住宅ローンはいくらまで借りていい? 1級FPが“無理のない予算”の決め方を解説

「住宅ローンはいくらまで借りても大丈夫ですか?」

住宅購入の相談で、
もっとも多い質問の1つです。

しかし実際は、
・銀行が貸してくれる金額
・住宅会社が提案する金額
で借りてしまい、
後から家計が苦しくなるケースも少なくありません。

住宅ローンで大切なのは、
「いくら借りられるか」
ではなく、
「いくらなら無理なく返し続けられるか」
です。

今回は、
・住宅購入時にかかるお金
・購入後にかかるお金
・無理のない住宅ローン予算
・予算オーバー時の改善方法
を分かりやすく整理していきます。

住宅購入は「家の価格」だけではない

住宅にかかるお金は、
大きく2つあります。
① 家を買うときにかかるお金
② 家を維持するのにかかるお金

① 家を買うときにかかるお金

住宅購入時に必要なのは、
土地や建物代だけではありません。

実際は、
・融資事務手数料
・火災保険
・外構費用
・検査費用
・引越し費用
・家具家電購入費用
など、
さまざまな「諸費用」がかかります。

諸費用の目安は、
・マンション:約5%
・戸建て:約10%

程度です。

たとえば、
4,000万円の戸建てなら、
諸費用だけで400万円前後かかるケースもあります。

住宅会社の見積もりを見るときは、
「建物価格だけ」
ではなく、
「諸費用込みの総額」
で確認することが大切です。

② 家を買った後もお金がかかる

「今の家賃と住宅ローン返済が同じだから大丈夫そう」
と思っていませんか?

実は、
家賃と住宅ローンを単純比較してはいけません。

住宅は、
購入後も継続的にお金がかかります。

一戸建ての場合
・固定資産税
・都市計画税
・修繕費
・火災保険
など。

マンションの場合
・管理費
・修繕積立金
・固定資産税
・駐車場代
・火災保険
など。

一般的には、
月2〜5万円程度
の維持費
を見込んでおきたいところです。

つまり、
「今の家賃=住宅ローン返済額」
で考えると、
購入後に家計が苦しくなる可能性があります。

また、
「今の家賃より少し安いから安心」
とも限りません。

持ち家になると、
・固定資産税
・修繕費
・管理費
・火災保険
など、
家賃にはなかった支出が増えるためです。

「借りられる額」と「返せる額」は違う

「年収の35%以内なら大丈夫」
と言われることがあります。

しかし、
実際はそれだけでは決まりません。

たとえば、
年収1,000万円でも、
・教育費
・車
・旅行
・趣味
などで支出が大きければ、
住宅ローンに多くのお金をかける余裕はありません。

反対に、
・教育費をそこまでかけない
・車にお金をかけない
家庭なら、
同じ年収でも住宅に使える予算は増えます。

つまり大切なのは、
「人生で何を優先したいか」
です。

住宅ローン予算は、
年収だけではなく、
家計全体で考える
ことが大切です。

無理なく返済するための3つのポイント

無理なく返済するためのポイントは次の3つです。

① ボーナス返済を前提にしない
② 退職金を当てにしすぎない
③ 頭金を入れすぎない

① ボーナス返済を前提にしない

ボーナスは、
会社の業績によって変わります。

実際、
コロナ禍では、
・ボーナスが減った
・ボーナスが出なかった
ことで、
住宅ローン返済が厳しくなった家庭もありました。

そのため、
「ボーナスが出る前提」
で住宅ローンを組むのはおすすめできません。

住宅ローンは、
ボーナスなしでも返済できる金額
にしておきましょう。

② 退職金を当てにしすぎない

「退職金で一気に返済する予定だから大丈夫」
という考え方もあります。

しかし、
・会社の存続
・退職金制度の変更
・転職
など、
数十年後はどうなっているか分かりません。

そのため、
「退職金があるから大丈夫」
を前提にしすぎるのは危険です。

退職金は、
あくまで“余裕があれば使う”くらいで考えておくほうが安心です。

③ 頭金を入れすぎない

「頭金は多いほうがいいですか?」
これもよくある質問です。

確かに、
頭金を多く入れれば、
住宅ローンの利息は減ります。

しかし、
大切なのは、
利息総額だけではなく、
家計全体の安定です。

頭金を入れすぎてしまい、
・教育費
・車の買い替え
・急な出費
などに対応できなくなると本末転倒です。

特に、
子どもが小さい家庭では、
・教育費の増加
・時短勤務
・働き方の変化
なども起こりやすいため、
「今払える」
だけで住宅ローンを考えない
ことが大切です。

また、
繰上返済は後からでもできます。
そのため、
最初に現金を使い切らない
ことも大切です。

「いくら・いつまで借りるか」を決めるには

住宅ローン予算を考えるときに役立つのが、
「キャッシュフロー表」
です。

キャッシュフロー表とは、
・収入
・支出
・住宅ローン
・教育費
・老後資金
・貯蓄残高
など、
将来のお金の流れをまとめて確認する表です。

まずは、
「現在の固定金利」
「働く予定の年齢まで返済

で、キャッシュフロー表を作ってみるのがおすすめです。

ざっくりでも将来のお金の流れを確認することで、
「無理のある住宅ローン」
を避けやすくなります。

もしお金が足りなくなりそうなら改善策を考える

キャッシュフロー表を作った結果、
「将来お金が足りなくなりそう」
であれば、
住宅ローンを無理して組むのではなく、
改善策を考えていきます。

【購入価格を見直す】
・エリアを変更する
・建物予算を下げる
・新築 → 中古
など。

【収入を増やす】
・働く期間を延ばす
・転職する
・パートから正社員になる
など。

【支出を見直す】
・車の予算
・保険
・通信費
など、
家計全体を調整する方法もあります。

キャッシュフロー表で厳しそうだからといって、
「家を諦める」
必要はありません。

家計全体を調整することで、
無理のない住宅ローンにできるケースも多くあります。

大切なのは「無理なく続けられること」

住宅ローンは、
家を買うためだけのものではありません。
「その後の人生を続けるためのもの」です。

家を買った後も、
・教育費
・老後
・旅行
・趣味
・働き方
など、
人生は続いていきます。

だからこそ、
「借りられる額」
ではなく、
「無理なく返し続けられる額」
を考えることが大切です。

無料相談には注意も必要

キャッシュフロー表は、
FPなどの専門家に依頼する方法もあります。

無料相談の中には、
・住宅ローン紹介
・保険提案
・住宅会社紹介
などで収益を得ているケースもあります。

もちろん、
すべてが悪いわけではありません。
ただ、
「誰の利益で成り立っているのか」
は確認しておくと安心です。

次回は「住宅ローン控除」について解説します。
住宅ローン控除は、
・借入額
・ペアローン
・頭金
・繰上返済
などにも関わる重要な制度です。

住宅ローン控除とは?1級 FPが押さえておきたいポイントと“3つの落とし穴”を解説

この記事が、
家計を整えるきっかけになれば嬉しいです。

 

1級FP 磯山裕樹

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