【1級FPが解説】会社員共働き夫婦です。育休中限定で扶養に入れる? 意外と知らない「社会保険の扶養」と「税金の扶養」

「共働きの会社員として働いており、このたび育休をとるのですが、育休中の収入がガクッと下がって不安です。「扶養」を使えば税金や保険料を抑えることができると聞きました。ネットで調べてみたのですがよくわからず、解説をお願いできませんか?」

書籍「夫婦貯金年150万円の法則」の読者から、P187~189の『収入の壁を超えると「働き損」になる?』の部分について、質問いただきましたので解説していきます。

育児休業給付金や出産手当金などは、収入と見なされません。そのため、育休期間に一定の条件に当てはまれば、配偶者の扶養に入ることができ、税金や社会保険の支払いが少なくなります。
今回は、「社会保険の扶養」と「税制上の扶養」の2つについて、妻が育休をとるという例で解説していきます。夫が育休をとる場合は、妻と夫を逆にしてください。(以下、2025年時点の情報です)

少し前に育休をとった人も「税制上の扶養」は5年遡ることができるので、もし該当する場合は、申請するだけで税金が返ってくる可能性があるので確認しましょう!

YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約10分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。

税法上の扶養とは?

税法上の扶養とは、一定の収入以下の妻がいれば、夫の税金が安くなる制度です。妻の年収が201.6万円未満になると活用できます。

出典:「配偶者手当」を支給している事業主の皆さまへ「厚生労働省」資料より

「税金の基礎」年収・所得・控除とは?

まず、これからよく出てくる「年収」「所得」「控除」という言葉や所得税や住民税がどのように決まるのか「税金の仕組み」を知らないと頭がごちゃごちゃになってしまいます。税金の基礎についてあまりよくわからない人は、下記をまず見て続きを見たほうが理解しやすいと思います↓↓↓

【1級FPが解説】税金むずかしい…を一気に解決!超わかりやすい「税金の仕組み」と「節税方法」

税法上の扶養に入れる主な条件

妻が税法上の扶養に入るには、次の条件を満たす必要があります。

【令和7年分(2025年分)の目安】
●民法上の配偶者であること(内縁関係は該当しない)
●納税者と生計を一にしていること
●配偶者の年間の合計所得金額が133万円以下(給与収入のみの場合201.6万円未満)
●納税者本人の年間の合計所得金額が1000万円以下(給与収入のみの場合1195万円以下)

合計所得金額とは?

合計所得金額は、各種所得(事業所得、給与所得、不動産所得、雑所得など)の金額を合計したもので次のようになります。

【給与収入のみ】合計所得金額 = 給与収入ー給与所得控除

たとえば、給与収入が1195万円の場合、給与所得控除が195万円となり、合計所得金額は1000万円となります。そのため、「夫の年間の合計所得金額が1000万円以下」=「給与収入のみの場合1195万円以下」となります。

出典:国税庁HPより

また、「年間」とは税金を計算する上での期間(1月1日から12月31日)であり、育休を取得した期間のことではないので注意しましょう。

たとえば、月収20万円の妻が1月~5月の5か月だけ働いて6月から育休に入った場合、その年の給与収入は100万円(20万円×5か月)です。このように年収が一定以下に下がると、夫の「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の対象となり、夫の所得税・住民税が少なくなります。

控除の額

ではどのくらいの額がお得になるのでしょうか? 妻の収入が201.6万円未満であれば控除を活用でき、少なくなるほど控除の額が増えていきます。

出典:「配偶者手当」を支給している事業主の皆さまへ「厚生労働省」資料より

以下は、納税者本人(夫)と配偶者(妻)の年間の合計所得金額に応じた控除額を一覧表にまとめたものです。

所得税

配偶者の合計所得金額(給与のみの場合の収入金額) 納税者本人の所得900万以下(給与のみの場合1095万以下) 納税者本人の所得900万超〜950万以下(給与のみの場合1095万超1145万以下) 納税者本人の所得950万超〜1000万以下(給与のみの場合1145万超1195万以下)
配偶者控除 58万円以下(収入123万円以下)※配偶者が70歳未満 38万円 26万円 13万円
58万円以下(収入123万円以下)※配偶者が70歳以上 48万円 32万円 16万円
配偶者特別控除 58万円超〜95万円以下(収入123万超〜160万以下) 38万円 26万円 13万円
95万円超〜100万円以下(収入160万超〜165万以下) 36万円 24万円 12万円
100万円超〜105万円以下(収入165万超〜170万以下) 31万円 21万円 11万円
105万円超〜110万円以下(収入170万超〜175万以下) 26万円 18万円 9万円
110万円超〜115万円以下(収入175万超〜180万以下) 21万円 14万円 7万円
115万円超〜120万円以下(収入180万超〜185万以下) 16万円 11万円 6万円
120万円超〜125万円以下(収入185万超〜190万以下) 11万円 8万円 4万円
125万円超〜130万円以下(収入190万3,999円超~197万1,999円以下) 6万円 4万円 2万円
130万円超〜133万円以下(収入197万1,999円超~201万5,999円以下) 3万円 2万円 1万円
133万円超(収入201万5,999円超) 0円 0円 0円

