変動金利と固定金利どっちを選ぶ? 1級FPが考える「住宅ローンの金利」の基本

住宅ローンを考えるとき、
「変動金利と固定金利どっちがいいですか?」
という質問はとても多いです。

最近は、
・「変動金利が低いから変動一択」
・「今後金利は上がるから固定」
など、さまざまな意見があります。

今回は、
・金利はどう決まるのか
・固定金利と変動金利の違い
・よくある勘違い
・どう選べばいいか
を、できるだけ分かりやすく整理していきます。

固定金利とは?

固定金利は、
「借りたときの金利が固定される」
住宅ローンです。

メリット

👉 金利が上がっても返済額が変わらない

将来、
金利が上がっても、
毎月の返済額が変わらないため、
家計管理がしやすいです。

つまり、
「金利上昇リスクを銀行側が負ってくれている」
状態です。

デメリット

👉 金利が高め

固定金利は、
変動金利より高めに設定されています。

固定金利は長期金利(国債利回り)の影響を受ける

銀行や投資家が5,000万円を持っているとします。

お金を増やす方法はたくさんあります。

例えば、
・日本国債を買う
・住宅ローンにお金を貸す
・企業にお金を貸す
などです。

一般的に、
リスクが低いものほど金利は低く、リスクが高いものほど金利は高くなります。

例えば、
・日本国債 1%
・住宅ローン 1%
だったらどうでしょう?

多くの人は日本国債を選ぶでしょう。

なぜなら、
住宅ローンを借りる個人よりも、日本国の方が返済不能になる可能性が低いと考えられているからです。

そのため、
日本国債 1% → 住宅ローン 2%
のように、
住宅ローンは国債より高い金利でないと、お金を貸したい人が集まりません。

つまり、
国債の利回りが上がると、住宅ローンもそれ以上の金利を提示する必要があります。

例えば、

10年国債 1%

住宅ローン固定金利 2%

10年国債 2%

住宅ローン固定金利 3%

のようなイメージです。

そのため、
固定金利と国債利回りには強い関係があります。

国債利回りが上がれば固定金利も上がる傾向があり、
国債利回りが下がれば固定金利も下がる傾向があります。

実際に、フラット35と10年国債利回りの推移を重ねると、似た動きをしていることが分かります。

変動金利とは?

