住宅ローン控除は、
住宅購入時に使える代表的な税金の優遇制度です。
「税金が戻ってくるお得な制度」
というイメージが強いかもしれません。
・返済期間
・ペアローン
・働き方
・繰上返済をするかどうか
など、
「住宅ローンをどう組むか」
にも関わる制度です。
今回は、
・住宅ローン控除の基本
・FPとして実際によく見る「落とし穴」
について、分かりやすく解説します。
目次
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、
「年末時点の住宅ローン残高の0.7%」
が、所得税などから控除される制度です。
たとえば…
年末時点の住宅ローン残高が
3,000万円なら、
3,000万円 × 0.7% = 21万円
つまり、
最大21万円
税金が戻る可能性があります。

ただし、
「現金がもらえる制度」
ではありません。
住宅ローン控除は、
「払った税金が戻る制度」です。
そのため、
そもそも税金をあまり払っていない場合は、
控除を十分使えないこともあります。
所得税だけで引ききれない場合は、
一部住民税からも控除されます。
住宅ローン控除が使える主な条件
細かな条件はたくさんありますが、
代表的なものは次の通りです。
● 自分が住む家であること
投資用や賃貸用住宅では利用できません。
● 合計所得2,000万円以下
高所得の場合は対象外です。
● 床面積40㎡以上
・合計所得1,000万円超
・子育て世帯などの上乗せ優遇を使う
場合は、50㎡以上が必要です。
● 住宅ローン期間が10年以上
10年未満のローンでは利用できません。
● 一定期間内に入居すること
一般的には、
取得から6か月以内に住み始める必要があります。
制度は税制改正によって変わることもあります。
詳細は、国税庁HPや住宅会社などにも確認しましょう。

住宅ローン控除の限度額と期間
住宅ローン控除は、
「だれが、どんな住宅を買うか」で、
・借入限度額
・控除期間
が変わります。

ポイント① 住宅の性能
住宅ローン控除は、
・長期優良住宅・低炭素住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
など、住宅の性能によって、
・借入限度額
・控除期間
が変わります。
また、新築住宅では、
省エネ基準を満たさない住宅は、住宅ローン控除の対象外となります。
ポイント② 子育て世帯は優遇あり
子育て世帯・若者夫婦世帯は、
住宅ローン控除の借入限度額が上乗せされます。
対象となるのは、
・19歳未満の子どもがいる世帯
・夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
です。
住宅ローン控除の3つの落とし穴
住宅ローン控除は、
とてもお得な制度です。
ただ、実際の相談では、
「思ったよりメリットを受けられなかった」
というケースも少なくありません。
特に注意したいポイントを3つ紹介します。
① 税金を払っている以上には戻ってこない
住宅ローン控除は、
支払った税金以上には戻りません。
そのため、「収入が下がる」と、
控除のメリットを十分受けられない場合があります。
【特に注意したいケース】
・育休
・時短勤務
・転職
・独立
など。

たとえば、
ペアローンは、
「夫婦それぞれが控除を使える」ため、
税金面では有利になることがあります。
しかし、
・出産後に収入が減る
・働き方が変わる
と、想定より控除を使えないケースもあります。
実際の体験
僕自身も、
会社員時代に住宅ローン控除を利用していました。
しかし、
独立後すぐは利益が少なく、
そもそも税金をあまり払っていなかったため、
「控除を使い切れない」
時期がありました。
住宅ローン控除は、
「今の収入」だけではなく、
「将来の働き方」も含めて考えることが大切です。
② 申請しないともらえない
住宅ローン控除は、
申請しないと利用できません。
【初年度】
→ 確定申告が必要
【2年目以降】
会社員 → 年末調整
個人事業主 → 確定申告

以前の相談でも、
「勝手に戻ると思っていた」
という理由で、
何十万円も受け取り損ねていた人がいました。
忘れずに手続きしましょう。
③ 住宅ローン控除の“最大化”を優先しすぎない
「住宅ローン控除があるなら、
できるだけ多く借りたほうが得ですよね?」
という相談もあります。
確かに、
借入額が大きいほど、
住宅ローン控除は増えやすくなります。
また、
・ペアローン
・頭金を減らす
・返済期間を長くする
ことで、住宅ローン控除を増やせるケースもあります。
ただ、
「住宅ローン控除を最大化するため」に、
・借りすぎる
・無理なペアローンにする
・家計に余裕がなくなる
のは本末転倒です。
大切なのは、
「どれだけ控除を受けられるか」
ではなく、「無理なく返済できること」です。

まとめ
住宅ローン控除は、
住宅購入時に活用したい大きな制度です。
ただし、
「お得だから」
だけで判断すると、
将来の家計が苦しくなるケースもあります。
特に注意したいポイントは、
① 税金を払っている以上には戻ってこない
② 申請しないともらえない
③ 住宅ローン控除の“最大化”を優先しすぎない
という3点です。
住宅ローン控除は、
・返済期間
・ペアローン
・働き方
・繰上返済
など、
住宅ローン全体の考え方にも関わる制度です。
「お得だから」だけではなく、
「将来のライフプランに合っているか」
も含めて考えていきましょう。
次回は「変動金利と固定金利の選び方」について解説します。

1級FP 磯山裕樹