【1級FPが解説】「残価設定ローン」より「マイカーローン」を選ぶと5年間で50万円利息削減ができる

『自動車の購入を考えています。車を買うのに、「残価設定ローン」と「マイカーローン」のどちらを選んだらよいでしょうか?』

書籍「夫婦貯金年150万円の法則」の読者から、P150~154の『やってはいけない借金とやってもいい借金』の部分について、質問いただきましたので解説していきます。

まず前提として自動車を借金をして買うことは、僕はしません。活用してもいい借金は、住宅ローンと奨学金、この2つだけだと考えているからです。なぜこの2つだけなのかは、書籍「夫婦貯金年150万円の法則」の読者から、P150~154の『やってはいけない借金とやってもいい借金』に詳しく書いているのでよければ参考にしてみてください。

なので、質問者さんへのアドバイスとしては、手元資金で買えない車は買うべきではないということです。そのうえで、どうしても車を借金して買わないといけないという人は、「残価設定ローン」と「マイカーローン」の2つの選択肢がありますが、僕は「マイカーローン」をおすすめします。

今回は、「残価設定ローン」ではなく「マイカーローン」を選ぶべき理由をお伝えします。

YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約8分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。

残価設定ローンとは

車体本体価格の一部をあらかじめ残価として据え置き、残りの金額を分割で支払うローンです。支払い期間は3~5年に設定されている場合が多く、残価は3~5年後に車の状態が一定の条件を保っていれば車を買い取ってくれる金額で設定されています。簡単にお伝えすると、下取りを前提にしたローンです。イメージは図のような感じです。

たとえば、価格500万円、支払い回数60回、残価設定200万円だとします。残価設定にした場合、価格500万円-残価設定200万円=300万円を60回に分けて支払っていきます。

期間終了後の選択肢は次の3つです。

①残価200万円とローンの残債200万円を相殺して別の車に乗り換える
②残価200万円を支払って今の車に乗り続ける
③車を返却する

マイカーローンとは

「マイカーローン」とは、金融機関が提供する自動車を購入するためのローンです。一般的に残価を設定せず、ローンを組みます。

残価設定ローンの一般的なメリット

マイカーローンと比べて、残価設定ローンの一般的なメリットは次の4つとよく言われています。

①月々の支払いが低い
②下取り価格が保証されている
③新しい車に乗り換えやすい
④手間がかからない

メリットを見て「残価設定ローンもいいかも」と思った人はいますか?
これらのメリットは、メリットそうに見えてぜんぜんメリットではありません。

メリットではない理由

なぜ、メリットに見えてメリットではないのかお伝えしていきます。

①月々の支払いをさらに抑える方法がある

月々の支払いが低いは本当でしょうか?
残価設定ローンの金利相場は5%前後、マイカーローンの金利相場は2%前後です。
期間5年で500万円のローンを組んだときの月々の支払、利息の違いは次のようになります。

期間 金利 月々の支払い 支払い総額 利息
残価設定ローン

(5年後残価200万円)

5年 5% 65,916円 5,889,044円 889,044円
マイカーローン

(5年後残債なし)

5年 2% 87,638円 5,258,280円 258,280円

残価以外の300万円のローンを組んでいるので、500万円を完済するマイカーローンと比べると月々の支払いは低いのは当たり前です。

では次の場合はどうでしょうか?
マイカーローンを8年で借ります。すると5年後の残債は約197万円となり、残価設定の200万円とほぼ同じになります。

期間 金利 月々の支払い 支払い総額

(5年後)

利息

(5年間)

残価設定ローン

(5年後残価200万円)

5年 5% 65,916円 5,889,044円 889,044円
マイカーローン

(5年後残債197万円)

8年 2% 56,404円 5,353,483円 353,483円

5年後に車を買い替える場合を考えると、8年間のマイカーローンのほうが月々の支払いも安く、利息も低いです。

残価設定ローンの場合、高い金利は残価も含めた残りの金額全てにかかります。月々の支払い分の300万円に対して金利がかかるのではなく、残価も含めた500万円に対して金利がかかります。そのため、今回の例の場合、5年間の利息の差は約53万円にもなります。

②下取り価格が保証されているわけではない

保証されていると聞くとなんだか安心しますが、「保証」という言葉には要注意です。

なぜなら、残価が保証されているのは一定の条件を満たしている場合であり、車の状態により変わるからです。そのため、走行距離が多い、事故、傷、においなど、車の状態が悪い場合、追加料金がかかることがあります。

また、残価設定ローンと相殺して買い替えをする場合、一般的には同じ車屋さんで車で売却して車を購入する人が多いです。その場合、たとえば、車の価格が200万円から300万円になっていたとして、他社と比較するつもりがないお客様にわざわざ高い金額で買い取りするでしょうか? 実際の価格より安く下取りされるリスクもあると思います。実際、車を乗り換えるとき、複数社買取価格を見積もりしてもらうと数十万円違うのはよくあることです。

③新しい車はいつでも買える

残価設定の期間ごとに新しい車に乗り換えやすいって本当でしょうか? 新しい車に乗り換えたければ、別に現金一括で購入しても、マイカーローンを活用しても、今乗っている車を売って、新しい車を買えばいいだけです。残価設定の期間関係なしに、必要だと思ったときに乗り換えればいいと思います。

④ひと手間かけると数十万円変わる

残価設定ローンは、ローンの審査も通りやすく、車を購入した車屋さんでローン契約ができるので手間がかかりません。ただ、マイカーローンでも、来店不要でWEBで完結して簡単です。WEBが苦手な人は、金融機関にいけば申し込みのやり方も教えてもらえます。少しの手間で数十万円変わるので、この手間を惜しんではいけません。

まとめ

マイカーローンと比べて、残価設定ローンの一般的なメリットは次の4つとよく言われています。

①月々の支払いが低い
②下取り価格が保証されている
③新しい車に乗り換えやすい
④手間がかからない

しかし、これらのメリットは、メリットそうに見えてぜんぜんメリットではありません。

【メリットではない理由】
①月々の支払いをさらに抑える方法がある
②下取り価格が保証されているわけではない
③新しい車はいつでも買える
④ひと手間かけると数十万円変わる


まず前提として自動車を借金をして買うことは、僕はしません。活用してもいい借金は、住宅ローンと奨学金、この2つだけだと考えているからです。そのうえで、どうしても自動車を借金して買わないといけないという人は、「残価設定ローン」ではなく「マイカーローン」を選びましょう。

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1級FP技能士
磯山裕樹

立命館大学を卒業後、旅行会社に就職。連日の出張や残業による仕事中心の生活から家族の時間を作るため、自分で自由に時間を決められる働き方を求め外資系保険会社に転職。総額200万円を投資して徹底的にお金に関する学びを追求。その結果、富裕層ではなく、かつての私と同じ悩みを持つ子育て世代にこそ自身が体感したサービスが必要だと考え、磯山FP事務所を開業。これまで、100世帯の家計管理に携わり、家計改善成功率100%、継続顧問サービス継続率100%の実績がある。単にお金を増やすだけでなく、「豊かに幸せに生活できる家計」を実現すべく日々奔走中。

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