どうして医療保険やがん保険入っていますか?
「病気になったらお金がかかるから」
「とりあえず不安だから」
「入院日数が短期化しているので日帰り入院でもお金がでる保険にした」
などをよく耳にしますが、どうでしょうか?
今回は、医療保険・がん保険がいるのか、いらないのかを自分で判断できる考え方のポイントについてお伝えします。
YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約10分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
目次
医療保険・がん保険の判断基準
保険で必要な金額は「必要額-準備済額+気持ち」という式で表すことができます。
必要額:医療費
準備済額:公的制度、預金など
気持ち:余裕を持つかどうか、カツカツでいいのか
プラスになった人は、準備ができているので保険に入る必要はありません。
マイナスになった人は、準備ができていないので保険で備えることが選択肢の一つになります。
準備済み額
まず、準備済み額をみていきましょう。高額療養費制度、付加給付、傷病手当金などの公的制度と預金です。病気になったときに、どれだけ準備ができているでしょうか?
高額療養費制度
ひと月に医療費がどれだけかかっても、公的医療保険の対象の治療であれば、高額療養費制度で上限が決まっています。その上限の金額は、標準報酬月額で決まります。ざっくり言うと月収です。
たとえば、標準報酬月額が28万円から50万円の人は、計算式が「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」になっています。医療費が100万円かかる場合で計算してみましょう。
1,000,000円-267,000円=733,000円
733,000円×1%=7,330円
7,330円+80,100円=87,430円
医療費が100万円かかっても、ひと月あたりの上限は87,430円ということです。
ここでの注意事項は、次の2点です。
①月毎の計算なので、月をまたがると別の計算
②食事代、ベッド代、先進医療、自由診療など、公的医療保険の適用外となる費用は対象外
付加給付制度
付加給付制度は、会社の健康保険の制度により、利用できる人と利用できない人がいます。
こちらはある企業の付加給付制度になります。28万円から50万円のところを見ると、限度額が25,000円と書いています。つまり、100万円の医療費がかかったとしても、25,000円の支払いですみます。付加給付は最強の医療保険です。健康保険組合によって内容が異なるので、ご自身の健康保険組合のHPを確認してみましょう。
付加給付制度の調べ方
①ご自身の健康保険組合の名前をインターネットで検索
②健康保険組合のHPで、「病気や大きな医療費がかかった場合」の項目をクリックします。付加給付があれば記載があります。
傷病手当金
病気やケガで会社を連続して休んだとき、最長1年半、これまでの収入の約3分の2が支給される制度です。たとえば、30万円の月収の人は、約20万円が支給されるイメージです。ただし、会社員や公務員の人の制度なので、自営業の人はありません。
支給の条件は次の通りです。
●業務外の事由によるケガや病気
●連続する3日間を含む4日以上仕事につけない
●休業した期間、給与の支払いがない
必要額の計算
ここまで見てきたように、医療費は、高額療養費制度で月約9万円、付加給付があれば、月数万円しか必要ありません。しばらく、会社を休んだとしても、傷病手当金からお金が支給されます。
「私にとって10万円は、コストが大きく感じるんですが……」という人もいるかもしれません。そういう人は医療保険で備えてもいいかもしれません。しかし、私は病気の備えに医療保険を活用することをおすすめしません。
たとえば、入院すると10万円を受け取れる、年間の保険料が25,000円の医療保険に入ると、入院しても医療費を保険でカバーできます。しかし、その保険料を支払っていると、いつまでたっても貯蓄ができず、一生保険に頼らないといけない状態「保険貧乏」になってしまいます。4年間の保険料は10万円です。保険会社に支払うのではなく、自分で貯蓄した中から、医療費を支払うことが基本です。
こんな話をすると保険屋さんから、「個室代や交通費、食事代がかかりますよ」と言われることもありますが、交通費、食事代は、普通に生活していてもかかるお金です。個室代については、病気になったときに、部屋をアップグレードするために、保険をかけておくなんてなんかおかしいと思うのですが、どうでしょうか?
