今日は「会社から退職金制度が確定給付年金から確定拠出年金に変更になったと言われました。何が変わったのでしょうか?」という質問をいただきましたので、解説していきます。
会社に勤めている以上は、会社の制度の変更は受け入れるしかありませんが、退職金は老後の生活を考える上で大切なお金ですよね。
会社を退職する時にもらう退職金について、自分はどのようになっているかを把握し、上手に活用することで数千万円の差が出てくる可能性があります。
YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約11分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
目次
老後の年金の基本
まず、老後の年金の基本についてお話します。
老後の年金は3階建てになっています。
1階は、全員が該当する基礎年金
2階は、会社員の方が該当する厚生年金
3階は、やりたい方だけがやるiDeCoや会社員の方で会社が用意されている年金などがあります。
今回お話する内容は、会社で用意されている年金の中の確定給付年金が確定拠出年金に変更になるということですね。
確定拠出年金と確定給付年金の違い
確定拠出年金と確定給付年金は何が違うのか?
確定給付年金
確定給付年金は社員が何もしなくても良かった制度です。企業が退職金を準備するために、企業がお金を積み立て、運用してくれて、退職金制度で決められた額の退職金を準備してくれます。
つまり、給付額確定しているので、確定給付年金と言います。
受取時運用が上手くいっていない場合、不足分は企業が補填してくれるので、企業が運用のリスクを負ってくれています。
確定拠出年金
一方、確定拠出年金は、社員が毎月企業から決められた額の退職金の前払い(拠出金)を受取、そのお金を社員自身で運用・管理します。
つまり、運用・管理の方法により退職金の額が変わってくるということです。
毎月の会社から受取額(拠出額)が確定しているので、確定拠出年金と言います。
確定給付年金のメリット・デメリット
確定給付年金のメリット・デメリットを整理したいと思います。
確定給付年金のメリット
①退職金の額が決まっている
②運用を会社にお任せでき、自分で資産運用する必要がない
③中途退職時に受給が可能
60歳より前に退職した場合は、その時退職金を受け取れます。
確定給付年金のデメリット
①転職の場合不利になることが多い
会社には寄りますが、長く勤めた方には退職金をたくさん支給し、短い方には少ししか無いというのが一般的です。
例えば20歳~60歳まで5年に1回転職した方とずっと同じ会社に勤めた方の退職金の総額を比べると後者の方が一般的には大きくなります。
②会社が倒産した際に受取が減る可能性がある
過去の例としてはJALです。JALが経営破綻し、公的支援を受けて会社更生を目指すために、現役とOBから2/3の同意を得て年金減額を行いました。給付減額は現役が給付額の5割、OBが3割だったようです。
確定拠出年金のメリット・デメリット
確定拠出年金のメリット・デメリットを整理したいと思います。
確定拠出年金のメリット
①運用次第では退職金の額を増やせる
②転職の時も持ち運べる
転職時は、転職先に企業型確定拠出年金制度があれば移管されますし、無ければiDeCoに移管されます。
確定拠出年金のデメリット
①退職金の額が運用次第で減ってしまう可能性がある
②自分で資産運用をする必要がある
③原則60歳以降でしか退職金を受け取れない
確定拠出年金で拠出するお金を運用するってどういうこと?
確定拠出年金は自分で何にお金をおいておくか決める必要があります。
選択できる商品は大きく2つに分けることができます。
【1】 元本確保型 (例)定期預金
【2】 元本変動型 (例)株式や債券などの投資信託
元本確保型
【1】 の元本確保型を選べば、元本が確保されます。
ただし、元本は保てていますが、お金の価値から見ると価値が目減りしている可能性があるので注意が必要です。例えば、現在500万円の車を退職時に買うためにお金を積み立てて60歳で500万円貯めたとしても、物価上昇(インフレ)で欲しい車が600万に値上がりしていたら、貯めた500万では買うことができないですね。定期預金にしておくということは物価上昇(インフレ)リスクには対応できないことに注意が必要です。
元本変動型
【2】の元本変動型を選択した場合、元本割れの可能性もありますが、運用結果次第では定期預金では対処できなった物価上昇(インフレ)リスクに対応できる可能性があります。
よくある質問
ここからはよくある質問に回答していきます。
質問:どの商品を選択したら良い?
