こどもNISAは教育費に使うべき?僕が親のNISAを優先する理由

これまでNISAは18歳以上が対象でしたが、0歳から17歳までの子ども名義で、非課税投資ができるようになる「こどもNISA」が2027年1月から始まる予定です。

子どもの教育費や将来のお金を準備する方法として注目されていますが、
「こどもNISAは使った方がいいの?」
「親のNISAとどちらを優先すればいいの?」
「子ども名義にすると、贈与税はどうなるの?」
と疑問に感じる方も多いと思います。

僕は、子どもの教育費を投資で準備するなら、こどもNISAよりも親名義のNISA口座を優先した方がよいと考えています。

この記事では、なぜそう考えるのか。
こどもNISAの基本、メリット、注意点、一般的な活用法を確認したうえで、最後に僕の考えを整理していきます。

※この記事は、現時点で公表されている税制改正の内容をもとに整理しています。今後、制度開始までに詳細な手続きや金融機関ごとの対応が変わる可能性があります。

こどもNISAとは?

こどもNISAとは、0歳から17歳までの子どもが利用できる予定のNISA制度です。
正式には、NISAのつみたて投資枠の対象年齢を18歳未満にも広げる制度です。


出典:財務省「令和8年度税制改正」

現時点で予定されている主な内容を、現在の18歳以上のつみたて投資枠と比較すると、次のようになります。

項目 こどもNISA 18歳以上のつみたて投資枠
対象年齢 0歳〜17歳 18歳以上
開始時期 2027年1月以降の予定 すでに利用可能
年間投資枠 60万円 120万円
非課税保有限度額 600万円 1,800万円
投資対象 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託
非課税期間 無期限 無期限
払い出し 12歳以降、一定の要件を満たせば可能 制限なし
18歳以降 成人後のNISAへ自動的に移行 そのまま利用

こどもNISAのメリット

通常、投資信託などで利益が出ると、その利益に税金がかかります。
一方、こどもNISAで運用した場合、子ども名義で投資したお金の運用益が非課税になります。


出典:「NISAを利用する皆さまへ」(金融庁)

こどもNISAの注意点

注意点は次の3つです。

注意点1:払い出しに制限がある
注意点2:贈与税にも注意が必要
注意点3:18歳以降も非課税限度額が増えるわけではない

注意点1:払い出しに制限がある

こどもNISAは、いつでも自由に引き出せる制度ではありません。
12歳未満と12歳以降で、払い出しの考え方が異なります。

年齢 払い出しの考え方
12歳未満 災害で家屋が全壊した場合など
12歳以降 教育費や生活費など、子どものための支出であれば、一定の書類を提出することで払い出しができる予定
18歳以降 成人後のNISAへ自動的に移行される予定

12歳以降であっても、親が自由に引き出せるわけではありません。

主に、次のような条件があります。
・資金の使い道が子どものためであること
・子ども本人が払い出しに同意していること
・親権者などが必要書類を金融機関へ提出すること

税制改正大綱では、これらの制限に反して払い出した場合、一定の金額に対して20%の税率で源泉徴収・特別徴収されるとされています。
つまり、制限に反して払い出すと、NISAの非課税メリットがなくなる可能性があります。

注意点2:贈与税にも注意が必要

親や祖父母から子どもへお金を渡して、こどもNISAで運用する場合、贈与税にも注意が必要です。

1年間に子どもが受け取った贈与の合計額が110万円を超えると、贈与税の対象になる可能性があります。

贈与税は、父方の祖父母から110万円、母方の祖父母から110万円というように、贈る人ごとに110万円まで非課税になるわけではありません。
子どもが1年間に受け取った贈与の合計額で判断します。

そのため、複数の人から贈与を受ける場合は、合計額に注意が必要です。

細かい税金の判断が必要な場合は、税理士や税務署に確認しましょう。

注意点3:18歳以降も非課税限度額が増えるわけではない

こどもNISAの非課税保有限度額は600万円です。
18歳になると、こどもNISAで運用していた資産は成人後のNISAへ自動的に移行される予定です。


出典:財務省「令和8年度税制改正」

ただし、こどもNISAの600万円とは別に、成人後のNISAで1,800万円の枠が丸ごと追加されるわけではありません。
こどもNISAで600万円を使っていた場合、成人後は1,800万円の非課税保有限度額のうち、すでに600万円を使っている前提になると考えられます。

つまり、子どもの頃にこどもNISAを使っても、生涯の非課税保有限度額そのものが増えるわけではない点には注意が必要です。

こどもNISAの活用法

こどもNISAには、一般的にいくつかの活用法があります。
代表的なのは、次の3つです。

活用法 内容
児童手当などを積み立てる 児童手当などを将来の教育費の一部として積み立てる
お年玉やお祝い金を運用する 子ども名義で貯めていたお年玉や入学祝いなどを運用する
祖父母からの贈与資金を運用する 孫の将来資金としてもらったお金を運用する