高額な医療費がかかる自由診療と先進医療
高額療養費制度や付加給付制度は、公的医療保険の対象の治療をしたときに利用できる制度です。治療方法には公的医療保険の対象外、つまり全額自己負担の治療がいくつかあります。
全額自己負担の治療|①先進医療
海外や国内基礎研究、臨床研究で効果がある程度認められているものの、国が承認して保険適用にするほどの信頼性の高いデータが得られていない治療法です。効果が証明されれば保険適用になります。
つまり、まだデータが十分ではないから先進医療にしているが、そのデータが集まってきて効果が証明されれば保険適用になって3割負担や高額医療制度が利用できるようになる治療法です。
現在、先進医療で高額な治療は、一部のがん治療の重粒子線や陽子線治療です。年間約2000件行われており、それぞれ費用は約300万円です。もし、この治療を行おうとすると、この300万円が3割負担も高額療養費制度も利用できないので、実費必要になります。
全額自己負担の治療|②自由診療
公的医療保険を利用しないで自費で受ける診療で、海外では承認されているが日本では未承認の治療などです。
たとえば、がんの抗がん剤治療にオプジーボというものがあります。
悪性黒色腫、腎細胞がん、頭頚部ガンなどの治療としてオブジーボを使えば公的医療保険の適用で、3割負担、高額療養費制度を活用できます。しかし、尿路上皮がんなどの治療として使えば、自由診療になってしまうので全額実費となり、約240万円(約2か月の想定治療期間)かかります。
病気に備える3つの考え方
ここまでの内容をふまえると、病気に備える考え方は3つあります。
①保険で備える
②貯蓄で備えて、自分で貯めたお金で医療費に備える
③先進医療や自由診療など公的医療保険対象外のみ保険で備えて、あとは貯蓄で備える
保険は、確率から考えると入ると損します。しかし、中には得をする人もいるのも事実です。周りの人で、保険で得したということを聞くかもしれませんが、ほとんどの人が損をしています。
私は、医療費は基本、貯蓄で準備すべきだと考えます。会社員や公務員の人であれば、会社を休んでも現在の給与の2/3の収入が維持できるので特にそうです。しかし、医療保険やがん保険に入っていることで気持ち的に安心して生活ができるのであれば、お守りとして加入してもよいかもしれません。
治療の基本は、公的医療保険が適用される標準治療です。標準治療は、科学的根拠に基づいて、現在利用できる最良の治療法です。なので、先進医療や自由診療は使う可能性は低いです。そのため、民間保険で補おうとすると、保険料は数百円程度で安くすみます。治療の選択肢を増やすために、先進医療や自由診療を使うかもしれないリスクをカバーしたいのであれば、民間保険も選択肢になります。
医療保険・がん保険 比較時のポイント
ここからは、医療保険やがん保険を利用したいと思われた人に、保険の選び方のポイントをお伝えします。
特約との付き合い方
医療保険やがん保険にはたくさんの種類の特約があります。当然、つければつけるほど保険料は高くなります。保険の目的を見失わず、本当に必要かどうか判断しましょう。
●手術
●通院
●入院一時金
●女性疾病
●ケガや骨折
●三大疾病
●払い込み免除
など
定義の確認
保険は、決められた条件でお金が出てきます。この決められた条件、つまり定義を確認していくことが大事です。
たとえば、三大疾病の定義を見てみましょう。一般的には、三大疾病は、がん、急性心筋梗塞、脳卒中です。保険でいう三大疾病の定義は、これ以外にも、がん、心疾患、脳血管疾患という定義もあります。急性心筋梗塞と心疾患、脳卒中と脳血管疾患で何が違うのでしょうか?
急性心筋梗塞と心疾患の違い
心疾患の患者数の内訳を見ると、急性心筋梗塞は心疾患の中の約2.5%です。つまり、急性心筋梗塞ででる条件の保険は、この2.5%にあてはまったら出るということです。心疾患の条件で出る保険は、不整脈、狭心症、心不全なども含まれます。全然範囲が違います。
脳卒中と脳血管疾患の違い
脳卒中は脳血管疾患の中の約83.6%になります。脳血管疾患は、そのほかの部分も含めて出るということです。
まとめ
今回は、医療保険・がん保険がいるのか、いらないのかを自分で判断できる考え方のポイントについてお伝えしました。保険屋さんに言われたからではなく、自分自身で納得して、医療保険・がん保険がいるのか、いらないのかを判断していきましょう!
次回は、「死亡保険」についてお伝えします↓↓↓
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