「働けなくなったときの対策はできていますか?」
亡くなるとき、病気になったときのことは、多くの人が考えていますが、働けなくなった場合のリスクを考えられている人は少ないです。これは決して保険に入ったほうがいいということではなく、リスクとして考えておいて、そこをどう備えていくのか対策をしておくことが大切だと考えています。
今回は、働けなくなることに備える保険が必要なのかを自分で判断できる考え方のポイントについてお伝えをしていきたいと思います。
YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約15分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
目次
働けなくなるとどうなる?
●収入はなくなるが、生活費はそのままかかる
●介護の費用が追加でかかることもある
●契約の仕方によっては住宅ローンの支払いも続く
亡くなったとき、病気になったときよりも、大変な状況になる気がしませんか?
働けないことに備える保険は必要?
保険で必要な金額は「必要額-準備済額+気持ち」という式で表すことができます。
必要額:生活費、教育資金、住居費など
準備済み額:公的制度、民間保険、預金、配偶者の収入など
気持ち:余裕を持つのかどうか、カツカツでいいのか
プラスになる人は、準備ができているので、対策する必要はありません。
マイナスになった人は、準備ができていないので、その対策を考えておきましょう。
今回は、35歳の夫婦共働きで、2歳と5歳の子どもがいる田中家を例にお話ししていこうと思います。
・ご主人は自営業で手取り300万円、奥様は会社員で手取り300万円
・住居は30歳のときに35年の住宅ローン(ペアローン)を組んで持ち家を購入
・生活費は月30万円、預金は200万円、民間保険の加入はなし
下記にて、死亡保険の解説をしています。死亡保険の必要額をベースに、働けないことに備える保険が必要かどうか考えてるので、見ていない人はまずこちらからご覧ください↓↓↓
実際はシミュレーションソフトを使って計算する場合が多いので、今回お伝えするように一つ一つを計算をすることはないと思います。しかし、ライフプランシミュレーションは前提条件を変えることで保険屋さんが見せたいデータを見せることができるので、「○○万円の保障がいる」と保険屋さんに言われたことをうのみにしてはいけません。なぜそうなるのかを考えるためにも、どのように保障額を決めるのか、知っておくことは重要です。
必要額の計算
必要額の生活費、教育資金、住居費は死亡保険と同じ考え方になります。
準備済み額の計算
次に準備済み額を計算していきましょう。公的制度の傷病手当金と障害年金、民間保険、預金、配偶者の収入です。
公的制度のイメージ
みなさんが、病気やケガで会社を休んだ場合の流れは次のようになります。
①有給休暇(給料があり)
②傷病手当金(最大1年半)
③障害年金
こちらは、会社員・公務員の人のイメージです。自営業の人は、有給休暇、傷病手当金や障害厚生年金がなく、障害基礎年金だけになります。
傷病手当金
病気やケガで会社を休んだとき、これまでの収入の約3分の2が支給されます。
まず、連続する3日間の休業が必要です。その後、最大1年6ヶ月の間、たとえば、月収が30万円だとすると約20万円が支給されます。
支給の条件は次の通りです。
●業務外の事由によるケガや病気の休業
●連続する3日間を含み、4日以上仕事につけない
●休業した期間にについて給与の支払いがない
障害年金
障害年金は、所定の障害状態に該当したときに、障害の程度に応じた年金が支給される制度です。
受給要件がいくつかありますが、ここではざっとお伝えしていきます。
①初診日に年金制度に加入、かつ、その日を証明できる
②保険料を一定以上滞納していない
③障害が一定以上
つまり、年金制度に加入し、保険料を払っている人が一定の障害状態に該当すれば、障害年金が支給されるということです。
障害年金の等級
障害等級は、1級から3級に区分されています。
1級の目安:常時援助が必要、ベッド周辺が活動範囲の状態
2級の目安:随時援助が必要、家庭内での軽度の活動のみの状態
3級の目安:就労に制限がかかる状態
