いくらで働くのが一番得なの?
社会保険料を払って手取りが減ると「働き損」なの?
103万円、106万円、130万円、150万円、201万円の壁と言われるが、よくわからないですよね。
今回は、バリバリ働いていている世帯主、パートをしている配偶者を例に、扶養の壁についてわかりやすく解説していきます。
個人ができる節税対策の記事はシリーズ化しています。順番に読み進んでいただくと、「私はどんな節税ができるのか?」と悩んでいる方が、ご自身ができる節税対策を判断できるようになります。↓↓↓
YOUTUBEで全てを語っておりますので、是非ご覧ください。
動画は約17分の長さがありますが、非常に濃い内容ですのであっという間に見ることができます。
動画の内容は文章でもここから下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
目次
3種類の扶養の壁
扶養の壁には3種類があります。
①配偶者に所得税がかかり、配偶者の手取りが減る103万円の壁
②配偶者に社会保険料がかかり、配偶者の手取りが減る106万円と130万円の壁
③世帯主の控除が減り、世帯主の手取りが減る150万円、201万円の壁
全体像のイメージは図のような感じです。
「所得税や控除って何?」という方は、税金の基礎について理解した上で、続きを読んだ方が理解しやすいと思います。
下記に所得税と住民税の基礎をお伝えしています。
①配偶者に所得税がかかり配偶者の手取りが減る103万円の壁
配偶者に103万円を超える年収があると、超えた分に所得税かかかります。
しかし、所得税がかかるのは超えた分だけなので、1万円超えても所得税は500円程度です。
この壁は気にする必要はありません。
②配偶者に社会保険料がかかり、配偶者の手取りが減る106万円と130万円の壁
こちらは社会保険の世帯主の扶養に入れるか入れないかを分ける壁です。
会社員の配偶者で年収が130万円未満の方は、国民年金と健康保険、介護保険(40歳以上)の保険料を自分で負担する必要はありません。配偶者の収入が130万円以上になると、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料(40歳以上)を自分で負担しなければなりません。
収入が130万円の場合、社会保険料は月約15,000円、年間約18万円です。
収入が129万円の場合、社会保険料は払わなくていいので、129万円の方が、手取りが多くなります。
収入が130万円以上になると、大きな差になるので、これを意識している方は多いですね。
ただし、一定の条件に当てはまる場合は、130万円ではなく、106万円以上になります。
下記条件をすべて満たす場合は、106万円の壁になります。
●正社員101人以上 ※2024年10月からは「51人以上」に変更
●収入が月収88,000円以上
●雇用見込みが1年以上
●労働時間が週20時間以上
●学生でない
③世帯主の手取りが減る150万円と201万円の壁
配偶者の年収が150万円以下の場合、世帯主は配偶者の控除を最大限活用でき、手取りを増やすことができます。しかし、配偶者の年収が150万円以上になると控除の額が減っていき、201万6千円以上になると控除がなくなります。
そのため、配偶者の収入を150万円、201万円以下に調整して働くことを150万円、201万円の壁と言われています。
配偶者の控除は、配偶者控除と配偶者特別控除の2種類あり、図に表すと以下のようになります。
所得税と住民税で、配偶者の収入の要件や控除額が変わります。
世帯主と配偶者それぞれの所得(年収)に応じて控除の金額が変わっていますね。
配偶者の年収が150万円以下の場合
配偶者の年収が150万円以下の場合、図の青色の部分になります。
世帯主の合計所得によって控除できる金額が変わります。
合計所得が900万円(給与収入のみの場合1120万円)までは一律38万円(住民税は33万円)です。
合計所得が900万円を超える場合は、段階的に控除金額が減額され、合計所得が1000万円(給与収入のみの場合1220万円)超になると控除の適用がなくなります。
配偶者の年収が150万円以上の場合
配偶者の年収が150万円(住民税は155万円)を超えても201万6千円までは控除が使えます。
図の緑色の部分です。
世帯主の所得が900万円(給与収入のみの場合1120万円)を超えると控除の額が少なくなり、1000万円(給与収入のみの場合1220万円)を超えると控除がなくなります。
配偶者の所得が133万円(年収が201万6千円以上)を超えると、控除が適用できなくなります。
控除のイメージ
仮に世帯主の所得が300万円で税率が10%の場合、控除額38万円×10%=38,000円、住民税で控除額33万円×10%=33,000円、合計約7万円の税金が年間少なくなります。
夫の所得が800万円で税率が23%の場合、控除額38万円×23%=87,400円、住民税で控除額33万円×10%=33,000円、合計約12万円の税金が年間少なくなります。
世帯主の所得が高い場合は、税率も高くなるので大きな差になりますね。
会社の家族手当の壁
家族手当がある企業では、支給対象の条件は、配偶者の年収が103万円以下、130万円以下など会社ごとで変わります。支給額は月1万円~2万円程度の会社が多く、家計に対するインパクトは大きいです。
いくらで働くのが一番得なの?
