出産前の働き方で損する人・得する人|知らないと給付金が変わる

「扶養に入ったほうが得」は本当でしょうか?

年収の壁を意識して働き方を調整することは、家計を守るうえで大切な考え方です。

ただし、出産や育児を見据えている場合、
「壁を超えて働く」ことで受け取れる給付金が大きく変わることがあります。

特に関係してくるのが、次の制度です。

・育児休業給付金
・出産手当金

といった出産・育児に関する制度です。

今回は、

・年収の壁と給付金の関係
・給付金を受け取るための条件
・家計としてどう考えるか

を整理していきます。

雇用保険の給付金

「育児休業給付金」は、雇用保険に加入している人が育児休業中に受け取れる大切な給付金です。

主な受給要件の1つに以下の条件があります。

育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上または就業時間80時間以上ある月が12ヶ月以上あること

この条件は、出産直前に働き方を変えても間に合わないことがほとんどです。出産を考え始めた段階から「雇用保険の加入期間」を意識した働き方が重要になります。

育児休業給付金の支給条件について、詳しい内容はこちらから

育児休業給付金とは?働き方と準備で“もらえる額が変わる”ポイントを整理

健康保険の給付金

健康保険からは大きく2つの給付金があります。

【出産育児一時金】
・健康保険の被保険者も被扶養者も受給可能

【出産手当金】
・被保険者のみが対象
配偶者の扶養に入っている人は対象外
個人事業主や自営業などで国民健康保険に入っている人は対象外

つまり

・配偶者の扶養で出産 → 出産育児一時金のみ
・自分の勤務先で健康保険に加入して出産 → 出産育児一時金+出産手当金

この差は大きいです。

「出産育児一時金」「出産手当金」について、詳しい内容はこちらから

出産育児一時金はいくら?50万円の条件・差額申請・帝王切開まで1級FPが整理

出産前に退職するかで出産手当金はどう変わる?1級FPが判断軸を整理

出産手当金を受け取るための条件

出産手当金をもらえるかどうかの分かれ道は、「勤めている会社の社会保険に加入しているかどうか」です。勤める会社の従業員が50人以下の場合と51人以上の場合で条件が異なるのでそれぞれ解説していきます。

妻が勤める会社の従業員が51人以上の場合

妻が勤める会社の従業員が51人以上の場合は、下記の条件をすべて満たす場合は、夫の扶養で社会保険に入れなくなり、妻の勤務先の社会保険に強制加入になります。これが106万円の壁です。

・従業員数51人以上(今後:2027年10月36人→2029年10月21人→2032年10月11人→2035年10月なし)
※将来的に対象企業が拡大予定ですが、「今すぐ全員が対象になる」わけではありません。
・月収88,000円以上(通勤手当、賞与などは含まない) ※今後撤廃予定
・雇用見込みが2か月以上
・労働時間が週20時間以上
・学生でない


出典:日本年金機構リーフレット「社会保険加入のメリット」

勤める会社の従業員が50人以下の場合

従業員が50人以下の会社で働く場合、妻の年収見込みが130万円以上と判断される場合、妻は夫の扶養から強制脱退となり、自分で国民健康保険と国民年金に加入する義務が発生します。

しかし、国民健康保険では、出産手当金の対象となりません。

勤務先で週30時間以上(正社員の3/4以上)勤務するなどの加入要件を満たしていれば、妻の勤務先で健康保険に加入できます。勤務先で社会保険に加入できるぐらい働けるか勤務先に相談してみましょう。

実際どれくらいの差があるの?

たとえば、月収30万円の方が産休と育休を合計1年間取った場合、出産手当金と育児休業給付金は月収の約2/3の月20万円程度になります。

出産手当金と育児休業給付金 → 月約20万円 × 12ヶ月 = 約240万円

このように、200万円以上の差が出ることもあります。

家計への活かし方

では、この制度を家計としてどう考えればいいのでしょうか。

私は、次の点を整理しておくことが大切だと思っています。

年収の壁を守ることが、本当に家計にとって最善なのか

年収の壁は、税金や社会保険料を抑えるための一つの目安ですが、
出産や育児のタイミングによっては、
壁を超えて働くことで受け取れる給付金が大きく変わることがあります。

特に、

・育児休業給付金
・出産手当金

などは、社会保険や雇用保険への加入状況によって受給できるかどうかが決まります。

年収の壁を気にして働き方をセーブするのではなく、
将来のライフイベント(出産・育児)を見据えて働くことが、
結果的に家計にプラスに働くケースも少なくありません。

壁を気にせず働くことで有利になりやすいのは、次のような人です。

・出産を1〜2年以内に考えている
・産休・育休で給付金ももらいたい

「今だけ」ではなく、「これから」の家計のために。

制度を正しく理解して、
自分に合った働き方を見つけていきましょう。

まとめ

「扶養に入ったほうが得」と言われることは多いですが、
働き方によって受け取れる給付金が大きく変わることがあります。

今回のポイントを整理すると、

・育児休業給付金は雇用保険に加入している人が対象
・出産手当金は会社の健康保険に加入している人が対象

つまり、働き方や社会保険の加入状況によって、
出産・育児でもらえるお金は大きく変わる可能性があります。

制度を正しく理解したうえで、
自分のライフプランに合った働き方を考えることが大切です。

増やすより、整える。

整えることの積み重ねが、
きっとこれからの安心につながります。

また次回、一緒に整理していきましょう。

※制度の詳細や個別の条件は、加入している健康保険や会社の規定によって異なるため、必ず最新情報を確認してください。

【保存版】結婚・出産〜大学まで「もらえるお金」完全ガイド

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この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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