なぜこんな抽象的な基準なのか? それは、障害年金は、お医者さんの診断書とご自身で書く申請書を国に提出をして、そして各級の目安に認められれば、年金が支給されるという制度になっているからです。こういう症状で必ず支給されるというものではありません。
障害年金の支給額
では、いくら支給されるのか? 老後の年金と同じく、障害年金には、障害基礎年金(会社員・公務員・自営業も支給対象)と障害厚生年金(会社員・公務員のみが対象)があります。
金額は等級によって異なり、障害状態が重い人ほどたくさん支給されます。
障害年金の概算の計算方法
たとえば、障害等級2級に該当した場合を計算してみましょう。
障害基礎年金は78万円で、子の加算があります。
障害厚生年金部分は報酬比例の年金額と配偶者の加給年金です。障害厚生年金の報酬比例の年金額は、「平均年収×勤続年数(最低25年で計算)×0.005481」で概算を計算することができます。
【例】
●22歳で就職をして35歳で障害年金を受給
●これまでの平均年収300万円
働いているのは13年ですが、最低25年で計算ができるので
障害等級2級の場合:300万×25年×0.005481=41.1万
あくまでざっと計算したものなので、詳細に調べたい場合は、年金定期便を確認したり、専門家に相談してみてください。
田中家の障害年金額
障害等級2級に該当した場合、末子が大学を卒業するまでの年金額を計算してみます。
ご主人は自営業のため、受け取れるのは障害基礎年金のみです。長男が18歳までは、78万円+22万円+22万円=約120万円、長男が18歳以降次男が18歳までは78万円+22万円=100万円になります。120万円×13年+100万円×3年+78万円×4年=約2200万円です。
奥さまは会社員のため、障害厚生年金も受け取れます。年間約40万円が障害基礎年金に上乗せされ、800万円(40万円×20年)をご主人より多くもらえるので、約3000万円になります。
夫婦でも働き方によって、もらえるお金が変わります。
障害者手帳
これまで障害年金をお話ししましたが、よく混合してしまうのは障害者手帳です。障害年金と障害者手帳は全く別物です。
障害者手帳は、何らかの障害によって自立が困難な人や日常生活に支援を必要とする人に対し、自治体から交付される手帳です。こちらにも1級、2級などありますが、障害年金の等級とは異なります。この障害者手帳をもらっても、障害年金と違い、お金がもらえるわけではありません。障害者手帳にもらうことでのメリットは次のような点です。
●各種福祉サービスが受けられる
●医療費の負担軽減
●公共交通機関の割引
●障害者採用枠での就職や転職
民間保険
住宅ローンの団体信用生命保険があり、万が一のときは住宅ローンが相殺されますが、働けなくなって相殺されるとは限りません。一般的な死亡保険金の支払い条件は、死亡もしくは高度障害です。
【高度障害の例】
●両眼の視力を全く永久に失ったもの
●言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
●中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
など
脳卒中など脳の病気になってしまうと、右半身麻痺、左半身麻痺など片麻痺になる場合がありますが、高度障害の対象外となるので、住宅ローンがそのまま残ってしまいます。
住宅ローンには、三大疾病や働けないときに備える保障があるものもありますので、一度確認してみましょう。田中家の住宅ローンは一般的なものであるため、民間保険での準備は0円です。
配偶者の収入
片方が働けなくなったときに、今のままの収入が見込めるか確認しましょう。
今まで2人で稼いで2人で子育てをしていましたが、1人で稼ぎ、子育てもしないといけない状況になります。しかも、日常生活の介護が必要な場合もあります。
今のままの収入が維持できるのか、どのくらい減るのを想定するのか夫婦で考えましょう。
田中家は、日常生活での介護が必要なことを想定して、収入が半分減る想定にしました。手取り300万円×1/2×20年=約3000万円です。
必要な保障額を計算
ここまで考えたことを一度整理してみましょう。
【必要額】
生活費:7200万円
教育資金:2000万円
住居費:2400万円
合計:1億1600万円
【準備済み額】