夫婦の収入や状況により異なりますが、税金よりも社会保険料の負担と家族手当の削減が大きくなる傾向があるので、特に注意するべき壁は、配偶者の社会保険料がかかり配偶者の手取りが減る106万円と130万円の壁と会社の家族手当の壁です。
育児や介護などで長時間働くことが難しいのであれば、配偶者の社会保険料がかかり手取りが減る130万円(会社や働き方によっては106万円)の以内で働くことで、社会保険料がかかりません。収入が130万円以上になるなら、社会保険料を支払っても150万円を超えるくらいで手取りが逆転するので、150万円以上を目指しましょう。106万円の壁の方は、同じ理由から125万円以上を目指しましょう。
150万円を超えると世帯主の税金が増えますが、その分配偶者の手取りが増えているのでそんなに気にする必要はないと思います。
社会保険料を払って手取りが減ると「働き損」なの?
扶養を気にしている方は、働き損になりたくないと思っていますよね。
社会保険料や税金を払うと使うことができる目先の現金が目に見えて減ってしまいますが、長期的に考えると、収入の壁を意識しすぎて働くことが、人生において損する結果になる可能性があります。
手取りが減ったとしてもメリットもあります。今の損得だけでなく、長期的な目線で判断していきましょう。
社会保険料を払うメリット
●厚生年金保険加入で老齢年金、遺族年金、障害年金が増える
老後の年金が増えるだけでなく、遺族年金や障害年金も増えるので民間保険の削減につながります。
●健康保険加入で傷病手当金、出産手当金がもらえる
働けなくなって会社を休んだ時の傷病手当金、出産前後の出産手当金がもらえます。また、世帯主の年収が高い場合は、高額療養費の限度額が低くでき、付加給付があれば、さらに手厚い保障が受けられます。
共働き夫婦のメリット
まず、最初にお伝えしたいのは、パートで働くことを否定しているわけではないということです。子供が巣立つまで子供と関わる時間を増やしたいという考えのもと、あえてパートで働くのは悪いことではありません。
僕のお客様に看護師のママがいます。その方は、「子供から夜勤を辞めてほしい」「学校から家に帰った時にママがいてほしい」と言われ、家族で相談した上でパートを選択されています。その方がすごいなと思ったのは、ママがパートにでることで収入が減るから、毎年行っている家族旅行は日帰り旅行になるし、外食の回数も減るけどどうか、子供と含めた家族で話をして決断されていたことです。まさに家族の納得解ですね!
パートの収入で今の生活に余裕があり快適であるならそのままでいいと思います。しかし、収入を増やすことで、子供の教育、豊かな老後の生活など人生の選択肢が増えることも事実です。
共働き夫婦の有利な点①貯蓄が増える
年収400万円で働くことができる配偶者が年収100万円のパートで働いたとします。子供が大学を卒業して子育てが落ち着いてから働く場合、300万円×20年=6000万円の違いになります。世帯主が1時間早くかえってきて、一緒に家事、子育てをすることで、配偶者が働き続けることができるのであれば、1時間の世帯主の残業代よりはるかにメリットがあります。
退職金も勤続年数が長い方がたくさんもらえる制度にしている会社が多いので、いったん退職すると退職金が大きく減る可能性があります。
共働き夫婦の有利な点②収入のリスク分散ができる
同じ業界や職場でなければ、2人同時に職を失ったり、収入減になる可能性は少ないと思います。
片方だけの収入に頼り切っていたら、会社の倒産、病気などで働けなくなった、もしくは収入が激減した時に対応が難しいです。
2020年から始まったコロナで観光業や飲食業が閉店や廃業し職を失う方もいました。僕のご相談者の中にも、飲食業界で働いていて、収入が600万円から300万円になって、家計が大変になった方もいました。
まとめ
扶養の壁についてお伝えしてきました。
扶養の壁を考えて働くのも、壁を越えて共働きで働くのも、それぞれにメリット・デメリットがあります。
夫婦で今後の人生設計や働き方を考えてみましょう。
ただ、僕のご相談者の中には、正社員を辞めない方が良かったと後悔している方も多いです。
結婚や出産での退職後、正社員での条件の良い再就職はまだまだ難しい現実があります。企業は、いつ産休や育休に入るかわからない、仕事を教えてその後すぐに産休育休に入るとまた次の人を教育しないといけないなど雇いづらいと考えています。
共働きを選択する場合、配偶者が働き続ける環境を夫婦で考えることが大切です。夫婦で家庭での役割分担を話し合う他に、食洗器、ロボット掃除機、乾燥機など便利な家電、家事代行の活用など、今はお金がかかりますが外部に委託するのも選択肢です。今だけを見るのではなく、長期的目線で考えましょう。
個人ができる節税対策の記事はシリーズ化しています。順番に読み進んでいただくと、「私はどんな節税ができるのか?」と悩んでいる方が、ご自身ができる節税対策を判断できるようになります。↓↓↓
コメント
COMMENT