【1級FPが解説】個人事業主の節税方法

今回は、個人事業主の方の節税方法をお伝えしたいと思います。

活用できる節税の方法があれば、実践してみましょう。
それぞれの制度で、制度の期間や途中解約の有無、減額ができるかどうかなど違いがありますので、自身のライフプランと合わせて選択してみてくださいね。

一番大事なことは出口対応です。出口で対応できず、結局節税できなかったということにならないようにしましょう!

節税を意識するあまり、今手元にお金がなくなり、事業や生活にお金を活用できないのは本末転倒です。

節税対策に取り組むにあたっては、「本当に自分にとって活用できる制度なのか」「十分な節税効果が見込めるものなのか」を慎重に検討しましょう。

個人ができる節税対策の記事はシリーズ化しています。順番に読み進んでいただくと、「私はどんな節税ができるのか?」と悩んでいる方が、ご自身ができる節税対策を判断できるようになります↓↓↓

【1級FPが解説】個人ができる節税対策を徹底解説!保険・iDeCo・ふるさと納税・医療費・住宅ローン・扶養の「控除」

税金の基礎知識がない方は、まずこちらから見ていただいた方が内容を理解しやすいと思います↓↓↓

【1級FPが解説】個人ができる節税対策!保険・iDeCo・ふるさと納税・医療費・扶養の「控除」を活用して手取りを増やす

個人事業主が活用できる節税対策

個人事業主の方は下記で節税がおすすめです。

①小規模企業共済 →年間最大84万控除
②経営セーフティ共済 →年間最大240万経費
③ iDeCo →年間最大81.6万控除
④ 青色申告特別控除 →年間65万円控除

小規模企業共済


参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 HP より

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模な法人の役員などを対象とした退職金の積み立て制度です。

下記の方は加入できます。

●従業員が5~20人以下の個人事業主と会社役員
●年齢制限はなし

上記に当てはまっても下記の方は加入できないのでご注意ください。

●サラリーマン兼個人事業主の方
●5棟10室以下の規模で不動産業を営んでいる方

ポイント①貯蓄しながら節税できる

掛金は所得控除になりますので、貯蓄しながら節税できます。

どのくらい節税メリットがあるかは下記図の通りです。
大きなメリットになりますね!


参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 資料 より

掛金は毎月1000円~70000円

上記表では1万、3万、7万の節税例ですが、掛金は1000円から可能です! 

掛金の減額もできる

最低1000円の支払いの継続は必要ですが、いつでも減額可能です!

一括払い可

12月に今年の利益がたくさんでるので一括で支払うこともできます!

予定利回りは1%

ただ単に貯蓄するだけでなく、予定利回り1%で運用してくれます。

ポイント②受取は4種類

受取は4種類あります。
どの種類で受け取るかで受け取る金額が変わってきます。


参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 資料 より

受け取り時期

満期はなく、廃業時や退職時などに受け取りになります。

受け取り方

受け取り方は一括、分割、併用から選択できます。

受取時の税金の優遇税制

一括:退職所得(退職所得控除が適用)
年金:雑所得(公的年金控除が適用)
死亡:遺族受取(相続税法上のみなし相続財産)

共済金A,Bは3年以上続けると元本以上


参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 資料 より

途中解約

途中解約可能ですが、次のペナルティもありますので、気をつけましょう!

1年以内の解約は0円
納付月数に応じて80~120%に相当する額
20年未満の方は元本割れ

ポイント③困った時は貸付機能がある

納付掛金の範囲内で2000万円まで貸し付けができます。(金利1.5%)

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 資料 より

経営セーフティ共済


参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 経営セーフティ共済 資料より

個人事業主は、経営セーフティ共済に加入することで節税をすることができます。
ただし、会社設立、個人事業主1年目の方は入ることはできません。

ポイント①掛金は必要経費になる!


参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 経営セーフティ共済 資料より

掛金が必要経費ということは節税になるということですね!

●掛金月額は、5,000円~20万円

●年払いは可

●途中で掛金額の変更可、毎月最低5000円は継続が必要

●積立上限800万円、部分解約はできない

ポイント②貯めた掛金は1年経てばいつでも解約できる!


