「本を読んで、“制度を知らないだけで損をしている人がいる”ことに驚きました。先日結婚して、これから出産も考えているのですが、子育てでもらえるお金をできるだけ教えてほしいです。」

そんなメッセージを、『一度始めたらどんどん貯まる 夫婦貯金 年150万円の法則』の読者の方からいただきました。

結婚・妊娠・出産・育休・子育て。
人生の中でも特にお金が大きく動くタイミングです。
そして同時に、公的な支援制度が最も多い時期でもあります。しかし、これらの給付金や助成金、節税制度は、申請しなければもらえません。

・申請期限がある
・働き方で金額が変わる
・知らないと使えない
そんな制度も少なくありません。
実際、結婚から出産、育休、子育てまでの選択によっては、数十万円〜100万円以上の差が出るケースもあります。そこで今回は、このご質問にお答えする形で、子育て世代がもらえるお金を、タイミング別に複数回に分けて、わかりやすく解説していきます。

出産を控えると、「産休中の収入はどうなるの?」「生活は大丈夫?」と不安になる方は少なくありません。
そんなときに知っておきたいのが、健康保険の「出産手当金」という制度です。出産手当金は、産前・産後に仕事を休み、給与が出ない(または少ない)期間の生活を支えるための所得補償制度です。

ただし、「誰でももらえる」「自動的に振り込まれる」わけではなく、対象となる条件や注意点を知らないともらえない、少なくなるケースもあります。
今回は、出産手当金について
・誰がもらえるのか
・いつ、いくらもらえるのか
・退職後や給与が出た場合はどうなるのか
を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
誰がもらえる?
出産手当金は、次のすべてに当てはまる人が対象です。
①出産のため会社を休んでいる
出産のため仕事を休み、その期間の給与等が減額、または、もらえないときに休業補償として出産手当金が支給されます。

※「出産」とは
・妊娠4カ月(85日)以上の分娩
・正常分娩に限らず早産、死産、流産、人工妊娠中絶も含む
②健康保険に加入している「被保険者本人」
次のような人は出産育児一時金はもらえますが、出産手当金は対象になりません。
・配偶者の扶養で健康保険に入っている人
・個人事業主や自営業などで国民健康保険に入っている人

会社を退職しても出産手当金がもらえるか?
次の3点をすべて満たしている場合に退職後も引き続き、出産手当金の支給を受けることができます。
1.退職日までに継続して1年以上の健康保険に加入している
2.出産予定日または実出産日の42日(多胎の場合は98日)前が在職期間中
3.退職日に就労していない
ざっくりお伝えすると、出産予定日(または出産日)の42日前以内に退職しており、かつ退職日までに1年以上健康保険に加入していれば、退職後も出産手当金の対象となります。
いつの期間が対象?
出産手当金が支給される対象期間は次の通りです。
| 期間 | 詳細 |
| 産前 | 出産予定日の 42日前〜(多胎妊娠は98日前〜) |
| 出産日 | 出産日自体もカウントされます |
| 産後 | 出産の翌日から56日目まで |
出産が予定よりおくれた場合は支給期間が、実際に出産した日までの期間も支給されます。
(例)出産が予定より4日おくれた→その4日分についても出産手当金が支給される

出典:全国健康保険協会HPより
いくらもらえる?
出産手当金は、以下の数式で算出されます。
(支給開始日前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30) × 2/3 × 支給対象日数
標準報酬月額とは、健康保険料の計算基準となる月給に相当する金額の区分です。標準報酬月額と月給が一致しているわけではないですが、わかりやすく月給をイメージしていただけたらと思います。
標準報酬月額について詳しくはこちら
※作成中
計算の流れ
1)支給開始日前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額を平均する
2)その平均を30で割って「標準報酬日額」を出す
3)①に2/3をかけ、「1日あたり支給額」を計算
4)この「1日あたり支給額 × 対象日数」 = 総支給額
産前産後で実際に休んだ日数分だけ支給されます。
たとえば、次の例で支給日数が98日の場合、
支給額:支給日額6,520円×98日=約64万円

出典:全国健康保険協会HPより
健康保険加入期間が12ヶ月未満の場合
支給開始日前の12ヶ月に満たない人は、次のいずれか 低いほうの金額を基準として計算します。
・実際に加入していた期間の平均標準報酬月額
・協会けんぽ全体の平均標準報酬月額(毎年公表)

出典:全国健康保険協会HPより
手取りベースは約8割
通常、給料をもらった場合は、税金と社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険)が引かれた額が手取りになります。標準報酬月額が30万円の場合、手取りは約24万円です。
出産手当金は非課税で、産前産後休業期間中は社会保険料が免除されるため、月収30万円の場合、30万円×2/3の約20万円がそのまま手取りになります。
【月収30万円の場合】
通常手取り:約24万円
出産手当金:約20万円
差額:約4万円
しかも社会保険料は払ったことになる!
社会保険料は支払っていなくても、支払ったことと同じ扱いです。病院で健康保険を使える、厚生年金の加入期間や保険料支払いにもカウントされるので将来の年金も減りません。
育休、産休中の社会保険料免除について詳しくはこちらから
※作成中
会社から給与が出た場合は減額
出産手当金は、会社から報酬の支払いがある間は支給されません。ただし、報酬が支払われたときでも、その額が出産手当金の算定額より少ない場合は、その差額を支給されます。

出典:パナソニック健康保険組合HP
手続きの流れは?いつもらえる?
出産手当金は、加入している健康保険に「出産手当金支給申請書」を提出して申請します。申請書には、本人・会社・医師(または助産師)の記入欄があります。
一般的な流れは次の通りです。申請から支給までは、通常1〜2か月程度かかることが多いです。

出典:東京都医業健康保険組合HP
まとめ
出産手当金は、産前・産後の休業中に収入が減る期間を支える大切な制度です。
ポイントを整理すると、
・出産手当金は「産前産後休業」を取得し、実際に休業していることが前提
・健康保険の被保険者本人のみが対象(扶養内・国保は対象外)
・支給額は「標準報酬日額 × 2/3 × 対象日数」
・産前42日〜産後56日までが支給対象期間
・申請しないともらえない
出産前後は、体調や育児で手続きまで気が回らないことも多い時期です。早めに制度を理解し、必要な準備をしておくことで、安心して出産を迎えることができます。不明点がある場合は、加入している健康保険や会社の担当者に早めに確認しておきましょう。
今回の制度は、子育て世代がもらえるお金の“ほんの一部”です。結婚・妊娠・出産・育休・保育園・小中高・大学。人生のタイミングごとに使える制度は変わります。そしてその選択次第で、数十万円〜100万円以上の差が生まれることもあります。
「自分は他にも対象になる制度はない?」
「申請し忘れている制度はない?」
そう思った方は、タイミング別にまとめた保存版の記事でチェックしてみてください。
▶ 【保存版】結婚・出産〜大学まで「もらえるお金」完全ガイド



















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