【1級FPが解説】死亡保険に終身は必要ない!必要な保障額の計算方法と加入の仕方

死亡保険が、必要なのか、不要なのか自分で判断できる考え方のポイント、必要な方には、死亡保険を安く最適化する方法についてお伝えをしていきたいと思います。

このブログを見ることで、自分自身で納得して死亡保険がいるのか、いらないのかを判断できるようになります。

YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約10分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。

死亡保険が必要かどうかどう判断するのか

保険で必要な金額は「必要額―準備済額+気持ち」という式で表すことができます。

プラスになった方は、準備ができているので保険に入る必要はありません。
マイナスになった方は、準備ができていないので保険で備えることを検討しましょう。

必要額は、生活費、教育資金、住居費などです。

準備済み額は、公的制度、民間保険、預金、配偶者の収入などです。

そして、人間なかなか合理的には行動できない生き物なので、余裕を持つのかどうか、カツカツでいいのか、そういったところは最後気持ちで判断をしていきます。

今回は、35歳の夫婦共働きで、2歳と5歳のお子様がいる田中家を例にお話ししていこうと思います。
ご主人は自営業で手取り300万円、奥様は会社員で手取り300万円です。
住居は30歳の時に住宅ローンを組んで持ち家を購入しています。期間は35年ローンで、夫婦半々で支払いをしています。
生活費は月30万円、預金は200万円、民間保険の加入は無しです。

必要額の計算

まずは、必要額の計算をしていきましょう。

生活費

生活費は月30万なので、年間で360万円です。
いつまで準備するかは、末子が大学を卒業するまでみるか、退職するまでの期間でみるかなど自由に設定できます。末子が大学を卒業するまでで計算してみると、360万×20年=7,200万円です。

万が一が起こると一人分の生活費がかからなくなるので、生活費を80%にして計算しても良いかも知れません。
しかし、一人で子育ては大変なので、お手伝いさんを雇ったり、最新の家事ロボットなどを購入することもあるので、今回は今と同じ生活費で計算をしています。

教育資金

想定する進学予定により変わってきます。

いくら準備するか考えていない方は、次の教育資金を解説しているブログを確認ください。

教育資金を貯める3ステップ| いくら、いつまでに、どうやって貯める?『前編』

教育資金の貯め方の王道|僕が実践している3ステップ『後編』

田中家では、私立の小学校の選択肢はないので、一番安くて全部公立で約800万、一番高くて中学校から全部私立で約1500万です。
子供が2人おり、教育費で3000万円を用意するのは、難しいと思っており、1000万円は準備しておいて、それ以上になる分はその時出せる余裕があれば出して、余裕がなければ奨学金で良いと考えています。
用意する金額は1000万円×2人=2000万円です。

住居費

月10万円住居費がかかっているので、末子が大学を卒業するまでで計算してみると、年120万×20年=2400万円です。

準備済み額の計算

次に準備済み額を計算していきましょう。公的制度の遺族年金、民間保険、預金、配偶者の収入です。

遺族年金

細かなところを覚える必要はなく、実際どんな制度なのかイメージをすることが大切です。
ざっくり話をしていきます。

遺族年金は2種類あり、遺族基礎年金と遺族厚生年金です。

遺族基礎年金は、自営業の方も会社員の方も対象です。
遺族厚生年金は会社員の方のみ対象です。

遺族基礎年金は、18歳未満の子供を持つ配偶者、もしくは18歳未満の子供に支給されます。つまり、18歳未満の子供がいないともらうことができないということです。
支給額は年間約78万円と子供の人数により加算があります。

遺族厚生年金は、亡くなった方の厚生年金の被保険者期間の給与に連動した金額の3/4が支給されます。計算方法は後ほど、お伝えします。
該当すれば、中高齢寡婦加算があり、40歳以上65歳未満かつ18歳未満の子供がいない妻に約58万円支給されます。

これだけ聞くと全然意味が分からないと思うので、図で表すとこんな形になります。

赤い部分が遺族基礎年金で、青の部分が遺族厚生年金です。

遺族基礎年金の支給は、子供が18歳までですが、遺族厚生年金は子供の年齢制限がありません。
自営業の方子供が18歳を超えてしまうと、配偶者の方への保障がないので気をつけたいポイントです。

遺族厚生年金の計算方法

ざっくりの計算式は「これまでの平均年収×勤続年数(最低25年で計算)×0.005481×3/4」です。

例えば、22歳で就職、35歳で亡くなった場合(平均年収300万)の場合、勤続年数は13年ですが、最低25年で計算します。
300万×25年×0.005481×3/4=30.8万になります。

つまり、年間約30万円が遺族基礎年金に上乗せされてもらえるということです。
詳細に調べたい場合は、年金定期便で確認が必要です。

田中家の遺族年金額

ご主人は自営業のため、奥様が受け取れるのは遺族基礎年金のみです。
長男が18歳までは、78万+22万+22万=約120万、長男が18歳以降次男が18歳までは78万+22万=100万になります。
120万×13年+100万×3年=約1,800万円です。

奥さまは会社員のため、ご主人が受け取れるのは遺族厚生年金です。年間約30万円が遺族基礎年金に上乗せされ、さらに子供が18歳以降ももらえるので、30万×20年=600万円奥様より多くもらえます。
つまり、1,800万+600万円で約2,400万円になります。

