「5年以内に使う予定のお金、どこに置いておけばいいんだろう?」
例えば
・子どもの教育資金
・車の買い替え費用
・住宅購入の頭金
こうしたお金は
使う時期が決まっている“中期資金”です。
この中期資金は
使いたいタイミングで減ると困るため、株式投資は使いづらい。
とはいえ、物価上昇でお金の価値が目減りするのも避けたい。
「守りたいけど、お金の価値は保ちたい」
という、とても悩ましいポジションのお金です。
そこで選択肢として考えられるのが、
・個人向け国債
・円建ての貯蓄保険
どちらも「元本重視」で運用できる選択肢ですが
仕組み・リスク・使いやすさが大きく違います。
今回は
・それぞれの違い
・メリット・デメリット
・どちらを選ぶべきか
を分かりやすく解説します。
目次
選択肢①個人向け国債
個人向け国債は、日本国が発行する債券で、1万円から購入できます。
(1万円単位で一部解約も可能)
つまり、日本にお金を貸して、その利息を受け取る投資です。
メリット①元本保証
いつ解約しても元本は維持されます。
これは当たり前のようですが、実は大きな特徴です。
なぜ債券は値動きするのか?
通常の債券は
・満期まで持ってはじめて元本が戻る仕組み
・途中で売ると価格が変動します。
債券は、金利が上がると値下がりします。
これは、あとから出てくる債券の方が有利になるためです。
例えば、
・金利1%の債券を持っている
・その後、金利2%の債券が登場
→当然、2%の方が人気になります。
すると1%の債券は
価格を下げないと売れない
=値下がりする
という仕組みです。
逆に、金利が下がると債券価格は上がります。
金利 ↑ → 債券価格 ↓
金利 ↓ → 債券価格 ↑
一方、個人向け国債は
国が額面で買い取ってくれる仕組み
そのため
・金利が上がっても下がっても価格は変わらない
・途中換金でも元本が守られる
※途中換金時は「直前2回分の利息」が差し引かれます。
※定期預金の場合、途中解約すると利息は普通預金並みまで下がります。
メリット②金融機関の破綻リスクを回避
金融機関の破綻リスクを回避できる点も安心材料です。
銀行預金:銀行が破綻→1,000万円まで保護
貯蓄保険:保険会社が破綻→約90%まで保護
個人向け国債:銀行や証券会社が破綻→全額保護
ただし
国の信用リスク(国債の信用リスク)を取っている商品です。
現実的に可能性は低いものの、破綻はゼロではありません。
デメリット①大きく増える商品ではない
・株式と比べるとリターンは低め
→ 物価上昇に勝てない可能性あり

出典:財務省HP
(例)物価上昇2%、国債金利1%
実質▲1%(お金の価値が目減り)
・NISAを使えないため、利息には約20%の税金がかかる
デメリット②1年間は原則解約できない
購入後1年間は途中換金ができません。
(例外:死亡・災害時など)
デメリット③手間がかかる
ほったらかし運用にはやや不向きです。
・利息は自動で再投資されない
複利で増やすには自分で再投資が必要
・積立設定ができない
3つの種類と使い分け
個人向け国債は、固定3年・固定5年、変動10年の3つの種類があります。

出典:財務省HP
固定3年・固定5年
・金利は満期まで固定
→使う時期が決まっているお金に向いている
(教育費・車購入・住宅資金など)
変動10年
・10年国債に連動して、半年ごとに金利が見直される
・最低金利0.05%あり
→金利上昇に対応したい人向け
ただし、
10年以上使わないお金であれば「株式投資」も選択肢になります。
また、途中解約した場合は
直前2回分(=約1年分)の利息が差し引かれます。
選択肢②円建て貯蓄保険
円建ての貯蓄保険は
・保険会社が債券で運用している商品
・間接的な債券投資
メリット①満期まで続ければ、予定通り増える
満期まで持てば、受取額が確定しています。
2026年4月時点の水準でみると
5年国債:約1.8%前後
5年満期の保険:約1.8%前後
※保険会社により、金利は異なります

