【1級FPが解説】個人事業主の節税対策|節税しながら貯蓄できる「小規模企業共済」のメリット・デメリット

「個人事業主をしています。個人事業主ができる節税対策について教えていただけませんか?」

書籍「夫婦貯金年150万円の法則」の読者から、P144~150の『おさえておくべき「控除」5選』の部分について、質問いただきましたので解説していきます。

本で紹介したおさえておくべき「控除」5選以外で、個人事業主が活用できる税金の対策は次の2つになります。

●小規模企業共済
●経営セーフティ共済

今回は、「小規模企業共済」のメリット・デメリットについてお伝えします。

YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約11分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模な法人の役員などを対象とした退職金の積み立て制度です。

【加入条件】
●従業員が5~20人以下の会社役員・個人事業主

※一度加入をすれば、加入条件が当てはまらなくても継続できる


出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HPより

掛金は毎月1000円~70000円

掛金は1,000円からでき、1,000円~70,000円までの範囲内で、500円単位で掛金月額を増減することができます。

原則として、掛金の払込みを止めることはできず、継続するために1000円は積み立てし続けないといけません。ただし、次ののいずれかの理由により、掛金の払込みを継続することが著しく困難であると認められた場合に限り、6か月または12か月の期間、掛金の払込みを止めることができます。

【掛金の払込みを止めることができる場合】
●所得がないとき
●災害に遭遇したとき
●入院しているとき

受け取りは4種類

受け取り方は4種類あり、受け取る理由で共済金が変わります。満期はなく、廃業時や退職時などに受け取りになり、受け取り方は一括、分割、併用から選択できます。

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HP より



出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HP より

3つのメリット

小規模企業共済の3つのメリットを見てきます。

①積み立てするとき節税できる

掛金が全額所得控除になるので、節税しながら貯蓄できます。

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HPより

※小規模企業共済HPの節税のシミュレーション
https://kyosai-web.smrj.go.jp/skyosai1/simulator/

②受け取り時の優遇税制

積み立てするときは節税になるが、受け取るときに税金がかかる場合があります。受け取るときの年齢や一括または分割などの受取方法などで税法上の取扱いが異なります。

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HPより

「退職所得」で受け取ると有利になる場合が多いです。
退職所得で受け取ると退職所得控除が利用でき、次の計算をして、出てきた所得に1/2をして税率をかけます。

退職所得ー【40万円×20年以内の掛金の積立年数+70万円×20年を超える掛金の積立年数】

たとえば、所得が300万円の人が、20年間、毎月7万円積み立てして、共済金Aで受け取った場合を見てみましょう。

式にあてはめてみると「1950万円ー退職所得控除(40万円×20年)」×1/2=575万円となります。

575万円に対して所得税と住民税がかかります。
所得税:575万円×20%-427,500円×1.021=737,672円
住民税:575万円×10%=575,000円

合計税額:約131万円

20年間積み立てしてきた元本1680万円に対して、受け取り金額は「1950万円-131万円=1819万円」となり、139万円のプラスになっています。
そして節税効果として20年間で約340万円も得れています。

③困ったときは借りれる

納付掛金の7~9割の範囲内で借り入れができます。

●お金の使い道が自由な一般貸付は最大2000万円
●お金の使い道が限定されているそれ以外の貸付は最大1000万円


出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「小規模企業共済」HPより

3つのデメリット

ここまでメリットを見てきましたが、もちろんデメリットもあります。

①短期解約はカケステになる

共済金A・Bの「請求事由」が生じた場合であっても、掛金納付月数が6か月未満の場合は、共済金A、共済金Bは受け取ることができません。また、準共済金・解約手当金の「請求事由」が生じた場合であっても、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、準共済金・解約手当金は受け取れません。

共済金Aの亡くなった場合など、防ぎようにないものもありますが、掛金は月額1,000円まで減らすことができるので1000円でも続けることで短期解約を防ぐことは可能です。

②元本割れすることもある

共済金A・Bは6か月以上、準共済金は1年以上継続すれば、元本割れはしません。しかし、解約手当金として受け取り場合は、1年以上継続しても元本割れする可能性があります。

1年以内で任意解約した場合は、掛け捨てになり、1年を超えてからは掛金納付月数に応じて80%~120%の解約金となります。掛金納付月数が20年未満で任意解約をした場合、解約金は元本割れします。


出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HP より

掛金を減額して継続する、また、お金が必要になったときは貸付を受けらるので、これらを利用して継続していくことは可能です。あくまで自己都合による任意解約、掛金を12か月以上滞納した機構解約の場合です。個人事業の廃業や、契約者が亡くなられた場合などに受け取る共済金は元本割れしません。

また、加入期間が20年以上でも、途中で掛金を増額/減額した場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240か月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ることがあります。

たとえば次のように毎月積み立てした場合を想定してみましょう。

1年目~5年目:2,000円
6年目~15年目:1,000円
16年目~20年目:1,500円
21年目~25年目:2,000円

掛金月額500円を1口とした掛金区分ごとに期間を計算してみると次のようになります。

0円から500円:25年
500円から1,000円:25年
1,000円から1,500円:15年
1,500円から2,000円:10年

0円~1,000円の区分は、20年以上なので元本割れはしませんが、1,000円~2,000円の部分は20年未満なので元本割れになります。

③利回りが高くない

毎月1万円、20年間積み立てした場合の受け取り金額は次のようになります。共済金Aで年利回り約1.5%になります。


出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済HP より

個人事業主が利用できる全額所得控除になる制度は、iDeCoがあります。iDeCoと小規模共済の節税メリットは同じです。
iDeCoで月1万円積み立てた場合、iDeCoでは自分で商品を選ぶことができるので、その利回りによって受け取り額が変わります。

【年利回り】
1.5%:約278万円(共済金Aと同じ)
5%:約411万円
8%:約589万円

リスクを取らずほぼ確実に約1.5%の年利回りを得ることができるのは大きいですが、長期運用を考えるとiDeCoと小規模企業共済どちらを利用するかで大きく変わる可能性もあります。

まとめ

今回は、「小規模企業共済」のメリット・デメリットについてお伝えしました。

メリットは次の3点です。

①積み立てするとき節税できる
②受け取り時の優遇税制
③困ったときは借りれる

デメリットは次の3点です。

①短期解約はカケステになる
②元本割れすることもある
③利回りが高くない

メリットとデメリットを考えて、自分に合うなと思ったら活用してみてください!

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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