「本を読んで、“制度を知らないだけで損をしている人がいる”ことに驚きました。先日結婚して、これから出産も考えているのですが、子育てでもらえるお金をできるだけ教えてほしいです。」

そんなメッセージを、『一度始めたらどんどん貯まる 夫婦貯金 年150万円の法則』の読者の方からいただきました。

結婚・妊娠・出産・育休・子育て。
人生の中でも特にお金が大きく動くタイミングです。
そして同時に、公的な支援制度が最も多い時期でもあります。しかし、これらの給付金や助成金、節税制度は、申請しなければもらえません。

・申請期限がある
・働き方で金額が変わる
・知らないと使えない
そんな制度も少なくありません。
実際、結婚から出産、育休、子育てまでの選択によっては、数十万円〜100万円以上の差が出るケースもあります。そこで今回は、このご質問にお答えする形で、子育て世代がもらえるお金を、タイミング別に複数回に分けて、わかりやすく解説していきます。

出産後、「育休中の収入はどうなるの?」
「給料が出ない期間、生活は大丈夫?」
と不安になる方はとても多いです。
そんなときに大きな支えとなるのが、「育児休業給付金」です。ただし、この給付金は 自動的にもらえるものではなく、条件や注意点を知らないと「もらえない」「少なくなる」ケースもあります。

育児休業給付金とは、育児休業中に給与が出ない(または少ない)期間の生活を支えるために、雇用保険から支給される給付金です。
育児休業とは、原則1歳未満の子どもを養育するために、一定期間会社を休める制度です。
育児休業中に雇用保険から支給される給付金は、次の3つがあります。
| 正式名称 | この記事での表記 |
| 育児休業給付金 | 育児休業給付金 |
| 出生時育児休業給付金 | 産後パパ給付金 |
| 出生後休業支援給付金 | 上乗せ給付金 |
もらえる給付金の全体像は次のような感じです。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
今回は、まず土台となる「育児休業給付金」について
・育児休業給付金は誰がもらえるのか
・いつまで受給できるのか(延長の全体像)
・どれくらいもらえるのか(ざっくり目安)
についてわかりやすく解説していきます。
誰がもらえる?
育児休業給付金を受け取るためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
①原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得していること
会社に申請し、事業主が育児休業を所得していることが必要です。

②雇用保険に加入していること
育児休業給付金は、雇用保険の給付です。そのため、雇用保険に入っていない場合は対象外となります。
パート・アルバイトでも、以下をすべて満たせば雇用保険の対象です。
・週の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある
・原則、学生でないこと
【雇用保険の対象外となる例】
・1日3時間、週5勤務の労働条件で働くパート社員
→週の労働時間は15時間→週20時間未満×
・雇用期間が30日で雇用を更新しない旨の明示がある契約社員
→31日未満の雇用見込み×
・個人事業主やフリーランス
→雇用保険に加入することができない

③育児休業開始前2年間に「12か月以上」働いていること
育児休業開始前2年間に、
賃金支払基礎日数(働いた日+有給休暇)が 11日以上ある月(または就業時間が80時間以上)
が12か月以上必要です。
転職している場合でも、前職の期間を合算してOKです。
④育児休業中の就業が一定以下であること
1支給単位期間(通常1か月)に、
就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)
を超えると、その期間は給付金が支給されません。
⑤育児休業中の給与が「休業前賃金の80%未満」であること
育児休業中に働いたりして給与が支払われる場合、給与の金額によって給付金の支給額が調整され、休業開始時賃金の80%を超えると支給がなくなります。

出典:厚生労働省「給付金の制度利用ガイド」
育休中の働き方について、くわしくはこちらから
※作成中
有期雇用契約者の場合の追加条件
パートやアルバイトなどで労働契約の期間を定めて雇用されている方は、雇用期間について次の要件を満たすことが必要です。

出典:厚生労働省「有期雇用労働者の 育児休業や介護休業について」
有期雇用の場合は、「会社が明確に“更新しない”と決めていなければOK」です。たとえば、次のような例は、更新しないと判断され対象外となります。

