メディカルKit R を僕が選ばない理由

メディカルKit R は、

・終身医療保険
・入院・手術などを一生涯保障
・所定年齢(60~80歳)までに払った保険料のうち、「使わなかった分」が還付される
・還付後も保障は継続できる

という特徴を持つ医療保険です。

簡単にいうと、
「大きな病気をせずに過ごせば、払った保険料に近い金額が戻ってくる」
という、“掛け捨てではない医療保険”です。

また、途中で入院や手術の給付を受けた場合でも、
その分を差し引いた残りのお金は還付されます。

そのため、
「どうせ払うなら、掛け捨てじゃない方がよくない?」
「使わなかったらお金が戻るなら安心そう」
と感じる人も多いと思います。

ただ、僕自身はこの保険には加入しません。
もちろん、価値観によって合う人もいます。

そのうえで、
なぜ僕は選ばないのか?
保険の仕組みや、お金の増え方・使い方という視点から、整理してお伝えします。

保険料と還付金のイメージ

※2026年5月時点の商品内容・保険料例をもとに作成しています。

30歳男性・入院日額5,000円プランの場合

保険料:月3,265円
60歳時点の健康還付給付金:1,175,400円
(3,265円 × 12か月 × 30年)

※保険を使った場合は、その給付金分が還付金から差し引かれます。

例)
保険給付:175,400円
健康還付給付金:100万円

注意点

実際、
「払った保険料が全部戻る」
と誤解している人は多いです。

ただ実際に戻るのは、
主契約部分のみです。

例えば、

・先進医療特約
・入院一時金
・通院特約
・三大疾病特約
・死亡保障特約

などの特約保険料は、
基本的に還付対象外です。

この保険の仕組み

「保険料が戻る」と言っても、
実際は毎月の保険料が高めに設定されています。

つまり、
“保険+積立”
を同時にやっている構造
です。

例えば、
30歳男性・入院日額5,000円プランで比較すると、

メディカルKit R
月3,265円

掛け捨て医療保険(例:FWD生命)
月996円
※健康体・非喫煙優良体料率の場合

差額は、月2,269円です。

つまりイメージとしては、

996円 → 掛け捨て医療保険
2,269円 → 積立部分

を組み合わせている形です。

60歳で約117万円戻ったとしても、
そのすべてが“得したお金”ではありません。

約81万円 → 自分で積み立てた部分
約36万円 → 掛け捨て部分を使わなかったことで戻る部分

という構造です。

つまり、
「117万円まるごと得した」のではなく、
“自分で積み立てたお金+使わなかった保険料の一部”
が戻ってきている
イメージです。

約7割は、自分で積み立てていたお金
残りの3割は保険を使わなかったら戻るお金です。

4つの落とし穴

メディカルKit R は、
「使わなかった保険料が戻る」
という特徴があるため、魅力的に感じる人も多いと思います。

ただ、実際には、
・病気をすると還付メリットが小さくなる
・老後も高い保険料が続く
・インフレに弱い
・途中解約に弱い
という、4つの注意点があります。
ここからは、僕が加入しない理由を、この4つのポイントに分けて整理していきます。