① 児童手当を積み立てる

たとえば、子ども1人分の児童手当をすべて積み立てた場合を考えてみます。

0歳から3歳未満までの3年間は、月15,000円。
3歳から18歳到達年度末までの15年間は、月10,000円。

この前提では、元本だけで次の金額になります。

15,000円 × 36か月 = 54万円
10,000円 × 180か月 = 180万円
合計:234万円

この234万円を積み立てながら運用した場合、18歳時点の金額の目安は次のとおりです。

年率 18歳時点の金額の目安 教育費との比較
0% 約234万円 国立大学4年間の学費、約242.5万円
5% 約385万円 私立文系4年間の学費、約410.8万円
8% 約530万円 私立理系4年間の学費、約541.8万円

※国立大学は、入学金28.2万円、授業料53.58万円×4年で計算しています。
※私立大学は、文系・理系の4年間の平均学費の目安です。
※下宿費用、仕送り、受験費用、教材費、通学費などは含めていません。
※運用結果は一定利回りで運用できた場合の試算であり、将来の成果を保証するものではありません。

児童手当を使わずに積み立てておくだけでも、国立大学4年間の学費にかなり近い金額になります。

一方で、私立文系4年間の学費、約410.8万円を目指すには年5〜6%程度、私立理系4年間の学費、約541.8万円を目指すには年8%程度の運用利回りが必要になります。

8%は株式中心で長期運用できた場合の参考例です。教育費のように使う時期がある程度決まっているお金は、運用利回りだけでなく、必要な時期に使えるかどうかも大切です。

②お年玉やお祝い金を運用する

お年玉や入学祝い、出産祝いなどを、子ども名義の預金口座に貯めている家庭もあります。

そのお金を、子どもが大きくなったときに渡す予定であれば、こどもNISAで一部を運用することも選択肢になります。

③ 祖父母からの贈与資金を運用する

祖父母から孫へ、将来のためのお金を贈与し、そのお金をこどもNISAで運用する使い方も考えられます。
ただし、親や祖父母から子どもへお金を渡す場合、1年間に子どもが受け取った贈与の合計額が110万円を超えると、贈与税の対象になる可能性があります。

祖父母からの贈与資金をこどもNISAで運用する場合は、年間110万円を超えないか確認しておきましょう。

僕の考え:まず教育費をいくら準備するかを決める

こどもNISAが話題になると、
「教育費はこどもNISAで準備しよう」
と考える方もいるかもしれません。

しかし、僕は順番が少し違うと思っています。
まず考えるべきなのは、
「教育費をいくら準備するのか」です。

たとえば、
・国公立大学を想定するのか
・私立文系を想定するのか
・私立理系なのか
・一人暮らしや仕送りまで考えるのか
家庭によって必要な教育費は大きく変わります。

たとえば、
「私立理系の大学費用も見すえて、子ども一人あたり600万円準備しよう」と決めたとします。

次に考えるのは、
「その600万円をどう準備するか」です。

方法は大きく3つあります。
・預金
・保険:貯蓄型保険や学資保険など
・投資

そして、投資という選択肢を選んだ場合に、
・親のNISAを使うのか
・こどもNISAを使うのか
という順番で考えればよいと思っています。

つまり、
こどもNISAがあるから、教育費をこどもNISAで準備するではありません

教育費をどう準備するかを考えた結果、投資という選択肢を選び、その投資を親のNISAでするのか、こどもNISAでするのかを考える、という順番です。

僕の考え:教育費は親のNISAを優先する

僕なら、子どもの教育費を投資で準備するのであれば、まず親名義のNISAを使います。

理由は大きく3つあります。

理由1:教育費として使うなら、わざわざ子ども名義に移す必要性が低い

こどもNISAを使うと、子ども名義の口座で運用することになります。
もちろん、子どものお金を子ども名義で管理するという意味では、わかりやすい面もあります。

ただ、教育費として使うお金であれば、わざわざ子ども名義の口座に移しておく必要性は高くないと考えています。
なぜなら、こどもNISAは子ども名義の資産であり、18歳未満で払い出す場合には、一定の条件や手続きが関係するからです。

それなら、最初から親名義のNISAや預金で準備しておいた方が、管理もシンプルで、必要なときに使いやすいと思います。

教育費を準備するために、わざわざ子ども名義の口座を増やし、手続きや管理の手間を増やす必要はないのではないか、というのが僕の考えです。

理由2:親のNISA枠だけでも、多くの家庭では十分大きい

現在のNISAは、1人あたり非課税保有限度額が1,800万円です。
夫婦であれば、合計で3,600万円の非課税枠があります。
さらに、老後資金についてはiDeCoなど、別の制度を活用することもできます。