障害年金:2200万円(ご主人が働けない)、3000万円(奥様が働けない)
民間保険:0円
預金:200万円
配偶者収入:3000万円
合計:5400万円(ご主人が働けない)、6200万円(奥様が働けない)
【気持ちの部分】
少し余裕を見ておきたい性格なので、1000万円余裕をみる
保険で必要な額は、「必要額ー準備済み額+気持ち」なので計算すると、7200万円(ご主人が働けない)、6400万円(奥様が働けない)になります。ご自身の必要な額と準備済みの額、気持ちによって、同じような状況でも、保険がいるかいらないかは変わります。
働けなくなる確率
日本の65歳以下の人口は、約9000万人です。そのうち、障害年金の受給者が約200万人いるので、確立は0.02%、1万人に2人と計算ができます。障害年金を受給している人も1~3級まであるので、全く働けない状態になる確率はもっと低くなります。
働けないことに備えるために、次のような対策があります。
●働けなくなってもお金が生まれる資産を作る
●多少の障害状態でも働くことができる会社に転職する
●保険で備える
就業不能保険を比較するときの3つのポイント
保険で働けないリスクに備えたい場合、就業不能保険が選択肢としてあります。ここから、就業不能保険を比較するときの3つのポイントをお伝えします。実際、障害状態になり、保険の給付金を受け取る場合を想像して考えてみましょう。
①どういう条件で支払いがされるのか
商品により支払い要件が異なります。働けないときが給付条件の商品もありますが、働けるか、働けないかではなく、保険会社が定める条件で給付が決まるものもあります。つまり、働いているか、働いてないかは正直関係がない商品もあるということです。
たとえば、次のよう支給条件があります。支給条件とご自身が何をどこまで備えるかを考えて決断しましょう。
●障害年金2級
●障害者手帳3級(4級)
●要介護2(1)
●独自要件(ガンなど特定の病気など)
●精神疾患
など
②いつまででるのか
障害年金は一度該当すればずっと支給されるわけではなく、更新があります。
頑張ってリハビリして2級から3級に下がると障害基礎年金は78万円から0円になります。リハビリを頑張って少し改善しても、健康なときと同じように働いて、同じ給料を得ることができるでしょうか? なかなか難しいのではないでしょうか?
いつまで出るのか、保険では大きく2つのタイプがあります。
①改善したら止まる
たとえば、障害等級2級に連動して給付があり、3級に下がると障害年金と同じように支払いが止まるタイプです。
②一回認定されれば回復したとしても定めた期間まで継続給付される
一般的には②のほうが保険料が高くなりますが、働けない状況になると非常に助かる保険になります。
③必要なとき、必要な額を用意できるかどうか
たとえば、働けなくなると70歳まで月10万円給付される就業不能保険に加入しています。そして、45歳に働けなくなって保険給付の条件に該当しました。その頃、ちょうど子どもの大学費用で500万円が必要な場合、受け取り方は3つ考えられます。
①45歳~70歳で毎月10万円、計3000万円を受け取る
②500万円を一時金で、残りを70歳まで分割で受け取る
③総額が少し減るが、一括で約2700万円を受け取る
もしこういった状況であれば、どのように受け取りたいですか?
「どの保険商品でも全部できるのではないですか?」と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
支払いは大きく2つのタイプがあります。
●①の分割の受け取りしかできないタイプ
●①~③から選ぶことができるタイプ
まとめ
今回は、働けなくなることに備える保険が必要なのかを自分で判断できる考え方のポイントについてお伝えをしました。
次回は、「介護保険」についてお伝えします。「親の介護をして大変だった。子どもにはこんな想いをさせたくないので、介護保険に入りたい。良い保険ありませんか?」よくあるご相談です。ちょっと待ってください!介護のお金は介護保険で備えるのがベストかどうかはわかりません。介護保険が、必要なのかをご自身で判断できる考え方のポイントについてお伝えをします↓↓↓
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