回答:金融知識のレベル、年齢、気持ちなど人により異なります。
答えになっていませんね。
そうなんです!!正解は無いんです。
ここからは僕の個人的な意見ですが、僕がお客様へアドバイスをする場合は、多くの場合は、定期預金は選択しないです。
なぜなら、定期預金を選ぶと確実に損をするからです。
資本主義経済は物価が上がる仕組みになっているので、お金の価値を考えると確実に損します。
であるならば、きちんと資産運用について正しい知識を学んで、株式や債券などの投資信託を自分の状況に合わせて組み合わせて実践することをお勧めします。
定期預金と資産運用した場合、どのくらい差が出てくる可能性があるのでしょうか?
例えば、22歳から60歳まで月額20,000円を確定拠出年金で積み立て、5%で運用できた場合を考えてみましょう。
定期預金で積立した場合は、60歳で912万円受取できます。
5%で運用できた場合は2,716万円になります。
その差は1,804万円になります。
どう選択するかで老後のお金が数千万円変わってくる場合もありますので、しっかりと自身で考えて選択することが大切です。
質問:今までiDeCoをやっていた人はどうなるの?
回答:iDeCoの上限金額が変わります。
これまで確定給付年金制度がある会社に勤めている方がiDeCoをする場合は月の掛金の上限は1.2万円(企業型確定拠出年金とiDeCoの掛金の合計の上限が2.75万円)でした。
これから確定給付年金制度が無くなり、確定拠出年金制度に変わる場合、iDeCoの上限は毎月2万円(企業型確定拠出年金とiDeCoの掛金の合計の上限が5.5万円)になります。
また確定拠出年金にはマッチング拠出制度を用意してくれている企業もあります。
会社から拠出される掛金以外に、老後に積立をしたい場合は、マッチング拠出制度またはiDeCoどちらかを活用するか選択できます。
マッチング制度は有る会社と無い会社があります。
この内容は2022年10月に変更になった際に別ブログで詳しく解説しています。
また、そもそもiDeCoって何?と言う方も過去のブログで解説しています。
このブログの下にリンクをはっておきますので、ご興味がある方はそちらからご覧ください。
質問:これまでの過去の退職金はどうなるの?
回答:これまでの退職金は計算をされ、確定拠出年金にまとめて移管されます。
例えば50歳の方が、現時点の退職金が1000万円だった場合、1000万円が確定拠出年金に移管されます。
質問:子供の教育資金にするために、早期退職の退職金を当てにしていた。どうすればいい?
回答:会社に勤めている以上は、会社の制度の変更は受け入れるしかありません。
今どうしても退職金が必要な場合は、通常、退職するしか受け取る方法は無いです。
ただ、今退職金を受け取って教育資金に充てるくらい余裕がないのであれば、子供の教育資金がかからなくなった後、老後資金はいつ貯めるのでしょうか?
晩婚化が進んでいる現在、老後資金を貯める時間は少なくなってきています。
例えば、37歳でお子様を出産した場合、お子様が大学を卒業する時には55歳です。
子供の学費を捻出するために一生懸命働いて、子供の教育費がひと段落して、そこから老後のお金を準備するために、また働く。65歳までの定年まで10年しかありません。毎年200万円貯めれたとしても2000万円しか貯蓄ができません。
専業主婦(夫)と会社員のご夫婦の場合、老齢年金の平均は22万円です。仮に22万円以内で日々の生活費をやりくりしたとしても、その他に住宅の改修、車の買い替え、病気や介護が必要になった場合の費用など貯蓄を取り崩していくとあっという間に貯蓄が尽きてしまいます。
もちろん、65歳を過ぎても働いたり、企業の退職金で貯蓄はできる方もいるかと思います。
また、早期退職の退職金は長く勤めた方の退職金と比較すると結構目減りします。
会社を辞めて早期の退職金をもらって、次の勤め先があるのであれば良いかもしれませんが、僕はそもそも家計を改善して貯蓄額を増やしていくことを実践して、それでもお金が足りないのであれば早期退職を検討する方がよいのではないかと思います。
まとめ
会社に勤めている以上は、会社の制度の変更は受け入れるしかありません。
確定給付年金と確定拠出年金の違いを理解して、制度を上手に活用することで数千万円の差が出てくる可能性があります。
きちんと資産運用について正しい知識を学んで、株式や債券などの投資信託を自分の状況に合わせて組み合わせて実践していきましょう!
老後資金の貯め方の記事はシリーズ化しています。順番に読み進んでいただくと、「老後資金をいつまでに、いくら、どうやって貯めるか」を悩んでいる方が、ご自身にとって最適な老後資金を貯める考え方と実践方法を判断できるようになります↓↓↓
iDeCoの記事はシリーズ化しています。順番に読み進んでいただくと、「iDeCoってお得と聞くが、私はした方がいいのか?」と悩んでいる方が、やるべきなのか、やらない方がいいのかを判断できるようになります。↓↓↓
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