そのため、多くの家庭では、親名義のNISAやiDeCoを活用するだけでも、かなり大きな税制優遇のある枠があります。

教育費を準備するために、最初から子ども名義のこどもNISAまで使わなければならない家庭は、それほど多くないと考えています。

たとえば、まず親のNISAで教育資金を準備する。
その後、教育資金として使った分は、翌年以降にNISA枠が復活します。
子どもの教育費が落ち着いたあとは、その復活した枠を老後資金の準備に使うこともできます。

つまり、教育資金だから必ずこどもNISA、老後資金だから親のNISAと、口座を分ける必要はありません。

親のNISAの中で、
・まずは教育資金を準備する
・教育資金が準備できたら、その後は老後資金として積み立てる
・教育費として使った後に復活した枠を、老後資金に回す
という考え方で十分だと思います。

もちろん、夫婦のNISA枠やiDeCoを活用しても、さらに非課税で運用できる枠を使いたいという家庭であれば、こどもNISAを検討する価値はあります。
ただ、多くの家庭では、まず親名義のNISAを優先するくらいでよいと思います。

理由3:使う時期が近づいたときに、元本保証の商品へ移しにくい

教育費は、使う時期がある程度決まっているお金です。
大学入学金や授業料などは、必要な時期を大きくずらすことができません。

そのため、教育費を投資で準備する場合は、使う時期が近づいたらリスクを下げることが大切です。

たとえば、大学費用として使う予定であれば、使う5〜7年前までは株式中心で運用し、そこから少しずつ安定資産に移していくという考え方があります。
なぜなら、株式中心で運用していると、暴落時に大きく値下がりする可能性があるからです。

もし大学入学金や授業料が必要なタイミングで大きく値下がりしていると、元本割れした状態で売却しなければならず、必要なお金が足りなくなる可能性があります。

つみたて投資枠には、株式よりリスクが小さい債券を含むバランスファンドもあります。
ただし、債券を含むバランスファンドであっても、投資信託である以上、価格が下がる可能性はあります。

必要な時期が近づいてきたお金は、預金や個人向け国債など、より安全性の高い方法で準備する方が安心です。
親名義のNISAで教育費を準備しておけば、使う時期が近づいた段階で一部を売却し、預金や個人向け国債に移すこともできます。

こどもNISAの場合、18歳未満で払い出す場合には、一定の条件や手続きが関係します。
教育費のように、必要な時期に使うことが大切なお金であれば、最初から親名義のNISAや預金で準備しておいた方が、リスクを下げる判断もしやすいと考えています。

こどもNISAに向いているお金

では、こどもNISAはどのようなお金に向いているのでしょうか。

僕がこどもNISAに向いていると思うのは、次のようなお金です。
・お年玉
・入学祝い
・出産祝い
・祖父母からのお祝い金や贈与
・子どもが社会人になるときに渡す予定のお金
・成人時や結婚時に渡す予定のお金

これらは、もともと子どものためのお金です。
すでに子ども自身が管理しているお金であれば、そのまま子どもが使うのも一つです。

一方で、今すぐ使わないお金を親が預かり、将来まとめて子どもに渡す予定であれば、こどもNISAで一部を運用することも選択肢になります。

たとえば、お年玉やお祝い金を子ども名義の預金口座にずっと置いている家庭もあると思います。
そのお金を、子どもが社会人になるときや成人したあとに渡す予定であれば、20年近く現金のまま置いておくことになります。

現金のまま置いておくと、物価上昇によってお金の価値が目減りする可能性があります。
そのため、長期間使わない前提であれば、投資で運用するという考え方もあります。

ただし、これも必ず使うべきという話ではありません。
贈与でたくさんお金がある場合は別ですが、お年玉やお祝いなど数十万円であれば、運用益は限られます。
長期間運用するより、ある程度子どもに任せて、お金を使う経験をさせるのもよいかもしれません。

まとめ

こどもNISAは、子ども名義で非課税運用ができる便利な制度です。
しかし、便利な制度だからといって、すべての家庭が使うべきとは限りません。

特に、教育費を準備する目的であれば、まずはこどもNISAを使うかどうかではなく、次の順番で考えることが大切です。
1. 子ども一人あたり、教育費をいくら準備するのか決める
2. そのお金を、預金・保険・投資のどれで準備するのか考える
3. 投資を選ぶなら、親のNISAを使うのか、こどもNISAを使うのか考える

こどもNISAがあるから、教育費をこどもNISAで準備するわけではありません。
教育費は必要な時期がある程度決まっているため、使いやすさや安全性も大切です。

その点では、親名義のNISAや預金、個人向け国債などを組み合わせて準備した方が、シンプルで管理しやすいと考えています。

一方で、お年玉やお祝い金、祖父母からの贈与など、将来子どもに渡す予定のお金であれば、こどもNISAを使う選択肢もあります。

大切なのは、NISA枠を最大限使うことではありません。
わが家のお金をシンプルに管理し、必要なときに使える状態にしておくことです。

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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