「個人事業主をしています。個人事業主ができる節税対策について教えていただけませんか?」

書籍「夫婦貯金年150万円の法則」の読者から、P144~150の『おさえておくべき「控除」5選』の部分について、質問いただきましたので解説していきます。

本で紹介したおさえておくべき「控除」5選以外で、個人事業主が活用できる税金の対策は次の2つになります。
●小規模企業共済
●経営セーフティ共済
今回は、「経営セーフティ共済」のメリット・デメリットについてお伝えします。
YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約9分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
目次
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産したときに、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
【活用できる人】
1年以上事業を継続している個人事業主・中小企業者
会社設立、個人事業主1年目の人は入ることはできません。

出典:中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」資料より
メリット
経営セーフティ共済のメリットについて見ていきましょう。
メリット①最大8000万円借りれる
取引先が倒産したとき、「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額を無担保・無保証人で借りられます。ただし、共済金の貸付けを受けると、それまでに納付された掛金総額から貸付額の10分の1に相当する額が控除(掛金の権利が消滅)されるので、タダで借りれるわけではありません。

出典:中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」資料より
また、取引先が倒産していなくても、解約手当金の最大95%まで一時貸付金を受けれます。
●利息:0.9%
●返済:1年後に一括
メリット②掛金は必要経費
月額5,000円から20万円の範囲の5,000円単位で、積み立てをすることができ、掛金は必要経費になります。たとえば、所得が500万円の人が年間240万円をかけると500万円の所得で税金が計算されるのではなく、260万円の所得で税金が計算されるので、その年に支払う税金が少なくなるということです。

出典:中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」資料より
●途中で掛金額の変更可 ※毎月最低5000円は継続が必要
●年払い可
●累計積立上限800万円
メリット③40か月以上経てば、掛金の100%が戻る
掛金は、1年たてばいつでも解約することができ、40カ月たつと掛金全額が戻ってきます。
次の3つの解約する理由により、解約金の額が変わります。
●任意解約:任意に行う解約
●みなし解約:共済契約者の死亡、解散、会社分割、事業の全部譲渡の場合の解約
●機構解約:12か月分以上の掛金の滞納をしたときなどに中小機構が行う解約
メリット④自分のタイミングで解約できる
1年未満の解約金はないが、1年以上たてば自分のタイミングで解約できます。
ただし注意しないといけないことは、解約したときは利益になる=税金がかかるということです。いつ受け取るか、出口が大切になります。事業が苦しく赤字のとき、経費が大きくかかるときなどに解約して上手く活用しましょう。

下記、個人事業主の例の場合で見てみましょう。
●所得500万円 税率30%(所得税20%、住民税10%)
●経営セーフティ共済の累計掛金800万円(40カ月経過)
●2025年の売上100万円、経費900万円で800万円の赤字
過去の節税額は、800万円×30%=240万円です。
2025年に経営セーフティ共済に積立している800万円を解約します。
売上900万(売上100万+解約金800万)―経費900万=所得0円
800万円の掛金に対して本来であれば240万円税金がかかっていましたが、かかりません。
この例のように税率が高いときに積み立てをして、低いときに解約をすると節税になります。

ただし、経営セーフティ共済を利用しない場合でも、所得税、住民税のどちらにも「青色申告者」については、事業等で生じた損失の金額を翌年以降の3年間の所得と相殺することができます。
この例の場合、翌年以降3年間で800万円の所得があれば、その800万円に対して税金はかかりません。ただし、3年を超えてしまうと赤字と相殺ができないので、解約手当金と相殺させることによって、損失を繰り越しできないリスクをカバーすることができます。
デメリット
次に、経営セーフティ共済のデメリットについてお伝えします。
デメリット①部分解約ができない
解約金は一括解約しかできず、部分解約ができません。
下記、個人事業主の例の場合で見てみましょう。
●所得500万円 税率30%(所得税20%、住民税10%)
●経営セーフティ共済の累計掛金800万円(40カ月経過)
●2025年の所得300万円
少し売り上げが落ちて所得が300万円のときに800万円を解約すると、所得が1100万円になります。日本は累進課税なので、所得1100万円に対しての税率43%(所得税33%、住民税10%)になるので、積み立て時の税率よりも大きくなり損をしてしまいます。

解約するタイミングによっては税率が上がり返って損をする可能性があります。貯めすぎると使いづらいので、ほどほどに貯めておくのも一つの手になります。
デメリット②解約後2年間は経費にならない
一度解約しても何度でも再加入できます。しかし、その解約の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金については、積み立てることができますが、経費にはできません。再加入を検討するときは注意しましょう。

デメリット③運用益なし
積み立てるだけなので運用益はありません。小規模企業共済やiDeCo(商品による)は運用しながら積み立てできますが、経営セーフティ共済は掛金がそのまま戻ってくるだけになります。

まとめ
今回は、「経営セーフティ共済」のメリット・デメリットについてお伝えしました。
メリットは次の4点です。
メリット①最大8000万円借りれる
メリット②掛金は必要経費
メリット③40か月以上経てば、掛金の100%が戻る
メリット④自分のタイミングで解約できる
デメリットは次の3点です。
デメリット①部分解約ができない
デメリット②解約後2年間は経費にならない
デメリット③運用益なし
節税になると思い活用したけど、人によっては使わないほうがよい場合もあります。メリット、デメリットを押させて活用していきましょう。



















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