自動車保険を見直すときに、代車特約をつけるかどうかで迷う方もいると思います。
代車特約とは、事故などで車を修理している間に、レンタカーなどの代車費用を補償する特約です。
車を修理に出している間、
「通勤はどうするのか」
「子どもの送迎はどうするのか」
「買い物や病院に行くときはどうするのか」
と考えると、代車特約をつけておいた方が安心に感じるかもしれません。
ただ、結論からいうと、私は代車特約は基本的には不要と考えています。
もちろん、車がないと困る人は多いです。
特に地方では、車が生活に欠かせない家庭もあります。
それでも、代車特約を基本的には不要と考える理由は、レンタカー代は、保険で備えるよりも貯蓄で対応する方がよい場合が多いと考えるからです。
この記事では、代車特約が本当に必要かどうか、実際の見積もり例も使いながら整理していきます。
目次
代車特約とは?
代車特約とは、事故などで車を修理している間に、代車やレンタカーを借りる費用を補償する特約です。
保険会社によっては、次のように名前が少し違うことがあります。
- 代車特約
- 事故時レンタカー費用特約
- レンタカー費用補償
車両保険は、自分の車の修理費に備える補償です。
一方で、代車特約は、修理中の移動手段に備える補償です。
つまり、代車特約は車の修理費そのものに備える保険ではありません。
修理中にレンタカーを借りる場合、そのレンタカー代に備えるものです。
代車特約をつけると保険料はいくら上がる?
代車特約を考えるときは、
「つけると安心かどうか」だけでなく、
「そのために毎年いくら払うのか」
を確認することが大切です。
今回は、ソニー損保で次のような条件で見積もりを確認しました。
- 車種:ホンダ フリード
- 型式:GB7
- 初度登録:2021年8月
- 年間走行距離:5,000km
- 車両保険金額:200万円
- 免責金額:0-10万円
この条件で、代車特約なし、日額5,000円、日額10,000円を比較すると、年間保険料は次のようになりました。
| 代車特約 | 年間保険料 | 代車特約なしとの差 |
|---|---|---|
| なし | 75,910円 | なし |
| 日額5,000円 | 83,540円 | +7,630円 |
| 日額10,000円 | 90,820円 | +14,910円 |
この例では、代車特約を日額5,000円でつけると、年間保険料は7,630円高くなります。
日額10,000円でつけると、年間保険料は14,910円高くなります。
もちろん、保険料は車種、年式、等級、地域、年齢条件、補償内容などによって変わります。
そのため、この金額はあくまで一例です。
ただ、代車特約を考えるときは、
「事故のときにレンタカー代が出るから安心」
だけではなく、
「そのために毎年いくら払うのか」
を見て判断することが大切です。
代車特約を基本的には不要と考える理由
私は、代車特約は基本的には不要と考えています。
理由は、代車費用は、保険で備えるよりも貯蓄で対応する方がよい場合が多いと考えるからです。
たとえば、事故で車を修理することになり、レンタカー代が1日1万円かかったとします。
10日間借りると、レンタカー代は10万円です。
10万円という金額は、決して小さくありません。
ただ、その10万円に備えるために、毎年保険料を払うべきかどうかは別の話です。
今回の見積もりでは、代車特約を日額10,000円でつけると、代車特約なしと比べて年間14,910円高くなりました。
仮に、毎年約15,000円を払うと考えると、次のようになります。
- 5年で約75,000円
- 7年で約105,000円
- 10年で約150,000円
もちろん、実際の保険料は毎年変わる可能性がありますし、これは単純計算です。
ただ、考え方としては、
「めったに起きない事故時のレンタカー代に備えるために、毎年保険料を払い続けるべきか」
を考える必要があります。
保険は、基本的には、起きる確率は低いけれど、起きたときに家計では対応できない大きな損害に備えるものです。
たとえば、相手を死亡させてしまった場合の賠償、相手の車や店舗に大きな損害を与えた場合の賠償などは、自分の貯蓄だけでは対応できない可能性があります。
そのため、対人賠償や対物賠償はしっかり備える必要があります。
一方で、代車費用はどうでしょうか。
たしかに、レンタカー代が10万円かかると大きな負担です。
しかし、家計が破綻するほどの損害かというと、多くの家庭では、貯蓄で対応できる可能性もあります。
貯蓄で対応できる損害であれば、毎年保険料を払って備えるよりも、保険料を抑えて、その分を貯蓄に回すという考え方もあります。
そのため、私は代車特約は基本的には不要と考えています。
「車を毎日使う人=代車特約が必要」とは限らない
代車特約を考えるとき、
「通勤で毎日車を使うなら必要」
「子どもの送迎で車を使うなら必要」
と考えがちです。
もちろん、車を毎日使う人ほど、修理中に車がないと困ります。
ただ、それだけで代車特約が必要とは限りません。
大切なのは、「レンタカー代を自分で払えるか」です。
毎日車を使う人でも、修理中のレンタカー代を貯蓄から出せるのであれば、代車特約をつけずに保険料を抑える選択肢があります。
反対に、車を毎日使うかどうかに関係なく、レンタカー代を出すのが厳しい人は、代車特約を検討してもよいと思います。
つまり、判断の軸は、
「車を使う頻度」だけではなく、
「事故時にレンタカー代を貯蓄で対応できるか」です。
代車特約を検討してもよい人
基本的には不要と考えていますが、次のような人は代車特約を検討してもよいと思います。
- 急に5万円、10万円のレンタカー代がかかると家計に影響が出る人
- 車が使えないと仕事や生活に大きく困り、なおかつレンタカー代の自己負担が難しい人
ポイントは、単に「車が必要かどうか」ではありません。
車が必要で、なおかつ、レンタカー代を自分で出すのが厳しいかどうかです。
このような人は、代車特約をつけることで、事故時の一時的な負担を抑えられる可能性があります。
代車特約をつけなくてもよい人
一方で、次のような人は、代車特約を外して保険料を抑える選択肢があります。
- 車を頻繁に使わない人
- 家族の車を借りられる人
- 公共交通機関で代用できる人
- 徒歩や自転車で生活できる人
- 在宅勤務などで通勤に車を使わない人
- 修理工場で無料の代車を貸してもらえる人
このような人は、修理中に車が使えなくても、生活への影響を抑えられる可能性があります。
また、レンタカー代が発生したとしても、短期間であれば自分で払えるという人もいると思います。
その場合は、代車特約をつけずに、毎年の保険料を抑える考え方でよいと思います。
まとめ
代車特約は、事故などで車を修理している間のレンタカー代に備える特約です。
ただし、私は基本的には不要と考えています。
保険は、起きる確率は低くても、起きたときに家計では耐えきれない大きな損害に備えるためのものです。
レンタカー代は、たしかに負担になることがあります。
しかし、貯蓄で対応できるのであれば、毎年保険料を払って備えるよりも、代車特約を外して保険料を抑える選択肢があります。
代車特約を検討してもよいのは、次の2つに両方当てはまる人です。
- 車に頻繁に乗り、車がないと生活や仕事に大きく困る人
- 修理中のレンタカー代を貯蓄から出すのが厳しい人
反対に、次のような人は、基本的には代車特約を外してもよいと思います。
- 車がなくても一時的に対応できる人
- 車は必要でも、レンタカー代を貯蓄で払える人
代車特約は、車の必要性と貯蓄で対応できるかの2つで判断しましょう。

1級FP 磯山裕樹