夫婦でも働き方によって、もらえるお金が変わってくることがあるので注意が必要です。

民間保険

住宅ローンの団体信用生命保険がある場合は、万が一の時は住宅ローンが相殺されます。

田中家の場合は、住宅ローンを半々で借りているので、片方に万が一があった場合、もう片方の住宅ローンは残ります。
残り30年ローンが残っているので、団体信用生命保険で相殺されるのは、月5万円×12か月×30年=1800万円です。

預金

預金は200万円です。

配偶者の収入

片親になった時に、今のままの収入が見込めるか確認しましょう。

今まで2人で稼いで2人で子育てをしていましたが、一人で稼ぎ、子育てもしないといけない状況になります。

今のままの収入が維持できるのか、どのくらい減るのを想定するのか夫婦で考えましょう。
田中家は、残業ができなくなることを想定して、収入が2割程度減る想定にしました。
手取り300万円×0.8×20年=約4800万円です。

必要な保障額を計算

必要額は、生活費7,200万円+教育資金2,000万円+住居費2,400万円=1億1600万円です。

準備済み額は、遺族年金1800万円(ご主人が万が一)、2400万円(奥様が万が一)、民間保険1800万円+預金200万円+配偶者収入が4800万円=8600万円(ご主人が万が一)、9200万円(奥様が万が一)です。

気持ちの部分は、少し余裕を見ておきたい性格なので、1000万円余裕をみておきます。

保険で必要な額は、必要額1億1600万円ー準備済み額8600万円(ご主人が万が一)、9200万円(奥様が万が一)+気持ち1000万円=4000万円(ご主人が万が一)、3400万円(奥様が万が一)になります。

ご自身の必要な額と準備済みの額、気持ちによって、同じような状況でも、保険がいるかいらないかは変わってくるということです。

収入保障保険を活用するのが合理的

この保険は、例えば、35歳から55歳まで毎月20万円出るようなイメージの保険です。
35歳で亡くなったら、20万円が20年出ますので、総額4800万円になります。
45歳で亡くなったら、20万円が10年出ますので、総額2400万円になります。

つまり、保障の額はどんどん勝手に減っていく保険になっています。なぜこのような形をとっているかというと、35歳の時は2歳と5歳のお子様が大学卒業するまで20年間の生活費、教育資金がかかり、大きなお金が必要になります。

しかし、45歳になると子供は12歳と15歳です。小学6年生と中学3年生ですので、教育費、生活費は残り約10年間になります。

つまり、通常であればどんどん保障額は減っていくので、これを自動的にしてくれる子育て中のパパママに最適な保険です。

収入保障保険 比較時のポイント

収入保障保険の比較時のポイントを3点お伝えします。

①体況によりベストな保険会社が変わる

喫煙の有無、体況により割引があり、見直しをすると保険料が半額になったりすることもあるので、ご自身の状況に有利な保険会社を選択しましょう。

②変換ができるか

この保険はどんどん保障額が少なくなっていきますよね。

例えば、30歳で加入して、40歳でがんになり、余命宣告されても、どんどん保障額が減っていきますよね。家族にたくさん残してあげたい場合、ある一定のところで保障の額が減らないものに変更できたりします。これが変換です。

保険商品によって、できるものとできないものがありますので、ここに重きを置きたい方は、こういったことも確認しておいたらいいかなと思います。

③一括受取の目減り

保険金の受け取り方は、一括で受け取る、分割で受け取る、一括と分割の併用の3種類があります。
一括で受け取る場合は、分割で受け取るよりも総額が目減りします。

35歳で亡くなったら、20万円が20年出る保険の場合、分割で受け取ると総額4,800万円になります。
これを一括で受け取る場合、数%~20%総額が目減りします。
5%目減りすると4,560万円、20%目減りすると3,840万円となり、毎月で受け取る場合は総額同じですが、一括で受け取ると720万円の差がでます。

一括で受け取ることを想定されている方は、保険商品毎で一括受取の目減りの度合いが違うので、確認しておきましょう。

まとめ

死亡保険が、必要なのか、不要なのか自分で判断できる考え方のポイント、必要な方には、死亡保険を安く最適化する方法についてお伝えをしました。

自分自身で納得して死亡保険がいるのか、いらないのかを判断しましょう!

次回は、「働けなくなる時に備える就業不能保険は必要か?必要な保障額の計算方法と比較のポイント」についてお伝えします。

働けなくなることに備える保険が必要なのか、必要じゃないのかを自分で判断できる考え方のポイントについて、必要な方には、働けなくなる時に備える保険を安く最適化する方法についてお伝えをしていきたいと思います。

死亡した時、病気になった時の保険は、皆さん結構加入されているのですが、働けなくなった場合のリスクを考えられている方は少ないです。

これは決して入った方がいいですよってことではなくて、リスクとして考えておいて、じゃあそこをどう備えていくのかを対策をしていくことが大切だと考えています。

このブログを見ることで、自分自身で納得して働けなくなることに備える保険がいるのか、いらないのかを判断することができるようになります↓↓↓

【1級FPが解説】働けなくなる時に備える就業不能保険は必要か?必要な保障額の計算方法と比較のポイント

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1級FP技能士
磯山裕樹

立命館大学を卒業後、旅行会社に就職。連日の出張や残業による仕事中心の生活から家族の時間を作るため、自分で自由に時間を決められる働き方を求め外資系保険会社に転職。総額200万円を投資して徹底的にお金に関する学びを追求。その結果、富裕層ではなく、かつての私と同じ悩みを持つ子育て世代にこそ自身が体感したサービスが必要だと考え、磯山FP事務所を開業。“お金が理由で子供の選択肢を狭めない未来”を実現できる子育て世代を増やすべく日々奔走中。

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