変動金利は、
「金利が変動する」
住宅ローンです。

現在の日本では、
固定金利より低いことが多く、
利用者も増えています。

当初固定金利型

変動金利の中には、
・10年固定
・20年固定
など、
「最初だけ固定」
の商品もあります。

一定期間後に、
変動金利へ切り替わります。

メリット

👉 金利が低い

固定金利より、
毎月返済額を抑えやすいのが特徴です。

デメリット

👉 金利が上がるリスクがある

金利が上がれば、
将来の返済額が増える
可能性があります。

また、
「金利が上がったらどうしよう」
という不安を感じやすい人もいます。
つまり、
「金利上昇リスクを借りる側が負う」
状態です。

変動金利は政策金利の影響を受ける

変動金利を理解するためには、
まず「政策金利」を知る必要があります。

政策金利とは、
日銀(日本銀行)が決める金利です。

日銀は、
景気や物価の状況を見ながら、
この金利を上げたり下げたりしています。

例えば、
景気が悪いときは、
金利を下げて、
お金を借りやすくします。

すると、
・住宅を買いやすくなる
・企業がお金を借りやすくなる
ため、経済が活発になりやすくなります。

逆に、
物価が上がりすぎると、
金利を上げて、
お金を借りにくくします。

すると、
・住宅ローンを借りる人が減る
・企業の借入が減る
ため、お金の使いすぎを抑えることができます。

つまり、
日銀は政策金利を調整することで、
景気や物価をコントロール
しようとしているのです。

そして、
住宅ローンの変動金利は、
この政策金利の影響を受けます。

例えば2026年6月現在、
政策金利は0.75%です。

中国銀行(2026年6月現在)の住宅ローンを例にすると、

政策金利    0.75%

住宅ローン基準金利 3.125%

金利優遇   ▲2.025%

実際の金利  1.1%

という仕組みになっています。

住宅ローン基準金利とは、
住宅ローンの定価のようなものです。

ただし、
実際には多くの人が金利優遇を受けるため、
基準金利のまま借りることはほとんどありません。

銀行は住宅ローンをきっかけに、
・給与振込
・クレジットカード
・投資信託
・NISA
など、
長期的な取引につながることを期待しています。

そのため住宅ローンには、
大きな金利優遇が設定されているのです。

この「優遇幅」は、
年収・勤務先・借入内容などによって人それぞれ異なります。

全期間固定の優遇がついている場合は、
借り換えなどをしない限り、
優遇幅は基本的に変わりません。

一方、
当初固定金利型の場合は、
・固定終了後も優遇幅が決まっているタイプ
・固定終了時点の金利で再設定されるタイプ
があります。

つまり、変動金利が上がるかどうかは、
「基準金利(店頭金利)」がどう動くかで決まります。

今後、
日銀が政策金利を引き上げれば、
住宅ローン基準金利も上がりやすくなり、
住宅ローンの変動金利も上がります。

例えば、政策金利が1%上昇した場合、住宅ローン金利も同程度上昇する可能性があります。

(イメージ)
政策金利    1.75%

住宅ローン基準金利 4%前後

金利優遇   ▲2.025%

実際の金利  2%前後

※住宅ローン基準金利は、短期プライムレートなどを参考に銀行が決めています。

変動金利のよくある勘違い

「変動金利は、5年ルールがあるから急に返済額は上がらないから大丈夫」
「金利が上がったら、その時に固定金利へ借り換えれば大丈夫」
と言われることもあります。

しかし、これは少し注意が必要な考え方です。

①変動金利の「5年ルール」とは?

変動金利には、
金利が上がっても、毎月返済額はすぐには大きく増えない
という「5年ルール」がある商品があります。

これは、
金利が上昇しても、
「毎月返済額は5年間据え置き」
となるルールです。

さらに、
5年後に返済額が見直される場合も、
増加は最大125%まで
(例:10万円 → 最大12.5万円)
に制限されている商品もあります。

そのため、
「急に返済額が大きく上がりにくい」
という特徴があります。

ただし、注意したいのは、
「返済額が増えていないだけで、金利は上がっている」
という点です。

変動金利は、
通常半年ごとに金利が見直されます。

そのため、
返済額が同じでも、
・利息の割合が増える
・元本の減りが遅くなる

つまり、
本来減るはずだった元本が、後ろに残っていく
イメージです。

金利上昇が大きい場合は、
ローン終了時に、予定より元本が残るケースもあります。

ちなみに、この「5年ルール」や「125%ルール」は、
すべての金融機関で採用されているわけではありません。

②金利が上がったら固定へ変更すればいい?

「変動金利が上がりそうになったら、
固定金利へ変更すれば大丈夫」
と言われることがあります。

ただ実際は、
固定金利は先に上がることが多いので
「上がりそうになったら固定へ変更」
を前提に考えすぎないほうがよいでしょう。

固定金利は、
「長期金利(10年国債利回りなど)」
の影響を受けやすい住宅ローンです。

長期金利は、
「将来、日銀が利上げしそう」
など、将来の金利見通しで動きやすい特徴があります。

そのため、
実際に日銀が利上げする前でも、
市場が「今後金利が上がりそう」
と考え始めると、
固定金利が先に上がる
ことがあります。

一方、
変動金利は、
実際に日銀が短期金利を上げた後
に、上がることが多いです。

つまり、
「変動が危ないと思った頃には、
固定もすでに高くなっている」

可能性があります。

そのため、
「上がりそうになったら固定へ変更」
を前提に考えすぎないほうがよいでしょう。

結局、変動と固定どっちを選ぶ?

大切なのは、
「どっちが得か」
ではありません。

本質は、
「金利上昇リスクを、自分で負えるか」です。

僕自身は、
「変動金利が3%まで上がったとしても対応できるか?」
を、一つの基準にしています。

出典:住宅金融支援機構

もし対応できるなら変動、
難しそうなら固定も検討、
という考え方です。

例えば、
5,000万円を35年ローンで借りた場合、
・金利1% → 月々約14.1万円
・金利3% → 月々約19.2万円
となり、
毎月約5万円、年間約60万円
返済額が増えるイメージです。

さらに、
総返済額では約2,100万円以上差が出ます。

年間60万円の支払い増に対して、
・貯蓄に余裕がある
・収入に余裕がある
・繰上返済で返済額を減らせる
などで、金利が上がっても家計が耐えられる
のであれば、
変動金利を選ぶ考え方もあります。

一方で、
「今の返済でも家計がギリギリ」
なのであれば、
注意が必要です。

年間60万円支払いが増えることで、
家計への影響が大きいのであれば、
固定金利も選択肢です。

金利を予測しないことが大切

ネットを見ると、
・「変動金利は上がらない」
・「これから3%まで上がる」
など、
さまざまな意見があります。

ただ、
金利予測は誰にもできません。

大切なのは、
「予測を当てること」
ではなく、
「悪いケースでも困らないこと」です。

もし、
金利が上がったときに、
・返済できない
・家を売却しないといけない
・売却してもローンが残る
となると、
生活に大きな影響が出ます。

だからこそ、
「予測」ではなく、
「金利が上がっても続けられるか」
で考えることが大切です。

まとめ

固定金利と変動金利の違いは、
「誰が金利上昇リスクを負うか」です。

固定金利
→ 返済額が一定で安心
→ その代わり金利は高め

変動金利
→ 金利は低め
→ ただし金利上昇リスクがある

大切なのは、
「どっちが得か」
ではなく、
「自分たちがリスクを取れるか」です。

住宅ローンは、
何十年も続く長い支払いです。
「今の返済額」だけではなく、
「将来も続けられるか」
を考えて選んでいきましょう。

次は「返済期間は何年が正解?」について解説します。

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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