「親の介護をして大変だった。子どもにはこんな想いをさせたくないので、介護保険に入りたい。良い保険ありませんか?」よくあるご相談です。
ちょっと待ってください!介護のお金は介護保険で備えるのがベストかわかりません。
今回は、介護保険が必要なのか不要なのかをご自身で判断できる考え方のポイントについてお伝えをします。
YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約12分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
目次
介護の状況整理
まず、介護についての状況を整理してみたいと思います。
要介護認定者数と確率
国の介護保険制度で介護が必要だと判断されると要介護・要支援認定されます。要介護認定者数は、2000年は約189万人だったのが、2020年は約480万人になり、20年で約2.5倍になっています。
要介護・要支援になる確率は、75~79歳で8人に1人、80~84歳で4人に1人、85歳以上で2人に1人というのが日本の状況です。高齢になるほど、増えてきています。
介護の原因
次に、介護が必要になる原因を見てみましょう。
1位:認知症 約18%
2位:脳血管疾患 約16%
3位:高齢による衰弱 約13%
1位の認知症はこれからも増えていくと言われています。認知症になる人は、2012年に約460万人→2030年に約830万人→2060年に約1154万人と予想されています。2060年には高齢者の3人に1人は認知症ということです。認知症は超高齢化社会の日本では誰もがなりうるが、画期的な新薬が当面望めない、確立した予防はない状況です。
介護離職
そして、介護をお伝えするのに欠かせない内容として、介護離職があります。
誰が介護をしてるのか? 家族・親族による介護が約7割、事業者・その他による介護が約3割と言われています。
つまり、家族と親族がいるから今の介護が成り立っています。介護が理由で離職する人が毎年10万人、仕事をしながら介護している人が約69万人います。
介護には費用と時間がかかります。介護に時間を割いたり、仕事を辞めると、収入が落ちてしまいます。親が70代~80代であれば、子どもは40代~50代になっているので、ちょうど結婚して子育てされている人だと子供の教育資金がかかる時期でもありますし、仕事もすごく忙しい時期になってくるので、大変な社会問題になっています。
介護の費用はどのくらいかかる?
介護の費用を考えるうえで、まず押さえておきたいのが公的な介護保険です。
要介護・要支援認定されると、介護サービスの割引を受けることができます。基本は、自己負担1割なので、9割引きでサービスを受けれるということです。認定された要介護度により支給限度額が違い、限度額を超えた場合は自己負担になります。
日常生活費(医療、居住、消耗品) 、住宅改修、福祉用具、介護施設費、家事代行、配食サービスなど、公的介護保険サービス以外は全額自己負担になります。
介護保険の支給限度額
では、支給限度額を見てみましょう。要支援1、2、要介護1から5があり、右に行くほど介護度が高くなります。
それぞれに支給限度額の上限が決まっています。たとえば、要支援1だと、約60万円が支給限度額になるので、自己負担6万円で60万円の介護サービスを受けることができます。要介護5だと430万円が支給限度額になるので、自己負担43万円で430万円の介護サービスを受けることができます。
介護費用の平均
次に、<生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度> の介護費用の平均データを見てみましょう。
●月々の出費の平均:8.3万円(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)
●一時的な費用:平均74万円(住宅改造や介護用ベッドの購入費など)
●介護の期間の平均:5年1カ月
出典:<生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度>
これを計算すると、毎月8.3円×5年1カ月+一時金74万円=約580万円となります。
介護の費用はいくら必要?
介護の費用は、約580万円で足りるのでしょうか?
月々の出費の8.3万円は、在宅か施設かによって変わります。在宅の平均は4.8万円、施設の平均は12.2万円となっています。家族が介護をするかしないかで必要金額は変わります。要介護の状態でも変わります。介護度が重いほど費用が必要です。
また、平均の5年1カ月より期間が長かったらどうでしょうか?
出典:<生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度>
人それぞれ、準備する額は変わります。ご自身が介護状態になったら、どこで、どんな介護をどれくらい受けるかをイメージをして、準備する金額を設定していきましょう。
お金が準備できたら大丈夫?
これまでお金の話をしましたが、では、お金だけがあれば大丈夫なのかというと、そうでもありません。
それは、認知症による資産凍結リスクです。認知症になるといろいろ困ることがあります。
●預貯金が解約できない
●有価証券が売却できない
●土地や建物が売却できない
●生命保険が解約できない
●遺言書が作成できない
●生前贈与ができない
生活資金が不足したり、相続対策ができなくなる可能性があります。せっかくお金があるのに引き出すことができないと意味がありません。
これを解決するために、成年後見制度があります。弁護士さんや司法書士さんの許可をもらうことで、認知症になった人の財産を使用できます。ただ、思い通りにお金を使うことができなくなるリスクがあります。
そのため、お金を準備するだけでなく、お金を使える状態にしておくこともすごく大事だと僕は考えています。たとえば、認知症になり成年後見制度を活用する前に、元気なうちに任意後見や家族信託などで資産の凍結を回避したり、事前に家族の話し合いをしていくことが重要です。任意後見や家族信託について、ここで詳しくはお伝えしませんが、資産凍結を解決するための一つの手段です。
介護のお金の備えはどうやってする?
