自動車保険を見直すとき、
「車両保険はつけた方がいいですか?」
「車両保険はいらないと聞いたのですが、本当に外して大丈夫ですか?」
と迷う方は多いと思います。
本やSNSでは、
「車両保険はいらない」
「車両保険はもったいない」
と言われることがあります。
一方で、保険会社や自動車販売店では、
「車両保険はつけておいた方が安心です」
と言われることもあります。
では、結局どう考えればよいのでしょうか。
結論からいうと、私は、車両保険は基本的には不要寄りで考えています。
ただ、こう言うと、
「事故で車が壊れたらどうするの?」
「車が必要な家庭でも不要なの?」
「ローンが残っていても不要なの?」
と聞かれることがあります。
ここでお伝えしたいのは、事故が起きても困らないという意味ではありません。
自分の車の損害については、保険で備える前に、貯蓄や車の持ち方で備えられないかを考えたいという意味です。
この記事では、車両保険の必要性をイメージしやすいように、実際の見積もり例も使って、車両保険があなたにとって必要か不要かを判断するポイントをお伝えします。
目次
車両保険とは?
車両保険とは、簡単にいうと、自分の車が壊れたときに備える保険です。
たとえば、次のような場合に備える補償です。
- 自分で車をぶつけた
- 駐車場で車をこすった
- 台風や洪水で車が壊れた
- 飛び石で車に傷がついた
- 車が盗難された
- 当て逃げされた
このような場合に、自分の車の修理費や買い替え費用に備える補償です。

ただし、車両保険は、対人賠償や対物賠償とは性質が違います。
対人賠償や対物賠償は、相手に大きな損害を与えたときに備える補償です。
一方で、車両保険は、自分の車の損害に備える補償です。
ここが大きな違いです。
車両保険をつけると、保険料は高くなりやすい
車両保険をつけると、自動車保険の保険料は高くなりやすいです。
理由は、車両保険は使われる場面が比較的多いからです。
相手を死亡させるような大きな事故は、頻繁に起きるものではありません。
しかし、次のような車の損害は、比較的起こりやすいです。
- 車をこすった
- バンパーをぶつけた
- 飛び石で傷がついた
- 台風で車が傷んだ
保険料の差
| 車両保険の種類 | 年間保険料 | 車両保険なしとの差 |
|---|---|---|
| 車両保険なし | 31,140円 | なし |
| 車両保険 一般型 | 75,910円 | +44,770円 |
具体例
今回の見積りの条件は下記です。
- ソニー損保
- 保険期間:2026年11月7日から2027年11月7日
- 車種:ホンダ フリード、型式GB7
- 初度登録:2021年8月
- 年間走行距離:5,000km
- 運転者年齢条件:30歳以上補償
- 車両保険金額:200万円
この例では、車両保険をつけない場合の年間保険料は31,140円でした。
車両保険をつけると75,910円となり、車両保険なしと比べて44,770円高くなります。
つまり、車両保険をつけるかどうかで、年間2万円〜4万円以上の差が出ることがあります。
もちろん、これはあくまで一例です。
車両保険をつけるといくら高くなるかは、人によって違います。
そのため、車両保険を考えるときは、車両保険あり・なしで、保険料がいくら変わるのかを必ず見積もりで確認しましょう。
そのうえで、 その保険料を払って備えるべきか その分を修理費や買い替え費用として貯めておく方がよいか
を考えることが大切です。
車両保険を基本的には不要寄りで考える理由
私が車両保険を基本的には不要寄りで考える理由は、主に3つあります。
理由1. 自分の車の損害は、貯蓄で備えるという考え方もある
車両保険は、自分の車の損害に備える保険です。
つまり、相手への高額賠償に備える対人賠償や対物賠償とは、役割が少し違います。
相手を死亡させたり、相手の車やお店に大きな損害を与えたりした場合は、自分の貯蓄では対応できないことがあります。
そのため、対人賠償や対物賠償は、しっかり備える必要があります。
一方で、自分の車の修理や買い替えについては、考え方が少し違います。
たとえば、事故で車が壊れたときは、次のような対応も考えられます。
- 修理費を貯蓄から出す
- 修理せずにそのまま乗る
- 安い中古車に買い替える
もちろん、車が壊れると困ります。
ただ、自分の車の損害は、相手への高額賠償のように、必ず保険で備えなければならないものとは限りません。
そのため、車両保険は、保険で備えることもできるし、毎年払う保険料を貯めておいて、貯蓄で備えるという考え方もある補償です。
理由2. 車両保険に入っていても、少額修理では使わないことがある
車両保険に入っていても、少額の修理で必ず保険を使うとは限りません。
なぜなら、車両保険を使うと、翌年以降の保険料が上がることがあるからです。
事故内容によって、等級への影響は異なります。
| 種類 | ざっくりいうと | 例 |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 保険料への影響が大きい事故 | 自分で車をぶつけた場合など |
| 1等級ダウン事故 | 偶然性が高く、自分の運転ミスとは言いにくい車の損害 | 飛び石、台風、洪水など |
※実際の扱いは、保険会社や契約内容、事故の状況によって異なります。
車両保険を使うと、次のような影響があります。
- 翌年の等級が下がる
- 一定期間、事故があった人として扱われる
- その間の保険料が高くなる
たとえば、修理費が5万円、10万円程度の場合、保険を使うことで将来上がる保険料の方が大きくなることがあります。
そのため、車両保険に入っているから、必ず保険を使った方がいいというわけではありません。
修理費の金額と、今後上がる保険料の両方を確認して判断することが大切です。
詳しい計算例については、別の記事で解説していますので、そちらも参考にしてください。
理由3. 全損でも、新車を買える金額が出るとは限らない
車両保険に入っていても、事故で車が大きく壊れたときに、必ず新車を買えるだけのお金が出るわけではありません。
車両保険の保険金額は、車の時価や契約時の設定金額をもとに決まります。
車は年数が経つほど価値が下がります。
そのため、購入から数年たっている車では、事故で全損になっても、今と同じ車を買い直せる金額が出ないことがあります。
たとえば、次のような場合です。
- 購入時は300万円だった
- 数年たって車両保険金額が200万円になっている
- 事故で全損になった
このような場合、車両保険に入っていても、300万円が戻ってくるわけではありません。
基本的には、契約している車両保険金額が上限になります。
つまり、車両保険に入っているから、事故をしても同じ車に戻れるとは限りません。
新車に戻したいなら、新車特約という選択肢もある
新車特約とは、事故で車が大きく壊れた場合に、新車価格相当額を限度に補償する特約です。
たとえば、次のような場合に、買い替え費用や修理費が補償されることがあります。
- 事故で全損になった
- 修理費が新車価格相当額の一定割合以上になった
ただし、新車特約は、いつでも自由につけられるわけではありません。
保険会社によって条件は異なりますが、新車登録から一定期間内の車に限られることが多いです。
また、当然、追加の保険料が必要です。
車両保険を検討してもよい人
基本的には、車両保険は不要寄りで考えています。
ただし、次のような人は、車両保険を検討してもよいと思います。
1. 事故が起きたときに、貯蓄で対応できない人
車が壊れたときに、修理費や買い替え費用を貯蓄から出せない人は、車両保険を検討する理由になります。
たとえば、次のような場合です。
- 修理費を出すと生活費に影響が出る
- 車が全損したときに買い替え費用を用意できない
- 車のローンが残っていて、車がなくなっても返済だけが残る可能性がある
ローンが残っている状態で車が全損すると、車は使えないのにローン返済だけが残ることがあります。
さらに買い替えが必要になると、家計への負担が二重になる可能性があります。
ただし、車両保険に入ることが根本解決とは限りません。
貯蓄が少ない状態で高い車に乗っている場合は、車両保険だけでなく、車の持ち方そのものを見直すことも大切です。
2. 事故や高額修理の可能性が高い人
事故を起こす可能性が高い人や、事故が起きたときに修理費が高くなりやすい車に乗っている人も、車両保険を検討してもよいです。
たとえば、次のような場合です。
- 免許を取ったばかりで運転に慣れていない
- 狭い道や駐車場をよく使う
- 少しぶつけただけでも修理費が高くなりやすい車に乗っている

