利の決まり方 基準金利×0.66 基準金利-0.05% 基準金利-0.03%
最低金利 年0.05% 年0.05% 年0.05%
最低購入額 1万円 1万円 1万円
中途換金 原則1年後から 原則1年後から 原則1年後から

大きな違いは、変動10年だけ半年ごとに金利が変わることです。

固定3年・固定5年は、購入したときの金利が満期まで変わりません。

ここから、個人向け国債の特徴を順番に見ていきましょう。

個人向け国債の5つの特徴

特徴① 定期預金より高い金利水準

まず注目したいのが金利です。

ここでは、岡山県内で利用している方も多い中国銀行のスーパー定期と比較してみます。

中国銀行が公表している2026年8月3日時点のスーパー定期と、2026年9月募集の個人向け国債を比較すると、次のようになります。

期間 個人向け国債 中国銀行 スーパー定期
3年 固定3年 1.96% 0.53%
5年 固定5年 2.24% 0.70%
10年 変動10年 1.95%※ 0.90%

※変動10年の1.95%は最初の半年間の適用金利です。10年間1.95%で固定されるわけではありません。

現在の金利を比較すると、個人向け国債の方が高い水準になっています。

例えば、1,000万円を5年間預ける場合で単純比較してみましょう。

個人向け国債・固定5年:年2.24%

1年間の利息は、

約22万4,000円(税引前)

です。

中国銀行・5年定期:年0.70%

1年間の利息は、

約7万円(税引前)

です。

年間で、

約15万4,000円

の差になります。

5年間で単純計算すると、

約77万円(税引前)

の差です。

特徴② 1年経過後なら、元本保証で中途換金できる

個人向け国債を理解するうえで、非常に重要なのがこの仕組みです。

発行から1年経過すると、原則いつでも、

額面100円につき100円

で国に中途換金してもらえます。

ただし、中途換金すると、原則として直前2回分の税引後の利子相当額が「中途換金調整額」として差し引かれます。簡単にいうと、直近約1年分の利子を返すイメージです。

これは、通常の債券とは大きく違う個人向け国債ならではの特徴です。

なぜ、これが大きな特徴なの?

通常、金利と債券価格は反対方向に動きます。

例えば、年1%の国債を持っているとします。

その後、市場金利が上がり、新しく発行される国債の金利が年3%になったとします。

同じ100万円なら、

「年1%の古い国債より、年3%の新しい国債を買いたい」

と思いますよね。

すると、年1%の古い国債は、そのまま100万円では売れにくくなります。

そのため、

金利が上がる

↓

債券価格は下がる

という関係になります。

反対に、

金利が下がる

↓

債券価格は上がる

という関係です。

ところが、個人向け国債の中途換金では、市場で売却するのではなく、発行から1年経過すれば、原則として国に額面100円につき100円で中途換金してもらえます。

金利が上がった場合

通常の債券

→ 債券価格が下がり、途中売却すると損失が出る可能性がある

個人向け国債

→ 市場価格が下がっていても、額面で中途換金できる

これは個人向け国債の大きな強みです。

一方で、逆の場合もあります。

金利が下がった場合

通常の債券

→ 債券価格が上がり、途中売却で利益が出る可能性がある

個人向け国債

→ 額面での中途換金なので、値上がり益は得られない

つまり個人向け国債は、

債券価格が下がったときの損失を避けられる代わりに、債券価格が上がったときの利益も得られない

仕組みです。

「元本が守られやすい」という点だけを見るのではなく、

債券価格の値動きの影響を受けにくいように設計された商品

と考えると分かりやすいでしょう。

購入後1年間は原則換金できない

注意したいのは、個人向け国債は購入してすぐに換金できる商品ではないことです。

発行から1年間は原則として中途換金できません。

ただし例外として、

  • 保有者本人が亡くなった場合
  • 災害救助法の適用対象となる大規模な自然災害で被害を受けた場合

には、発行から1年以内でも中途換金できます。

中途換金すると、約1年分の利息が差し引かれる

実際に差し引かれる「中途換金調整額」は、

直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685

です。

少し難しい計算式ですが、

直近約1年分の税引後利息を返す

と考えると分かりやすいでしょう。

必要な金額だけ換金することもできる

個人向け国債は1万円単位で中途換金できます。

例えば500万円持っている場合、

200万円だけ換金して、残り300万円はそのまま保有する

といった使い方もできます。

もちろん、途中換金せずに満期まで保有すれば、満期時に額面金額が戻ってきます。

特徴③ 変動10年は金利上昇に対応できる

変動10年は、半年ごとに適用金利が見直されます。

そのため、

市場金利が上がる

↓

基準金利が上がる

↓

個人向け国債の金利も上がる

という形で、金利上昇の恩恵を受けることができます。

ただし注意したいのが、

市場の10年国債と同じ金利を受け取れるわけではない

ということです。

変動10年の金利は、

基準金利×0.66

で決まります。

例えば基準金利が3%なら、

3%×0.66=1.98%

です。

つまり、

「10年国債の基準金利が3%だから、個人向け国債も3%もらえる」

というわけではありません。

この点では、通常の国債と比べて金利が抑えられています。

一方、固定5年と固定3年は、

  • 固定5年:基準金利-0.05%
  • 固定3年:基準金利-0.03%

で決まります。

そのため、固定5年・固定3年は、基準となる市場金利との差が比較的小さくなっています。

特徴④ 購入した金融機関が破綻しても影響なし

定期預金と個人向け国債では、そもそも誰にお金を貸しているのかが違います。

個人向け国債 銀行の定期預金
お金を貸している相手 日本国 銀行
銀行が破綻した場合 国債の権利には直接影響しない 預金保険制度の対象(1金融機関につき元本1,000万円+破綻日までの利息)
主な信用リスク 日本国 銀行

