【1級FPが解説】変動と固定どっちが正解?変動と固定のメリット・デメリットを徹底解説

「変動金利と固定金利のどちらを選択しますか?」
「なぜ、それを選択するのですか?」

変動金利にされている人になぜ変動金利にしたかを聞くと「金利が安いから」「日本では金利は上がらないから大丈夫だと思って」という回答が多いですが、みなさんはいかがでしょうか?

今回は、変動金利と固定金利のどちらを選択していくかの考え方をお伝えしていきます。

変動金利と固定金利の仕組み、リスク、その対策を学び、「自分はどちらのリスクの取り方があっているか?」「どちらの選択のほうが安心して毎日を過ごせるか?」を考えていきましょう。

YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約9分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。

金利はどうやって決まる?

日銀は金利を上げたり、下げたりすることで経済をコントロールしています。

物価(モノの値段)は需要と供給で決まります。
物価が上がる=需要が多い、皆が欲しいからモノの値段が上がります。
物価が下がる=需要が少ない、モノが有り余っているからモノの値段が下がります。

物価の上昇を放っておくとどうなるのでしょうか? 
株価や不動産の上昇が永遠に続くという期待が膨らみ、冷静な判断やリスク管理を見失ってしまいます。そして、物価上昇を前提に、株や不動産を担保にお金をかりて過度に投資しすぎる状態になってしまいます。実体を伴わないまま、泡が膨らむようにあらゆる資産価格が上昇しバブルになる可能性があります。そうならないように、日銀は金利を上げて投資を抑制します。

逆はイメージしやすいと思います。
物価が下がる(需要が少ない)と、経済が停滞するので、日銀は金利を下げてお金を使いやすくします。金利が下がれば、住宅を買いやすくなり、企業も設備投資しやすくなり、経済が良くなります。

家計への金利の影響

家計への影響は、メリットとデメリットがあります。

金利が上がる場合のメリットは、金利が上がるので、預金金利、これから購入する債券や貯蓄保険の利回りも上昇することです。金利を受け取る側の人は有利になります。
デメリットは、借金の金利が上昇することです。住宅ローン、自動車ローンなどを変動金利で借りている人は、金利が上昇する可能性があります。金利を支払う側の人は負担が増えます。金利が下がる場合は、上がる場合の逆です。

固定金利のメリット・デメリット

当初決めた金利がずっと確定しているのが固定金利です。

メリット

金利が上がっても返済が一定、銀行が金利上昇のリスクを背負ってくれている

デメリット

金利が高い(金利を固定するコスト負担がある)
●ずっと金利が低ければ変動金利にすればよかったという後悔の可能性

変動金利のメリット・デメリット

金利が変動するのが変動金利です。

変動金利の中には、最初の10年固定金利、11年目から変動金利、最初の20年固定金利、21年目から変動金利など、固定金利と変動金利がセットになった当初固定型の変動金利もあります。

変動金利の決まり方

変動金利の決まり方は、「店頭金利―優遇金利」です。優遇金利は人により異なります。
全期間変動金利の場合は、借り換えがない限り優遇金利は変わりません。2024年4月時点の店頭金利は2.475%です。店頭金利が1%上がると、皆さんの金利も1%上がるということです。

メリット

金利が低い

デメリット

●金利が上がれば、返済額が高くなる
●金利の上昇局面で不安になる可能性

変動金利の2つの勘違い

「変動金利は、5年ルールがあるから急には金利が上がらない」
「金利が上昇したら、固定金利に乗り換えるから大丈夫」
と言われる人もいますが、これはよくある勘違いです。

①変動金利は、5年ルールがあるから急には金利が上がらない

変動金利の5年ルールとは、金利が上昇しても、返済額は5年毎に最大25%しか上昇しないルールです。

しかし、変動金利の返済額は5年間一定ですが、半年ごとに金利は変わっています。金利が変わり、元金と利息の割合は変わっているのに返済額は変わっていないということは、当初の予定より元本が減ってないということです。予定通り減らなかった元本は貯まっていき、住宅ローン契約で決めた完済日に返済が必要です。

このルールは全ての金融機関で採用されている訳ではなく、一部採用していない金融機関もあります。また、元利均等支払いのみに適用され、元金均等支払いには適用されません。

②金利が上昇したら、固定金利に乗り換えるから大丈夫

金利が上昇したら変動から固定に乗り換えることができるのでしょうか?

過去、固定金利が上がり、変動金利が上がることが多いので、変動金利が上がりそうなら固定金利は既に上がっている可能性が高いので難しいと考えたほうがよいでしょう。

変動金利と固定金利は決まり方が違います。固定金利は10年国債の利回りで、変動金利は短期プライムレート(優秀な企業に対する1年以内の短期の最優遇貸出金利)で決まります。つまり、変動金利と固定金利は同じようには動かない可能性があるということです。

変動金利と固定金利どっちを選ぶ?

変動金利と固定金利の違いは、誰が金利上昇のリスクをおっているかです。変動金利は、住宅ローンを組む人がリスクをおっています。固定金利は、銀行がリスクをおっています。

変動金利と固定金利を選択する基準は、金利上昇のリスクが取れるかどうかで決めましょう。

金利が2%上がっても返済していけるのであれば変動金利も選択肢です。
2024年が約0.5%、リーマンショック前後が約2%なので、2%は上がる可能性を考えておきましょう。貯蓄や毎月の収入に余裕があり、これに耐えられるなら金利リスクが取れるので変動金利でもいいと思います。耐えれないのであれば、金利は高くなりますが固定金利を選択されたほうがベターです。

金利を○○しないことが大切

ネットを見ると「変動金利はあがらないので問題ない」「変動金利は3%くらいいく可能性がある」などさまざまな意見があります。しかし、予測はあたることもあるし、あたらないこともあります。

金利が上がったときに何も準備しておらず、家を売却してもローンを返せなければ、残りのローンの支払いが必要になります。マイホームを失い、さらに借金も残ってしまいます。

ここで大切なことは、金利を予測せず、悪いほうを想定して準備することです。具体的にどんな準備ができるかは、僕の著書のP66~69の『うまくいかない夫婦は「将来を予測」する、うまくいく夫婦は「悪いほうを想定」する』にて詳しく解説しているので、よければみてみてください。

まとめ

変動金利と固定金利どちらを選択していくかの考え方をお伝えしました。

変動金利と固定金利を選択する基準は、金利上昇のリスクが取れるかどうかで決めましょう。ただ単に金利が安いからという理由だけでなく、「自分はどちらのリスクの取り方があっているか?」「どちらの選択のほうが安心して毎日を過ごせるか?」を考えていきましょう。

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【1級FPが解説】住宅ローンを夫婦で借りる最大のデメリットは〇〇|ペアローン・連帯保証・連帯債務を徹底解説

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1級FP技能士
磯山裕樹

立命館大学を卒業後、旅行会社に就職。連日の出張や残業による仕事中心の生活から家族の時間を作るため、自分で自由に時間を決められる働き方を求め外資系保険会社に転職。総額200万円を投資して徹底的にお金に関する学びを追求。その結果、富裕層ではなく、かつての私と同じ悩みを持つ子育て世代にこそ自身が体感したサービスが必要だと考え、磯山FP事務所を開業。“お金が理由で子供の選択肢を狭めない未来”を実現できる子育て世代を増やすべく日々奔走中。

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