育休中に働いてもいい?給付金が全額不支給になるラインを1級FPが解説

「育休中に、少しだけ仕事を手伝うことはできる?」

そんな相談を受けることがよくあります。

たとえば、
・在宅で少しだけ手伝う
・急ぎの仕事を1日だけ対応する

このようなケースです。

結論から言うと、条件を守れば、育児休業中でも働くことは可能です。
ただし、その条件を少しでも超えてしまうと、
その月の育児休業給付金が全額不支給になることがあります。

たった1日、数時間の違いで、
給付金の扱いが大きく変わることもあるため注意が必要です。

今回は、
・育休中に働ける条件
・OK/NGの具体例
・給付金が減る・もらえなくなるケース
を整理しながら、家計としてどう考えるかも解説します。

※なお、産後パパ育休は「育休中でも働ける」制度ですが、本記事は「通常の育児休業中」のルールについて解説しています。

育休中に働いてもいい?

育児休業中であっても、

・一時的・臨時的な就労に限り
・1か月の支給単位期間内で「就業日数が 10日以内」または「就業時間が80時間以内」

であれば、育児休業給付金は支給されます。

ただし、この基準を超えると、その支給単位期間の育児休業給付金は全額不支給となります。減額ではなく「丸ごと不支給」になってしまいます。これは、一定以上働くと「育児に専念していない」と判断され、その支給単位期間は育児休業とは認められなくなるためです。

そもそも育休中に働いていいの?

育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育に専念するため、労務提供義務を消滅させる制度です。そのため、本来は育児休業期間中の就労は想定されていません。
ただし、本人と会社の話し合いにより、子どもの養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的な就労を行うことは認められています。


出典:労働基準監督署「改正育児・介護休業法について」

ポイント

①一時的・臨時的に限る
②在職中の事業所以外で就業した日数・時間も含まれる
③育児休業中の給与の額によっては給付金が減る

①一時的・臨時的に限る

恒常的・定期的な就業は育児休業していることになりません。「一時的・臨時的な就労」に該当しないケースは次のような例です。

【NGになりやすい例】
・育児休業開始前からの約束であらかじめ決められた日に働く
・毎週特定の曜日に働く

出典:厚生労働省「育児休業中の就労について」

実際、労働局に確認したところ、これらは、あらかじめ勤務日が決まっており、実質的に育児休業とはいえない働き方と判断される可能性があるとのことでした。

反対に「一時的・臨時的な就労」に該当するケースは次のような例です。

出典:厚生労働省「育児休業中の就労について」

②「就業日数が 10日以内」または「就業時間が80時間以内」

ここでいう「月」とは、育児休業給付金の「支給単位期間(原則1か月)」を指します。「支給単位期間」とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間(休業開始日(または応当日)から翌月の応当日の前日までです。その1か月の間に育児休業終了日を含む場合はその育児休業終了日までの期間をいいます。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」

暦月(1日〜末日)ではなく、給付金の申請単位ごとに判断される点に注意が必要です。

在職中の事業所以外で就業した日数・時間も含まれる

この就業した日数・時間は、在職中の事業所以外で就業した分も含まれます。たとえば、パートやアルバイトなど、別の会社に雇用されて働く場合、育児休業中の1か月間に10日を超えて働くと、育児休業給付金が支給されません。

③育児休業中に給与の額によっては給付金が減る

育休中や産休中は原則として労働を行わないため、通常は休業期間中に給与が支払われることはありません。

育児休業中に働いたりして給与が支払われる場合、給与の金額によって給付金の支給額が調整され、休業開始時賃金の80%を超えると支給がなくなります。育児休業中に会社から支払われた給与のみが対象で、賞与は含まれません。(2026年2月育児休業給付金コールセンターに確認)

出典:厚生労働省「給付金の制度利用ガイド」

・休業開始時賃金の13%以下→給与全額を受け取れる
・休業開始時賃金の80%以上→給与全額を受け取れない

この2つは分かりやすいですね。

休業開始時賃金の13%超~80%未満の場合、給与額に応じて給付金が減額されます。育児休業給付金の支給額は次のように計算されます。

育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金月額の80%-支払われた賃金

どのように調整されるか具体例で見てみましょう。


出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」

家計への活かし方

では、この制度を家計としてどう考えればいいのでしょうか。

私は、次の点を整理しておくことが大切だと思っています。

給付金に影響するラインを知っておく

・中小企業で人数が少なく、自分にしかできない仕事がある。
・急な繁忙期で、会社がひっ迫していて助けたい。

育休期間中でも、このような場面が出てくることがあります。

そんなとき、会社思いの人ほど
「少しだけなら手伝おう」と働くことを選択することも少なくありません。

ただし、
働いたことで、かえって家計の収入が減るという状況は避けたいところです。

そのため、

・どの程度の就労なら問題ないのか
・給付金に影響が出るラインはどこなのか

を事前に理解しておくことが大切です。

制度を知ることで、

・育児に専念する
・必要な範囲で仕事を手伝う

といった働き方を、家計の視点からも判断しやすくなります。

まとめ

育児休業中の就労は、「少しだけなら大丈夫」と思われがちですが、

・就業日数
・就業時間
・働き方(定期的かどうか)
・給与の金額

によって、育児休業給付金の扱いが大きく変わります。

特に、

・月10日(または80時間)を超える就労
・定期的・恒常的な働き方

と判断された場合、
その支給単位期間の育児休業給付金は
全額不支給
となる可能性があります。

「少し手伝っただけ」のつもりでも、
結果として 家計の収入が減ってしまうケースもあるため注意が必要です。

実際に働く場合は、

・会社
・ハローワーク

に事前に確認し、
給付金に影響がないか整理しておくと安心です。

増やすより、整える。

整えることの積み重ねが、
きっとこれからの安心につながります。

また次回、一緒に整理していきましょう。

【保存版】結婚・出産〜大学まで「もらえるお金」完全ガイド

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この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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