「パパも、少し仕事をしながら育休を取れるらしい」
そう聞いて、気になっている方も多いのではないでしょうか。
ただ実際には、
・どれくらい休めるのか
・給付金はいくらなのか
・どのくらい働いても大丈夫なのか
よく分からないまま、
制度を使わないまま終わってしまうケースも少なくありません。
産後パパ育休は、制度を正しく理解すれば、
家計への影響を抑えながら、出生直後の大切な時間を家族で過ごせる制度です。
育児休業中に雇用保険から支給される給付金は、
主に次の3つです。
| 正式名称 | この記事での表記 |
| 育児休業給付金 | 育児休業給付金 |
| 出生時育児休業給付金 | 産後パパ給付金 |
| 出生後休業支援給付金 | 上乗せ給付金 |
もらえる給付金の全体像は、次のようなイメージです。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
今回は、
・制度の基本
・給付金の仕組み
・働ける範囲
・注意点
を整理しながら、
家計としてどう考えるかもあわせて解説します。
目次
産後パパ育休とは?
産後パパ育休(正式名称:出生時育児休業)は、子どもが生まれてから8週間以内に、パパが4週間まで取得できる育児休業制度です。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
母親は出産後8週間、法律で産後休業を取得することが義務付けられています。産後パパ育休は、その期間に 父親も集中的に育児に関われるように作られた制度で、「父親版の産後休業」と考えるとイメージしやすいです。
子どもが産まれた日が、出産予定日より前か、後かによって少し取得可能期間が変わります。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
誰が使える?
産後パパ育休は「パパ」が対象で、ママが取得できる制度ではありません。
基本的な要件は育児休業給付金と同じです。
① 原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得していること
② 雇用保険に加入していること
③ 育児休業開始前2年間に「12か月以上」働いていること
④ 育児休業中の就業が一定以下であること
⑤ 育児休業中の給与が「休業前賃金の80%未満」であること
「育児休業給付金の要件」についてくわしくはこちら
通常の育児休業との違い
産後パパ育休と通常の育児休業の主な違いは次のとおりです。

出典:厚生労働省「給付金の制度利用ガイド」
押さえておきたいポイントは次の4つです。
①給付金の額は育児休業給付金と同じ
②2回まで分割して取得できる
③育児休業中でも「一定条件」で働ける
④育児休業中に給与が支払われた場合は調整される
①給付金の額は育児休業給付金と同じ
産後パパ育休の支給額は育児休業給付金と同じ「休業前賃金の67%」です。さらに、出生後休業支援給付金の条件を満たせば、合わせて「休業前の賃金の最大80%」を受け取ることができます。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
「出生後休業支援給付金」の詳しい内容についてはこちらから
②2回まで分割して取得できる
産後パパ育休は、2回まで分割取得が可能です。
たとえば、
・出生直後に2週間
・少し間を空けて残り2週間
といった柔軟な取り方ができます。

出典:労働基準監督署「改正育児・介護休業法について」
③育児休業中でも「一定条件」で働ける
通常の育児休業では、原則就労不可です。産後パパ育休の最大の特徴が、休業中でも一定の範囲で就労が認められている点です。
具体的には、
・休業期間中 最大10日まで
・または、就業時間の合計が80時間以内
であれば、育児休業扱いのまま働くことができます。
働きすぎてしまい就業日数の条件をオーバーすると給付金がもらえなくなるので注意しましょう。
たとえば、次のケースの場合、28日のパパ育休期間に、14日就業しているため給付金は不支給となってしまいます。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
また、産後パパ育休で休んだ日が28日より少なければ、就業日数の条件もそれに比例して短くなります。
合計10日休んだ場合は、「10日×10/28=3.57(端数切り上げ)→4日、80時間×10/28=28.57時間(端数処理なし)」となります。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
たとえば、次のケースの場合、10日のパパ育休期間に、6日就業しており4日を超えています。しかし、就業時間は28時間であり、28.57時間以内なので給付金は支給されます。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
また、分割で取得した場合は、それぞれの期間を合計して計算します。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
④育児休業中に給与が支払われた場合は調整される
育児休業休業中に働いたりして給与が支払われる場合、給与の金額によって給付金の支給額が調整され、休業開始時賃金の80%を超えると支給がなくなります。

出典:厚生労働省「給付金の制度利用ガイド」
「育児休業中に給与が支払われた場合の調整」について詳しくはこちらから
家計への活かし方
では、この制度を家計としてどう考えればいいのでしょうか。
私は、次の2つを整理しておくことが大切だと思っています。
①家庭と仕事のバランスを考える
②手取りベースでは思ったより減らない
①家庭と仕事のバランスを考える
産後パパ育休は、
一定の条件で働きながら取得できることが、通常の育児休業との大きな違いです。
通常の育休では、原則として就労は認められていません。
一方、産後パパ育休では
一定の範囲で仕事を続けながら、育児にも関わることができます。
家庭も大切。
でも、仕事も大切です。
育休はとりたい、でも
・同僚に迷惑をかけたくない
・このプロジェクトは最後までやり切りたい
そう思う方も多いのではないでしょうか。
家庭と仕事のバランスは人それぞれです。
・家庭を優先する → 通常の育休
・家庭と仕事のバランスを取る → 産後パパ育休
このように、家庭の状況に合わせて選択することが大切です。
②手取りベースでは思ったより減らない
収入面が気になる方も多いと思います。
夫婦で育休をとると、産後パパ育休の給付金は、
・最初の28日間 → 手取りベースでほぼ10割相当
・その後 → 約8割程度
になるケースもあります。
そのため、実際には
手取りベースでは思ったより収入が減らない
と感じる方も少なくありません。
まとめ
産後パパ育休は、
・出生後8週間以内に最大4週間取得できる
・一定の条件で働きながら取得できる
という、これまでの育児休業とは少し違った特徴を持つ制度です。
制度を正しく理解すれば、
・出生直後の大切な時間を家族で過ごす
・仕事とのバランスをとる
・家計への影響を抑えながら育休を取る
といった選択もしやすくなります。
一方で、
・働ける日数や時間の上限
・給与との調整
・給付金の条件
などを知らないまま取得すると、
「思っていた制度と違った」と感じてしまうこともあります。
制度を知ることで、
働き方や家族との時間の選択肢は大きく広がります。
「産後、もう少し子どもとの時間を取ればよかった」
「夫婦で話しておけばよかった」
そんな後悔が少しでも減るように、
夫婦で事前に話し合っておくことが大切です。
増やすより、整える。
整えることの積み重ねが、
きっとこれからの安心につながります。
また次回、一緒に整理していきましょう。
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1級FP 磯山裕樹