ただし、車両保険は事故を起こしてもよい理由にはなりません。
運転に不安がある場合は、保険で備えるだけでなく、安い車に乗る、狭い道を避けるなど、事故が起きにくい環境をつくることも大切です。
車両保険が必要か判断するチェックリスト
車両保険をつけるか迷ったら、次の項目を確認してみてください。
| 確認すること | 判断の目安 |
|---|---|
| 車両保険あり・なしで保険料がいくら変わるか | 差額が大きいなら慎重に考える |
| 修理費や買い替え費用を貯蓄から出せるか | 出せるなら不要寄り、出せないなら検討 |
| ローンが残っているか | 残っているなら検討 |
| 運転に不安があるか | 検討。ただし安い車にする選択肢もある |
このチェックリストで、車両保険が必要かどうかを考えてみましょう。
まとめ
車両保険は、自分の車が壊れたときに備える保険です。
ただし、基本的には、車両保険は不要寄りで考えています。
理由は、次のとおりです。
- 自分の車の損害は、貯蓄で備えるという考え方もある
- 少額修理では、保険を使わない方がよい場合がある
- 全損でも、新車を買える金額が出るとは限らない
- 車両保険をつけると、保険料が高くなりやすい
一方で、次のような人は検討してもよいです。
- 車がないと仕事や生活に大きく困る人
- 貯蓄が少なく、修理費や買い替え費用を出せない人
- 車のローンが残っている人
- 運転に不安がある人
大切なのは、誰かが「いらない」と言っているから外すことではありません。
反対に、保険会社や自動車販売店にすすめられたからつけることでもありません。
自分の貯蓄、車の使い方、ローンの有無、生活への影響を踏まえて判断することが大切です。
車両保険は、貯蓄で対応できる損害なのか、保険に頼るべき損害なのかを考えながら、自分に合った形で見直していきましょう。
もし車両保険をつける場合は、次の記事も参考にしてください。
- 車両保険の一般型と限定型の違い
- 車両保険の免責金額はいくらがいい?
- 代車特約は必要?

1級FP 磯山裕樹