※2026年4月時点 ある保険会社の商品
メリット② 税制が有利なことも
お金を受け取るときは、一時所得として課税されます。
(※契約者=受取人で一時金受取の場合)
一時所得の税金の計算式は
(受取額 − 払込保険料 − 50万円)÷ 2
つまり
「利益から50万円引いて、その半分に課税」です。
具体例
(例)500万円/年1.83%/6年
→ 利益 約55万円
≪貯蓄保険≫
55万 − 50万 = 5万
→ 1/2 → 2.5万
給与などと合算されて課税(総合課税)
・所得税5%の人
1,250円 + 住民税2,500円 = 3,750円
・所得税10%の人
2,500円 + 住民税2,500円 = 5,000円
・所得税20%の人
5,000円 + 住民税2,500円 = 7,500円
≪個人向け国債≫
55万 × 約20%=約11万円
約10万円差
税金を抑える考え方
一時所得は「その年ごと(1月~12月)」にまとめて計算されます。
その年の一時所得の合計利益が50万円以内であれば課税されません。
そのため、解約時期を分けることで税金を抑えられます。
例えば
一括で解約
→ 利益55万円
→ 課税対象発生
2年に分けて解約
→ 各年の利益 約27万円
→ 各年とも50万円以内、課税なし
ただし注意(重要)
一定条件に当てはまると
金融類似商品として約20%課税になります。
■該当条件
・一時払い(または短期でほぼ払い込み)
・保障が小さい(=貯蓄性が高い)
・5年以内満期 or 5年以内解約
■代表例
・一時払養老保険
・一時払個人年金保険(確定年金)
・一時払変額保険(有期型)
・一時払変額個人年金
この場合は
一時所得ではなく、約20%課税になります。
デメリット① 途中解約すると元本割れの可能性
この商品は、
満期まで保有してはじめて利益が出る設計
そのため
・満期まで持てば利益が受け取れるが
・途中で解約すると
利益が出ない、または元本割れになる可能性あり

※2026年4月時点 ある保険会社の商品
また、契約後に金利が上昇すると、元本割れしやすくなります。
金利上昇 → 相対的に不利 → 解約時に元本割れしやすい
金利下落 → 受取額は増えない(固定のまま)
→上昇リスクだけを負う構造
満期前に解約すると
利益が出ないどころか、元本割れになる可能性があるため要注意です。
デメリット② 保険会社の破綻リスク
保険会社が破綻した場合
責任準備金の約90%まで保護(条件あり)
個人向け国債と貯蓄保険の比較
| 項目 | 個人向け国債 | 貯蓄保険(円建て) |
|---|---|---|
| 安全性 | ◎(国の信用) | ○(保険会社の信用、約90%保護) |
| 税金 | △(約20%分離課税) | ◎(一時所得で有利な場合あり) ※金融類似商品:約20%課税 |
| 途中解約 | 〇(1年後いつでも換金可) ・途中換金でも元本維持 ・直前2回分(約1年分)の利息が差し引かれる |
△(いつでも解約可能) ・利益なしの場合あり ・金利状況により元本割れリスク |
| 手間 | △(再投資必要) | ◎(放置OK) |
判断軸
途中解約しない確信がある
→貯蓄保険も選択肢
・利回りは国債と同水準
・税制が有利なケースあり
・手間がかからない
→最終的に手元に残るお金はやや多くなる可能性
ただし
・5年以内に解約すると税制メリットがなくなる
・途中解約では、元本割れリスクあり
→途中で動かすとデメリットが大きい
途中で使う可能性あり
→個人向け国債が有利
・元本が守られる
・いつでも換金できる(1年後以降)
・金利環境に左右されにくい
→流動性(使いやすさ)が高い
私の考え
変化が激しい時代です。
特に子育て世代は
子どもの進路や支出は予測しきれない。
その中で
「5年前後、絶対に使わないお金」を前提にするのは現実的には難しいケースが多い。
▶ 私の結論
基本は個人向け国債を優先

1級FP 磯山裕樹