定期預金の場合、銀行が破綻すると、預金保険制度によって、

1金融機関につき1人あたり、元本1,000万円まで+破綻日までの利息

が保護されます。

一方、個人向け国債は銀行への預金ではありません。

銀行や証券会社は、あくまで国債を購入するための窓口です。

元本や利息を支払うのは日本国です。

そのため、例えば銀行で2,000万円分の個人向け国債を購入したからといって、

「1,000万円を超える部分は保護されない」

ということではありません。

購入した銀行や証券会社が破綻しても、国債そのものの権利がなくなるわけではありません。

ただし、個人向け国債にもリスクがないわけではありません。

最終的な支払義務者は日本国なので、日本国が債務不履行などに陥った場合には、元本や利息が予定どおり支払われない可能性があります。

つまり、

定期預金

→ 銀行の信用リスクがあるが、預金保険制度により一定額まで保護される

個人向け国債

→ 最終的な信用リスクは日本国

という違いがあります。

特徴⑤ 自動積立はできない

個人向け国債は毎月募集されています。

そのため、

「毎月5万円ずつ買う」

ということ自体は可能です。

ただし、銀行の積立定期預金のように、毎月決まった日に自動的に一定額を購入する仕組みではありません。

基本的には募集されるたびに、自分で購入手続きをする必要があります。

そのため、毎月コツコツ購入していきたい方にとっては少し手間になります。

例えば、毎月一定額を別の預金口座へ自動振替しておき、ある程度まとまったら個人向け国債を購入する、といった方法も考えられます。

個人向け国債と定期預金の違いを比較

ここまでの違いをまとめると、次のようになります。

比較項目 個人向け国債 定期預金
お金を貸す相手 日本国 銀行
金利 固定または変動 主に固定
元本 満期時に額面で返還 満期時に元本返還
中途換金・解約 原則1年後から 原則可能
1年以内 原則換金不可 中途解約可能
途中でやめた場合 約1年分の利子相当額を調整 中途解約利率が適用
金利上昇への対応 変動10年なら○ 固定定期なら×
金利低下時の値上がり益 なし なし
銀行破綻時 国債の権利には直接影響しない 預金保険制度の対象
自動積立 基本的になし 対応商品あり

まとめ|元本割れを避けてお金を置くなら、定期預金より個人向け国債

個人向け国債には、

  • 固定3年
  • 固定5年
  • 変動10年

の3種類があります。

現在の金利水準を見ると、定期預金より個人向け国債の方が高い金利になっているケースも多くあります。

そのため、

「大きな値動きは避けたい」「元本割れをできるだけ避けながら、お金を置いておきたい」

という場合には、定期預金だけでなく、個人向け国債も有力な選択肢になります。

では、固定3年・固定5年・変動10年は、どう使い分ければよいのでしょうか。

私は、「いつ使う予定のお金なのか」で考えると分かりやすいと思います。

お金を使う予定 向いている商品 理由
3年後に使うことが決まっている 固定3年 3年間金利を固定でき、3年後の満期まで保有すれば中途換金の必要がない
5年後に使うことが決まっている 固定5年 5年間金利を固定でき、5年後の満期まで保有すれば中途換金の必要がない
使う時期が決まっていない・しばらく使う予定がない 変動10年 半年ごとに金利が見直されるため、今後の金利上昇にも対応しやすい

3年後に使うなら、なぜ変動10年ではなく固定3年?

例えば、3年後に子どもの教育費として使うことが決まっているお金があるとします。

このお金を「変動10年」で運用し、3年後に中途換金することもできます。

ただし、個人向け国債を満期前に中途換金すると、

直近約1年分の利息が差し引かれます。

例えば3年間保有して中途換金した場合、直前2回分の税引後の利子相当額が差し引かれるため、3年間に受け取った利子がそのまま全額残るわけではありません。イメージとしては、直近約1年分の利子を返すことになります。

一方、「固定3年」であれば、3年間保有して満期を迎えれば、中途換金調整額はありません。

つまり、

「3年後に必ず使う」

→ 固定3年

「5年後に必ず使う」

→ 固定5年

と、使う時期と満期を合わせることで、せっかく受け取った利息を中途換金時に返す必要がありません。

教育費など、

  • 3年後の高校・大学進学
  • 5年後に予定している大きな支出

など、使う時期がはっきり決まっているお金には、固定3年・固定5年は使いやすいでしょう。

使う時期が決まっていないなら変動10年

一方、

「今すぐ使う予定はないけれど、いつ使うかまでは決まっていない」

というお金であれば、変動10年が使いやすくなります。

変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、

今後さらに金利が上がれば、受け取る利息も増える可能性があります。

また、10年間絶対に持たなければならないわけではありません。

発行から1年経過すれば、約1年分の利息を差し引くことで、原則として額面で中途換金できます。

そのため、

使う時期が決まっているお金

→ 固定3年・固定5年

使う時期が決まっていないお金

→ 変動10年

と考えると、シンプルです。

もちろん将来の金利は分かりません。

固定3年・固定5年を選んだあとに金利が上昇すれば、「変動10年にしておけばよかった」ということもあります。

反対に金利が下がれば、現在の金利を固定できた固定3年・固定5年が有利になります。

そのため、どれが必ず一番得になるということではありません。

大切なのは、

「今後、金利が上がるか下がるか」を当てることよりも、「そのお金をいつ使うのか」に合わせて商品を選ぶこと

だと思います。

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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