出典:厚生労働省「有期雇用労働者の 育児休業や介護休業について」
いつまで受給できる?
結論から言うと、育児休業給付金は、「原則子どもが1歳になる前日まで、条件を満たせば最長2歳まで」受給できます。
多くの方は、
• ママ:産後8週間後〜1歳まで
• パパ:育休開始日〜1歳まで
という形で受給することになります。

出典:労働基準監督署「改正育児・介護休業法について」
まずは「1歳までが基本」これを押さえておきましょう。
1歳を過ぎても延長できるケース
一定の条件を満たすと、育児休業給付金は 1歳以降も延長できます。
【延長できる期間】
・1歳 → 1歳6か月まで
・さらに条件を満たせば → 2歳まで
ただし、「希望すれば自動で延長」ではありません。
延長の代表的な理由|保育園に入れなかった場合
もっとも多い延長理由は「保育園に入れなかった」ケースです。
ただし重要なのは「落ちた=必ず延長OK」ではないという点です。

【延長できないNGケース】
・保育園の申込みをしていなかった
・合理的理由なく、自宅から片道30分以上かかる園のみ申請している
・やむを得ない理由なく、内定辞退している
「形式的に申請しただけ」と判断されると、延長不可になる可能性があります。
【「合理的な理由」として認められやすい例】
• 通勤経路上に園がある
• 自宅から30分以内で通える園が存在しない
【「やむを得ない」として認められやすい例】
・申込み後に転居・転勤があった
実際の判断は、自治体やハローワークの確認内容によって異なるため、事前の確認が重要です。
保育園理由がなくても延びる特例|1歳2か月まで
実は、保育園に入れなかったなどの理由がなくても「1歳2か月まで」延長できる制度があります。
「パパ・ママ育休プラス」制度についてくわしくはこちら
※作成中
育児休業は「分割して取得」することもできる
育児休業給付金は、育児休業を「まとめて」取るだけでなく、一定の範囲内で「分割して取得」することもできます。これは、仕事や家庭の状況に合わせて柔軟に育休を取りやすくするための制度です。
育児休業の分割取得は、期間ごとに回数が決まっています。
・子どもが1歳まで:2回まで分割可能
・1歳〜1歳6か月まで:1回
・1歳6か月〜2歳まで:1回
たとえば、次のような取り方も可能です。
・最初に数か月育休を取得
・一度職場復帰
・保育園の結果を見て、再度育休を取得
このように、「必要なタイミングで育休を取る」ことができます。

出典:労働基準監督署「改正育児・介護休業法について」
なお、「分割取得」と「延長」は別の制度です。
・分割取得:同じ期間を分けて取る
・延長:受給できる期間そのものが伸びる
この2つを混同しないように注意しましょう。
いくらもらえる?
育児休業給付金の金額は、育児休業開始前の給与をもとに計算されます。
支給率のざっくり目安は次のとおりです。
・育児休業開始から6か月まで:育児休業開始前の給与の67%
・7か月目以降:育児休業開始前の給与の50%

給付金は非課税で、育児休業期間中は社会保険料も免除されるため、手取りベースでは「給与の7〜8割程度」になるケースが多いです。
具体的な金額や上限、月収別のシミュレーションはこちらから
※作成中
申請の流れと手続き
育児休業給付金の申請は、原則として勤務先が行います。
多くの場合、2か月分まとめて申請されるため、初回の振り込みは育児休業開始から2〜3か月後になります。

まとめ
育児休業給付金は、育児休業中の生活を支える大切な制度ですが、要件や手続きの理解が欠かせません。
育児休業給付金には、今回ご紹介した内容のほかにも、細かな取扱いの違いがあります。「自分の場合はどうなるのか不安…」というときは、育児休業開始前の早い段階で、勤務先やハローワークに確認しておくと安心です。
今回の制度は、子育て世代がもらえるお金の“ほんの一部”です。結婚・妊娠・出産・育休・保育園・小中高・大学。人生のタイミングごとに使える制度は変わります。そしてその選択次第で、数十万円〜100万円以上の差が生まれることもあります。
「自分は他にも対象になる制度はない?」
「申請し忘れている制度はない?」
そう思った方は、タイミング別にまとめた保存版の記事でチェックしてみてください。
▶ 【保存版】結婚・出産〜大学まで「もらえるお金」完全ガイド


















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