①病気で給付を受けるほど、“還付メリット”は小さくなる

メディカルKit R は、

病気で給付を受ける

その分、健康還付給付金が減る

という構造です。

例えば、
60歳までの給付金合計が117万円だった場合、

≪メディカルKit R≫
払込保険料:約117万円
給付金:約117万円
健康還付給付金:0円

となります。

もちろん、
保険として給付を受けているため、
「損」というわけではありません。

ただ、“保険料が戻るメリット”
は小さくなります。

一方、
掛け捨て医療保険の場合は、

保険料:約36万円
給付金:約117万円

となるため、
少ない保険料で大きな保障を受けやすいです。

② 健康還付後も保険料負担は続く

メディカルKit R は終身医療保険です。

そのため、
健康還付給付金を受け取った後も、
保障は継続できます。

ただし同時に、
保険料の支払いも継続します。

例えば、
60歳まで一度も給付がなく、
約117万円が満額戻った場合。

掛け捨て型との差額メリットは、
概算で約36万円程度です。

≪60歳還付金:1,175,400円の内訳≫
・816,840円の医療貯金
・358,560円の掛け捨て保険で使わなかったので戻ってきた分

しかし、
60歳以降も継続すると、
・メディカルKit R:月3,265円
・掛け捨て型:月996円
差額は毎月2,269円。

月2,269円の差額が続くため、
約13年後(73歳前後)で、
60歳時点で得していた約36万円分はなくなります。

「60歳でお金が戻ってきた!」
と感じても、
その後も高い保険料を払い続けることで、
徐々に差額は縮まっていきます。

そのため、
長生きするほど、
“高い保険料を払い続ける構造”

になりやすい点は、
考えておきたいポイントです。

③ インフレに弱い

例えば30年間払って、
60歳で約117万円戻ったとしても、
30年後の117万円の価値は、
現在より低くなっている可能性があります。

物価上昇(インフレ)が年2%で30年間続くと、
今の117万円と同じ価値を持つには、
30年後には約212万円必要になります。

つまり逆に言うと、
30年後の117万円の価値は、
今の約64万円相当
です。

そのため、
「将来117万円戻る」
という数字だけでなく、
“実質的な価値”
も考える必要があります。

④ 途中解約に弱い

メディカルKit R は、
長期継続を前提に設計された商品です。

そのため、
途中解約時は、
払込保険料よりかなり少ない返戻
になるケースがあります。

契約初期は返戻率が低く、
契約例によっては、返戻率が4〜5割程度になるケースもあります。

そのため、
・想定外の支出
・家計悪化
・保険見直し
などで途中解約すると、
「掛け捨てじゃない」と思って加入したのに、
実質かなり掛け捨てに近くなるケースがあります。

僕の考え

僕自身は、
「保険」と「投資」は分けて考える
方が好きです。

まず、
「そもそも医療保険が本当に必要か?」
を考えます。

そのうえで必要なら、
必要な期間だけ、
シンプルな掛け捨てで備える

という考え方です。

そして、
老後資金づくりは、
・NISA
・iDeCo
・企業型確定拠出年金
などで、
インフレ対応しながら準備したいと考えています。

積立投資と比較すると

今回の例では、
・メディカルKit R:月3,265円
・掛け捨て医療保険:月996円
差額は毎月2,269円。

これを30年間積み立てた場合、
元本は約81万円です。

これを年3%で運用できた場合、約132万円になります。
・元本:約81万円
・運用益:約50万円
となり、
一度も病気をせず、
メディカルKit R の還付メリットを最大限受け取った場合の
「掛け捨て部分が戻るメリット(約36万円)」を上回る計算です。

出典:楽天証券積み立てシミュレーション

年8%で運用できた場合は、
約338万円になります。

さらにiDeCoを活用すれば、
所得控除による節税メリットもあります。

まとめ

メディカルKit R は、
・長期間保険料を預かる
・老後も継続してもらう
・集めた保険料を保険会社が運用する
ことで成り立っている商品です。

保険会社としては、
・途中解約時の返戻差額
・健康還付後も続く保険料収入
・保険料を運用することで得られる利益
などが収益源になります。

もちろん、これは保険商品として特別おかしいことではありません。

ただ僕自身は、
・途中解約すると不利になりやすい場所にお金を置かない
・老後も継続するなら、もっと保険料が安いシンプルな保険を選ぶ
・保険会社に運用してもらうのではなく、自分で積立投資をして運用益を直接受け取る
という考え方をしています。

そのため、
「保険は保険」
「投資は投資」
と分けて考えたいタイプなので、
僕自身はメディカルKit R は活用しません。

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

プロフィールを見る

PAGE TOP
MENU
家計の整え方