介護のお金の備えは、次の3つが考えられます。
①預金で備える
②保険で備える
③資産を作って備える(不動産や株式の配当金など)
介護を保険で備えるメリット
保険で備えるメリットは下記3点になります。
①老後後半に介護費用を残しておける
介護になったときのお金として、保険会社に強制的に残しておけます。
②介護終身年金を活用できる
介護をしたことがある人に何が不安かと聞くと、「この介護がいつまで続くかわからない」ことがすごく不安と答える人が多いです。
いつまで続くかわらならい不安に対しては、介護になると、亡くなるまでお金の受け取りができる終身年金という受け取り方が選択できる商品があるので、活用してもよいかもしれません。
③家族の口座に給付金を受け取れる
たとえば、認知症になり、保険から介護給付金が出ました。しかし、受け取りの口座が本人になっていると、認知症になるとそのお金は思う通りに使えない可能性があります。
介護保険のなかに、指定代理人といって、契約者以外に家族などが代理で給付金を請求できる制度があります。通常、給付金の請求は代理でできますが、その入金はご本人になります。しかし、その入金も指定代理人の家族などに入金できる保険商品もあるので、介護保険を活用するのであれば確認して入られたほうがいいと思います。
介護を保険で備えるデメリット
保険で備えるデメリットは、次の3つです。
①保険料が高い
こちらは想像がつくと思いますが、保険の仕組みから考えると、誰もが高齢とともに要介護の状態になる可能性が高いのであれば、手頃な保険料で手厚い保障を受けることは、なかなか難しいです。
②老後使えない保険になる可能性がある
保険は、契約したときに全ての条件が決まります。医療技術の進歩、社会状況の変化、介護制度の見直しがあっても保険の条件は変わりません。
たとえば、要介護2で今介護の給付金を受け入れるような保険に入ったとして、要介護認定の基準が変わったらどうなのか? 新しく変わった基準に合わせて保険会社が条件を変えてくれるのかは、そうなってみないとわかりません。
③元気な老後の生活には使えない
保険なので介護になると給付金がもらえます。介護にならなかったときは、老後の旅行や生活費などに使うことができないお金になってしまいます。
介護保険を選択するポイント
民間の介護保険のメリット・デメリットをふまえたうえで、活用する人は、次の3つのポイントを意識して自分に合った商品を選んでみてください。
①支払い要件
どんな介護状態になったらお金をもらえるのかをきっちりと確認しておくことが必要です。たとえば、要介護1なのか2なのか、保険会社の独自の要件があるのかなどです。
②支払いの期間
先ほどお話した、亡くなるまで出続ける終身年金なのか、それとも5年や10年など期間限定の有期年金なのかも確認が必要です。
③継続要件
継続要件は、大きく2つに分かれます。
①改善したら止まる
(例)要介護2で介護年金が出て、要介護1になると止まる
②1回認定されれば回復しても定められた期間まで継続給付がある
(例)要介護2に該当し介護年金を受け取ると、その後、要介護1になろうが要支援になろうが定められた期間まで継続的に給付される
介護保険が必要かどうか個人的な考え
保険に正解はないですが、僕は、介護保険は不要だと考えています。
なぜなら、お伝えした3つのデメリットがとても大きいからです。
そのため、僕自身は、介護のお金の備えは資産を作って備える方法を選択しています。不動産や株式の配当金など老後もお金が生まれる資産を作っておけば、介護になっても、元気な老後でもどちらにも使うことができるお金になります。
介護の対策を考えるうえでもっとも大切なこと
介護する子どもの後悔として、「親の想い(介護方針、看取りの場、延命治療など)を聞き、元気な頃から家族で話し合いをしていればよかった」ということをよく聞きます。もちろんお金のことも聞くこともありますが、これが一番多いです。
一番大事なのは、元気なうちに家族で話し合いをしておくということだと思います。
まとめ
今回は、介護保険が必要なのか不要なのかをご自身で判断できる考え方のポイントについてお伝えをしました。
次回は、保険に関して最も多い質問「貯蓄保険がいいんですか?それともiDeCoやNISAがいいんですか?」について解説します↓↓↓
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