参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 経営セーフティ共済 資料より

●1年以下は解約金0

●40か月以上で元本保証

●積み立てるだけなので運用益はない

●一括解約のみで、部分解約はできない

●解約後、何度でも再加入できる

40か月以上経てば、解約の際、掛金の100%が戻る=元本保障になります。
利益になる=税金がかかるということですね。
ですので、いつ受け取るか=出口が大切になってきます。
赤字の時、経費が大きくかかる時などに解約して上手く活用しましょう。

【例】税率が43%の個人事業主の方が過去800万円積立をしており、2020年コロナで売上減

下記状況と仮定します。
・過去掛金合計800万円×43%=344万円節税
・2020年コロナ売上減
売上100万―経費など800万 ▲700万の赤字

ここで経営セーフティ共済に積立している800万円を解約

売上900万(売上100万+解約金800万)―経費など800万=所得100万
100万×5%=約5万納税になります。

800万円の掛金に対して本来であれば344万円税金がかかっていたのが、5万円の税金の支払いで済みました。
339万円節税できたことになりますね!

ポイント③取引先が倒産しても、最大8,000万円の融資を受けれる


参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 経営セーフティ共済 資料より

●取引先が倒産した場合、掛金の10倍まで、無担保、無保証、無利子で貸付を受けれる
ただし、借りた額の1/10の掛金が没収されるので実質無利子ではないので注意が必要です。
(例)800万円掛金があり、その10倍の8000万円の貸し付けを受ける場合、800万円は没収されます。

●倒産していなくても、解約手当金の最大95%まで一時貸付金を受けれる
・利息は0.9%
・返済は1年後に一括

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは年金を自分で積み立てる制度のことです。
iDeCoの掛金は、所得控除の対象となりますので、節税効果を得ることができますね。

個人事業主の場合は、最高で月に68,000円まで掛金を拠出することができます。

iDeCoについては以前ブログで紹介しておりますので、こちらをご参照ください。

【1級FPが解説】iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の拠出できる掛金の上限は職業と会社の退職金制度で決まる!会社員・自営業・公務員・パート別にわかりやすく解説

青色申告特別控除

毎年の確定申告を白色申告から青色申告に変えるだけで、最大65万円の特別控除を受けることができます!

これだけでもメリットが大きいですが、さらに青色申告にするとメリットがあります。

●赤字繰越が最長で3年間可能

●少額減価償却資産の特例の活用
本来、10万円以上する消耗品は、減価償却費として毎年少しずつ償却していきます。
そのため、当期で経費として一括処理ができません。
しかし、30万円未満であれば、少額減価償却資産の特例を活用し、一括で償却することができます。
※合計限度額は300万円

まとめ

個人事業主の方におすすめの4つの節税方法を紹介しました。
【1】 小規模企業共済 →年間最大84万控除
【2】 経営セーフティ共済 →年間最大240万経費
【3】 iDeCo →年間最大81.6万控除
【4】 青色申告特別控除 →年間65万円の控除

【4】青色申告特別控除については、確定申告の手続きで少し手間がかかりますが、全員やると良いかと思います!

【1】~【3】については、ざっくりまとめると以下になります。
特に注意するメリットは赤字、デメリットは青字にて記載しています。

どれも節税ができる制度ではありますが、期間や途中解約の有無、減額ができるかどうかなど違いがありますので、自身のライフプランと合わせて選択してみてくださいね。
一番大事なことは出口対応です。出口で対応できず、結局節税できなかったということにならないようにしましょう!
また、節税を意識するあまり、今手元にお金が無くなり、お金を活用できないのは本末転倒です。
節税対策に取り組むにあたっては、「本当に自分にとって活用できる制度なのか」「十分な節税効果が見込めるものなのか」を慎重に検討して実施していきましょう!

個人ができる節税対策の記事はシリーズ化しています。順番に読み進んでいただくと、「私はどんな節税ができるのか?」と悩んでいる方が、ご自身ができる節税対策を判断できるようになります。↓↓↓

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1級FP技能士
磯山裕樹

立命館大学を卒業後、旅行会社に就職。連日の出張や残業による仕事中心の生活から家族の時間を作るため、自分で自由に時間を決められる働き方を求め外資系保険会社に転職。総額200万円を投資して徹底的にお金に関する学びを追求。その結果、富裕層ではなく、かつての私と同じ悩みを持つ子育て世代にこそ自身が体感したサービスが必要だと考え、磯山FP事務所を開業。“お金が理由で子供の選択肢を狭めない未来”を実現できる子育て世代を増やすべく日々奔走中。

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