出典:国税庁HPより

住民税

配偶者の合計所得金額(給与のみの場合の収入金額) 納税者本人の所得900万円以下(給与のみの場合1095万円以下) 納税者本人の所得900万超〜950万円以下(給与のみの場合1095万円超1145万円以下) 納税者本人の所得950万超〜1000万円以下(給与のみの場合1145万円超1195万円以下)
配偶者控除 58万円以下(収入123万円以下)※配偶者が70歳未満 33万円 22万円 11万円
58万円以下(収入123万円以下)※配偶者が70歳以上 38万円 26万円 13万円
配偶者特別控除 58万円超〜100万円以下(収入123万超〜165万以下) 33万円 22万円 11万円
100万円超〜105万円以下(収入165万超〜170万以下) 31万円 21万円 11万円
105万円超〜110万円以下(収入170万超〜175万以下) 26万円 18万円 9万円
110万円超〜115万円以下(収入175万超〜180万以下) 21万円 14万円 7万円
115万円超〜120万円以下(収入180万超〜185万以下) 16万円 11万円 6万円
120万円超〜125万円以下(収入185万超〜190万以下) 11万円 8万円 4万円
125万円超〜130万円以下(収入190万3,999円超~197万1,999円以下) 6万円 4万円 2万円
130万円超〜133万円以下(収入197万1,999円超~201万5,999円以下) 3万円 2万円 1万円
133万円超(収入201万5,999円超) 0円 0円 0円

出典:岡山市公式ページ「所得控除(所得割額の計算)」より

節税メリット例

いくつか例をみてみましょう。

例1)「妻の年収(給与収入のみ):150万円」「夫の年収(給与収入のみ):600万円(所得税率10%)」

妻は配偶者特別控除の対象になります。控除額は夫側で所得税3.8万円(38万円×10%)、住民税3.3万円(33万円×10%)軽減され、合計約7万円の節税になります。

例2)「妻の年収(給与収入のみ):150万円」「夫の年収(給与収入のみ):1000万円(所得税率23%)」

妻は配偶者特別控除の対象になります。控除額は夫側で所得税8.74万円(38万円×23%)、住民税3.3万円(33万円×10%)軽減され、合計約12万円の節税になります。

例3)「妻の年収(給与収入のみ):200万円」「夫の年収(給与収入のみ):1000万円(所得税率23%)」

妻は配偶者特別控除の対象になります。控除額は夫側で所得税0.69万円(3万円×23%)、住民税0.3万円(3万円×10%)軽減され、合計約1万円の節税になります。

妻の年収が201.6万円未満になると、どのぐらい世帯主(夫)の税金が減るかは、夫と妻の収入によって変わります。

出典:「配偶者手当」を支給している事業主の皆さまへ「厚生労働省」資料より

税法上の扶養に入るための手続き

配偶者控除・配偶者特別控除を受けたい場合、年末調整または確定申告で申告が必要です。単に育休中だから自動的に適用されるわけではないので注意しましょう。

<給与所得者(会社員)の場合>年末調整で「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出


年末調整での手続きが間に合わなかった場合でも、確定申告をすることで配偶者控除・配偶者特別控除の手続きはできます。また、5年以内であれば遡って請求することもできるので、もし「配偶者の控除が使えるなんて知らなかった」と言う人は、遡って確定申告をして税金の還付を受けましょう。

社会保険上の扶養とは?

社会保険には健康保険(介護保険を含む)と厚生年金があります。会社員の方であれば、毎月給与から天引きされて保険料を支払っています。

会社員やパートの妻が勤め先の企業で社会保険に加入している場合、在職している間は、たとえ育児休業中でも「会社員(被保険者)」の資格を維持しています。つまり、育児休業中でも自分自身で社会保険に加入しており、社会保険料の支払いが免除され、健康保険・厚生年金の被保険者資格が継続しています。そのため、妻が勤め先の企業で社会保険に加入している場合は、夫の社会保険の扶養に入ることを考える必要はありません。

まとめ

今回は、「社会保険の扶養」と「税制上の扶養」について、妻が育休をとる例で解説しました。
「扶養」に該当する場合は、申請するだけでお得になるので、是非実践してみてください。

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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